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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第8章『楽園は過去の傷と共に』
111/119

111 「二人の暴女」

重い。


正直な感想だった。

来栖の拳を直撃しないよう腕で防御して感じていた。


この数ヶ月。桜は明らかに多くの事件、戦いに巻き込まれて戦ってきた。

三年前引き分けだった相手となら差は開いてるハズ。そう心のどこかで思っていた。




しかし


「さっきからサンドバックじゃねぇかぁ!?やる気あんのかぁ!??」

「ぐっ!うるさいなぁ!」


来栖の拳と蹴りのコンビネーションは抜群であった。戦闘訓練を積んでる桜が手が出せない。加えて一発の威力も大きい。


強烈な蹴りが入る。

ガードが


(いや、違う。)


後ろへ飛び退いて距離を開ける。

来栖は追撃が可能であったがそれをしなかった。


「何か楽しくする作戦でも考えたか!?」


来栖は桜が手を出してこないことに不満であった。


(ウチらしくもない。防戦一方なんて。どうした?攻撃は最大の防御!それがウチだろうが!)


慢心、予想外の力による萎縮。

それが身体を鈍らせていた。


(まだまだ…ってことかな。)


「つまんねぇ。が、これで終わりだぁ!」


来栖は勝機とみて真っ直ぐに突っ込む。自身の力で桜の防御もろとも崩すつもりだ。


(ちきしょう。最近は負け戦が多かったからか、強いやつと戦って引き腰になるなんて!!んなこと…)


「許せるかああぁぁ!!」


急に桜が駆け出したせいで、来栖の勢いが一瞬止まる。予測していた距離を調整し直したのだろう。


たが、桜は駆け出した時よりも強く、さらに強く踏み込む。


「な!!」


先ほどのまでの桜の動きとは違っていた。そのため来栖の反応は遅れた。


向かってくる来栖に勢いをつけた一撃


カウンターの要領で、大きなダメージを与え、来栖は後ずさる。


「はっ!やる気になったのか!」

「悪いね、待たせたな。」

「あのままサンドバッグじゃあ、その辺の奴ら相手にしてるのと変わらないからな。待ってたんだよ。」

「待ってた?」

「本気を出すに値する奴をっ!」


拳が顔面へと向かってくる。

桜はあえて顔を拳へと前へ出す。


桜の額と、来栖の拳がぶつかる。が、桜は動じないというのにむしろ来栖が驚いている


「てめぇ、驚いたぜ。昔の格闘技じゃあ、額を防御に使うっていうが、見たのは初めてだ。」

「お褒めの言葉、ありがとさん!」


お返しと言わんばかりの喧嘩キック。

しかし、それは空をきった。足が当たるよりも来栖が後ろへ飛びのいた方が早かった。


距離をとった来栖は溜息をつく。


「やめたやめた。」

「?」

「ただの殴り合いなんて、もう趣味じゃねぇ。」

「なんだ急に?」


桜は薄々感じていた。

来栖は何かを奥の手のようなものを隠して戦っている。


「さぁ、常識を超えた私たちの闘い。始めようぜ。村雨を持ちな。」


驚いた。

なぜ、来栖が妖刀村雨のことを知っているのか。

その答えをおおよそ察する答えが出てきた。


「お前、“ 何者” になったんだ?」


すると、来栖の腕に視認できる黒い風がまとわりつく。


「よ…妖力!?」


妖刀。桜が知る限りでは、怪しげな力を発生させる程度しか知らない。桜や、恐らく同じ学園の徳川空あたりが使っていたと思う。


「違う。これは “波動” だ。」


聞いたことがない単語だった。


「波動は妖刀と対なす力。」

「対なす…?」

「けど、まぁ。」


ゆっくりと腕を後ろへ引く。


「教えてやる程、私はやさしくねぇよっ!!」


手を前へだすと同時に黒い風、波動が桜へと飛んでくる。


「っ!村雨!」


村雨が来るよりも、波動が来る方が早い。


(先日の戦いを思い出して…)


学校で妖怪と戦ったことを思い出す。

手に力が加わることをイメージする。


波動が目の前まで達したとき、両手のひらを波動へ向けて払う動作を繰り出す。

すると波動は消滅。回避に成功。


「おいおい、マジかよ。こいつ…」


来栖の視点は桜の手。波動を払ったその手だった。


「前もそうだったけど、何かでろーって夢中でやったらさ、なんか出たんだよね。『よーりょく』?それとも『波動』?ま、どっちでもいいけどさ。」


桜は98話で謎の力を無我夢中で発動させていた。来栖の言葉を聞くまで、妖力だと思っていた。


「はっ!だからどうした!見てわかるぜ!お前の波動は付け焼刃。まだ使うは精々二回目ってとこか!?」

「さあね。」


図星。であるが、それを悟られないようにするのが戦いだということを桜は知っている。

こういう時は虚勢を張るということを知っている


「おい、顔に図星って書いてあるぞ。」

「なっ!読心術か!」

「目が泳いでる顔が不自然に強張ってる。」


一般人から見てもわかる嘘をついている顔だった。


「ええい!だからなんだってんだ!二回目だろうが、三回目だろうが威力はかわらんぜ!」


すると、桜の手元に桜色の光が集まる。

それは次第に形を作り木刀へと変化した。

それこそ、桜の武器、『妖刀•村雨』


「ならよっ!防いでみなよ!私の波動を!」


来栖は両手に黒い光。波動を出す。


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