表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/151

安くて美味しい料理9

五郎さんと子供達に包丁の持ち方から切り方までを教えると、五郎さんはあっという間に覚え今では手慣れた様子で食材を切っている。


「五郎さんってすごいですね…。」


「まぁね。俺何でもできちゃうから。」


「口じゃ無くて手を動かしてくださいね。」


五郎さんの駄目な所って言ったら話すと手を止めてしまうところだろうか。

そんな事を思っていると袖を引っ張られた。


「お姉ちゃん、僕たちは何をするの?」


子供達はもう何かしたくてうずうずしているみたいだった。

五郎さんが材料を切って貰っている間にこの山芋を子供達にすりおろしてもらう事にした。


「皆には山芋をすりおろして貰います。すり鉢が一つしかないから順番にやろうね。」


「は~いっ!」


私はすり鉢を抑え十数えた。

数え終わると子供達はかわるがわる順番をかわった。

子供達が山芋をすり終わる頃には太郎さんは大根を切り終わり、五郎さんも少し遅れて材料を切り終わっていた。


「大根には軽く塩を振って下さい。」


「わかった。」


太郎さんは輪切りに切った大根に塩をふってくれた。

その塩の振り方も随分様になっている。

やっぱり太郎さんって…。


「太郎に見惚れないで僕に見惚れてよ。それで次は何すればいい?」


別に見惚れてた訳ではないんだけど。


「次はさっきすりおろした山芋と太郎さんが刻んだ材料を混ぜ合わせます。」


「了解~。」


「は~い。」


五郎さんと子供達はわいわい騒ぎながら具材を混ぜ合わせた。

途中で塩を加えてもう一度混ぜて貰う。

皆が楽しそうな様子を見て笑っていたら太郎さんに肩を叩かれた。


「次は?」


「え~っと、ちょっと待って下さいね。……うん、水分が出て柔らかくなってる。」


大根の様子を確認してみると塩をかけたおかげで柔らかくなっていた。


「余分な水分は拭いて下さい。そして…次が大仕事です!!」


私は皆を一か所に集めて、お手本を作って見せた。


「この大根の真ん中にさっき混ぜた具材をのせてたたんでいきましょう。こんな感じで半月型になるよ。」


「楽しそう!」


「面白そう!」


子供達は私の見本を見ながら作り始めた。

互いに見せ合いっこしながら。


「具を入れ過ぎるとたたみづらくな気をつけてね。」


「は~い。」


上手に出来ない子に教えていると、そこに初さんと孫次郎さんがやって来た。


「あらまぁ、楽しそうね。私もやってみようかしら。ねぇ、あなた?」


「俺の料理場が…。」


孫次郎さんは何だかショックを受けているようだったけど、黙々と大根餃子を作ってくれた。

初さんは子供達と混じって和気あいあいと作ってくれていた。


「太郎さん、結構いっぱい出来てきたので焼いて貰ってもいいですか?」


「わかった。」


太郎さんには皆が作ってくれた大根餃子を焼くのをお願いした。

大根餃子が焼けてくるとたちまち美味しい匂いが広がる。


「お腹空いた~。」


誰かがそう呟くとあちこちから同じ声が聞こえてきた。

大根餃子を作り終わった子供達がぞろぞろ焼いてる大根餃子の方に近寄って来た。

このままだと押し合いになりそう。


「みんな~、作り終わったら手を洗ってこようっか。そしたらお待ちかねのご飯の時間だよ~。」


「早く手洗わない奴は太郎にー。」


五郎さんが途中まで言うと子供達は一斉に手を洗いに行った。

わかりやすい反応につい笑ってしまう。





面白いと思った方はブックマーク、評価お願いします!

次回もお楽しみに~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ