107 ビーチガールズ
「青い海。」
「白い砂浜。」
「眩しい太陽。」
「水着ギャル」
「「「親父かっ!!!」」」
桜たち四人は、ホテルへ着くなり休むことなくすぐさま水着へ着替え、ホテル裏に隣接されているビーチへとでた。
ここのビーチはホテルで管理されているのでゴミなど一つもなく、ホテル宿泊客には専用ロッカー、パラソルが設けられている。
日本人観光客は桜たちの他たくさんおり、周囲を見渡せば一人は日本人が目に付くくらいたくさんいる。もちろん他国の人々もたくさんいる。
手荷物をロッカーへと入れて、桜は砂浜を走り出す。
「桜ー、ロッカーに鍵かけてないよー。…もう、本当に子供なんだから。」
七海はあきれつつも顔は笑っていた。
実のところ七海も走り出す寸前であった。
「海ってこんなに青いのね。来た甲斐があるわ。」
「早く泳ごうぉーよぉ♪」
南が氷柱の手を引き海へと入って行く。
奥の深い場所など行けば桜以外は溺れてしまうので膝まで浸かるくらいの浅い場所で遊び始めた。
「氷柱〜、七海〜。」
急に桜が二人をジト目で何かを訴えた。
「なんでパーカー着てんの?」
「何でって…」
二人は水着の上からきるパーカーを着ているのだが、桜はそれがとても不満なようだ。
「だって日焼けしちゃうし…それに…」
「そ、それに、は…恥かしいじゃない!」
身体を周囲の目に晒したくなく、恥ずかしそうにモジモジとる氷柱。
桜の中で、何かのスイッチが入った。
「うっへっへ、愛いのう、愛いのう。」
「桜ちゃん、本当にキモイ。」
両手をワキワキとさせ、よだれを垂らしながら二人へと接近する。
「ちょっ!この変態!」
「いいではないか〜、いいではないか〜♪」
「悪代官かっ!」
ターゲットを七海へと決めたようで、ジリジリと距離を詰め、あと1メートルのところまで近づいてきた。
「ちょっ!やめなさい!あんたらと違って、周囲の目を気にしなきゃいけないんだから!」
空気が凍る。
「あんた “ら” だってさ。」
「七海ちゃんはおっぱい大きいもんねぇー。」
「今の発言はちょっと許せないかなー。南、桜、やっておしまい!」
なぜか、氷柱が指揮をとり、二人が一斉に七海へ飛びつく。
桜一人でも危険であるが、二人掛かりではひとたまりもなかった。一瞬のうちにパーカーを剥ぎ取られてしまった。
「この…!」
恥ずかしいそうに上半身が水に浸かるまで身を屈めながら、憎々しげに桜たちを睨みつける。
「さてと…、次は氷柱だ!」
桜は飛ぶ。ルパ○ダイブの如く。
すると、氷柱は後ろからあるものを取り出し、飛んできた桜の頬へと当てる。
「スイッチ、オン。」
「ぴぎゃぎゃぎゃぁ!!!」
桜の全身に電撃が走り、海へと沈む。
「つ…氷柱、あんたそれ…」
「スタンガンよ。」
「海でそんなもの使うと危ないよぉ!」
「大丈夫よ。ここに来る前に桜のしつけ用に茜さんから渡されてたの。特殊改造してあって、桜以外に害はないって。」
淡々と説明する氷柱のそばを仰向けに気絶している桜が浮かんでいた。
「よし!ビーチバレーでもしよう!」
「バレー?私たちみたいな運動音痴がやっていいことじゃないよ。」
桜はともかく、南、七海、氷柱の三人は運動がまったくできない運動音痴である。
七海は一般的に運動ができないが、南と氷柱は壊滅的にできない。
「ま、でもせっかくだから、やってみるのもいいかもしれないわね。」
「氷柱ちゃんが言うのならぁ、私もやろうかなぁ~。」
そして2チームへと分かれた。
桜・七海
南・氷柱
のチームとなった。
「ってルールわかるの?」
いざコートに立ってサーブを打とうというときに、やっと疑問に思った。
< div>「今言うの?でも私もわからないよ。氷柱はわかる?」
「悪いけど、私もわからないわ。それじゃあ、適当にこうしましょう。」
ルールは
使うボールはビニールボール
いわゆるバレーボールのサービスポイント制
ボールタッチは3回まで
体の一部分に触れれば1タッチ扱い
というものにした。
「いっくぞー!」
ベシっと桜は見よう見まね、先日バレーボールのテレビで見たサーブの打ち方をマネてやってみた。
ボールが放物線を描いて飛んでいく。思いのほかうまくいったようだ。
ボールが南の元へと飛んでいく。
「あわわ!え~っと手をこうやって…ぎゃっ! 」
手を構えるのが間に合わず、結局顔へボールが当たり球が上へとあがる。
「南、よくやったわ。後は私が…」
氷柱がボールの落下予測ポイントへと向かう。
(現在のボールの現在速度は時速○○km、今のボールは○○度へ傾いているから、重力に元ずく落下秒数を計算。それに『すまっしゅ』というのを打つためには私が○○cm飛んで。計算完了。あそこへ行けば!)
という思考を一瞬で行い、ポイントへ移動する。
一歩踏み出したとき
「きゃっ!」
転んだ。
その数秒後、氷柱の予測位置へボールが落ちた。
相手コートは二 人が倒れていた。
「やった!KO勝ちだよ!」
「いや、そういうゲームじゃないから。」
二人は見て七海は感じた。
「私たちでスポーツをしようなんて、無理な話なんだよ。」
桜たちは二人をパラソルの下へと運んだ。
「あら、あなた達…」
ふと、後ろから声をかけられた。どこかで聞いたことのある声だなと桜は感じた。対して七海はまったく覚えのない声であった。
「村瀬。あんたか。」
「ずいぶんな挨拶なのね。これだから野蛮な女は。」
「誰が野蛮だ!」
「それには同感。てかこの人誰?」
七海が村瀬のことを知らない人と見るように、村瀬も七海を初対面の人のように見ていた。
「あんたらクラスメイトだろうが。」
「「えっ?そうなの?」」
とはいえ、いつもクラスでは接点がまったくない二人である。
特に七海とは違い村瀬はクラス内では強烈に猫を被っているため、まったく目立たないので “女子” からは覚えが悪くても仕方が無い。
が、男子からは影で人気があり親衛隊がいるほどだ。本人はそれを下僕と呼んでいる。
桜とは雲の上春の陣で戦ったので面識はある。
「にしても、あんたその水着…」
村瀬の水着は異常だった。
股から肩までV字状のもので隠す場所はどうにか隠しているものだった。
「高校生が着ていいものじゃないでしょ。」
「あら、あなたじゃ着られないからってひがみはやめてちょうだい。」
「着たくもねーよ。そういえば倉田はどうしたの?」
村瀬は同学年の倉田という老け顔の人物のメイドである。
「倉田さんは会議中です。あら?」
村瀬は桜の近くに転がっているボール。そして、そばのビーチバレーコートを交互に見つめた。
「なるぼどね。」
「何?」
一人何かに納得したように考え込む。
「私たちとビーチバレーの試合をしましょう。」
氷柱と南をパラソルで休ませ、このあと何をするか特に考えてはいない上に、先程のビーチバレーは試合にならなかったこどあり、反対する理由はなかった。
「ちょうどいいしさ、ね、桜。」
「わかった、やろう。でもそっちは一人しかいないけど?」
「すぐに来るわ。うふふ…」
何か妖しい笑みを浮かべていたが何を企んでいるのか特に気にする必要はないだろうと桜は考えていた。
こうして、桜&七海 VS 村瀬&? のビーチバレー対決が始まった。