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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第8章『楽園は過去の傷と共に』
116/119

116 プライドが尾を引く命

そして、今。


(ああ、走馬灯か…、天道さん…どうしてるんだろう。桜は無事…だよな。)


胸を十字に切られ識は地面へ倒れる。

出血量が多い。血だまりができている。


「フォックス、懺悔はすんだか。」


オスカーが近づく。

ぎりぎり意識を保っていた識は悟る


(これ、マジで死ぬな…、昔は死ぬことなんて何も思わなかったんだけどな…そうか…今は……)


そこで識の意識は途絶えた。


だが、オスカーにとってそんなことどうでもいい。

ひと振り。

爪をひと振りすれば識の命は絶命する。

それだけが重要であった。



「  死ね。  」



月が黒い爪を照らす。


そしてそのまま識へと向かう







「  邪魔。 」


急に強烈な蹴りが入る。

人の気配も何もなかったので完全に油断をしていたので、抵抗なく巨大な木まで飛ばされた。


「だ、誰だ!!!」


黒く長い髪をした和服を着た女性。


「“天道世死見”。」

「て…天道…?。いや、そんなことより貴様ァ!よくも邪魔をぉ!!」


天道は聞いていいない。傷だらけの識へとかけより傷の具合を見る。


「あ~らら。『波動』の開放すんの忘れてたからな~。よっと。」


手から光が発せられ、その光が識を包む。


「何をしているのか、わからないが…。」


オスカーは天道の背後をとる。


「貴様も死ね。」


爪は天道に届くことはなかった。

天道へ届く手前、不可視の壁に爪が遮られた。


「なっ!なんだこれは!!」

「っ…。」


天道は、舌打ちをして、いかにも面倒くさそうにオスカーを見た。

目を細め、怒りをあらわにしている。


「 邪魔って言ったろ? 」


威圧。

オスカーはこの威圧感を感じたことがある。

それは自分が所属している『ナナシ』の隊長からである。


この人物は隊長と同格。

それを察知したが


「き…貴様の言うとおり、どくと思ったか?」

「…」


オスカーの声は震えていた。

手合いをしなくても、天道から自然と発する波動、いや雰囲気とも言えるモノがオスカーとは別次元のモノであった。


このまま戦えば殺される。


そう直感してしまうほど差があった。


だが


「もう一度言う。邪魔だ。どけ。」

「俺の答えは言ったはずだ。」


オスカーはプライドが高い男。

相手の思う通り逃げるなど、プライドが許さない。プライドが枷となり逃げられない。


天道はそれを察しながらも、指で銃の形を作り、オスカーへ向ける。


「馬鹿が。」


指に光が収束される。


オスカーは死を覚悟した。




その時、空から何かが落下して砂煙を、上げた。

両者の間に割り込むように落下して来たのは人の形をしていた。


「だ…誰だ!」


叫んだのはオスカーだった。


砂煙が晴れ、現れた人物は顔に包帯が巻かれた黒いコートを着た人物。


「え、エイスか!」

「わお、これは上玉のご登場ね。」


エイス。

『ナナシ』におけるAのナンバーを持つ者。

天道もエイスのことを知っているようだ。


「オスカー、ここは引け。」

「エイス、貴様の命令を聞く義務などない。俺は…」


エイスが消える。

超高速で移動し、オスカーの背後を取る。

オスカーが気づいた時には、後頭部に一撃入れられた後であった。

そのまま、意識を失い、エイスに担がれた。


「ちょっとちょっと、私に挨拶はないわけ?」

「天道か。…そうか、噂には聞いていたが、明日は…」

「そんなことどうでもいいわよ。まぁいいわ。私はこいつに用があるから。」

「待て、天道。」

「わかってるわよ。明日にでも決着をつけさせるんでしょ。その小僧と、こいつを。」

「わかっていればよい。」


そうして、エイスは消えた。


道に残ったのは天道と、識。

天道は識の口を強引に開け、小さな石を飲ませた。



「ぶぅっはあぁ!!」

「お。息を吹き返したな。」


識はいまだ息を荒くしている。


「はぁ、はぁ、…」


意識を失っていたため、何が起きているのか皆目検討つかない。周囲を見渡していると、天道と目があった。


「…」

「よっ。」

「てててて天道さんっ!!」


あまりにも意外な人物がいたので、驚きを隠せなかった。

識にとっては、自分に道を教えてくれた恩人であり、道中別れたいわば師匠。

そんな師匠はニッコリと笑い


「うるせえっー!!」


怒りの顔へ豹変し、識を蹴飛ばした。




「なぜ、天道さんが?」

「そんなことより…」


拳が飛んでくる。しかも尋常ではない速度で。

当然あたる。


「負けたな。」


胸にナイフが刺さる。


「ま、フェアな勝負じゃないから、許すけど。」

「フェアじゃない?」


識には意味がわからなかった。


「さっき殴ったと同時に返したよ。『波動』を」

「波動??」


識にとっては、意味不明の連続である。


「あー!もう面倒だなー!ホラ!」


識の胸に手を当て、天道が光を発する。

すると、識から膨大な量の光が発生する。


「うおっ!なんだなんだ!?」

「いいか?波動についてレクチャーしてやる。」







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