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安くて美味しい料理7

太郎さんにお願いしたい事を話すと太郎さんは少し嫌そうな顔をした。

やっぱり仕事終わりにやりたくないかぁ。

でもこれが一番安くお料理が出来る方法でもあり量も沢山作る事も出来るのだ。


「はぁ…、わかった。それで進めてくれ。」


「はいっ!ありがとうございます。」


太郎さんはため息交じりに返事をしてくれた。

これであの子達に美味しいご飯を食べさせてあげられる。


そして当日私は必要な調味料と大根一本だけを持って孫次郎さんのお店に向かった。

初さんと孫次郎さんに挨拶をした後、料理場に調味料だけ運ぶと、孫次郎さんは不思議そうに私が持って来た材料を見た。


「おい…それだけか。」


「はい、そうですけど?」


孫次郎さんはこの件について知っているはずだけど。

少し疑問に思ったが、初さんに呼ばれそのまま仕事をしたのだった。

そして時間はあっという間に過ぎ、外から賑やかな声が聞こえて来た。


「来たみたいですね。」


「今日は楽しくなりそうじゃないか。」


初さんは嬉しそうにクスクス笑った。

確かに今日は楽しい日になりそう。

最初にお店に顔を出したのは大はしゃぎした子供達だった。


「皆、久しぶり。」


「お姉ちゃん!会いたかった!!」


「お腹空いた~。」


「今日もおでん?」


子供達は会うや否や元気いっぱいに話しかけて来てくれた。

お店の中が一気に賑やかになる。

少し遅れて太郎さんと五郎さんもお店に入って来た。


「おいっお前ら!!静かにしろっ!」


太郎さんが怒ると子供達は静かになった。


「そう、そう、太郎の言う通りだよ。お姉ちゃんが困ってるでしょ。」


五郎さんは場を和ませるためか、明るめな声で話し私にウインクした。

そんな五郎さんを無視して…話を進めよう。


「え~、今日は皆さんに材料集めから料理までやってもらいます。」


「僕達が?」


「出来る…かな…。」


子供達からは不安そうな声が上がる。

無理もない。


「大丈夫!私も手伝うから。まずは材料集めから始めましょう。」


私達は初さんに教えて貰って山菜などが多く取れる場所に行った。

移動中でも子供達はとても楽しそうだった。


「食べれそうなものがあったらこの籠の中に入れてね。」


「「は~い!」」


子供達は次々とかわりばんこに籠の中に食材を入れていった。

心なしか私より子供達の方が詳しいような気がする…。


「みんな…凄いね。これも食べれるんだ。」


私の独り言に太郎さんが反応した。


「ここに来る前は農民だった奴が多いからな。例外もいるが…。」


だから皆詳しいのかぁ。

そして子供達のお陰で直ぐに籠の中が一杯になった。


「これぐらいあれば大丈夫ね。お店に戻るよ~。」


「「は~い。」」


籠を持ち上げようとしたら、籠が取り上げられてしまった。

籠を持ってくれたのは太郎さんだった。


「行くぞ。」


「えっ!待って下さい!その籠は私が持ちます。それに…それだと太郎さんが籠を二つ持つ事になります。」


太郎さん、五郎さんもそれぞれ籠を持って来ていたので、太郎さんが持つ籠が増え大変になってしまう。

そしてなんかよくわからないけど手が空いてしまう罪悪感が嫌だ。

仕事中だからかな?


「だったら五郎、お前がこっちの籠を持て。」


「いいよ~。ってうわっ籠の中少なすぎない?もしかして…太郎さぼり?」


太郎さんから渡された籠の中は確かに少ない。

太郎さんは無言で五郎さんに近づき、五郎さんが背負っている籠を引っ張った。


「五郎…お前も随分少ないが…さぼりか?」


「ちょっと冗談言っただけじゃん。それにっ太郎よりは入ってるよ!」


五郎さんが言った通り太郎さんの籠の中に比べて五郎さんの籠の中の方が若干多い気がする。

五郎さんが私の耳元に語り掛ける。


「太郎がさっき怒ったからさ…。怖いお兄ちゃんより優しくて可愛いお姉ちゃんの方がいいでしょ。」


「………。」


なるほど…?

異様に近い五郎さんを笑顔で跳ねのけた。


「みんな~、一緒に戻ろうね~。」


私は籠を持つ代わりに子供達と手を繋いでお店に戻った。

そして…五郎さんは太郎さんに全ての籠を持たされて店に戻った。

店に戻ると先に子供達と手を洗い、太郎さんと五郎さんの到着を待った。


「ちょっと…ぐらいっ…太郎も持ってよっ…。はぁっはぁっはぁっ。」


「で、次は料理か?」


太郎さんは華麗に五郎さんを無視した。


「はい、太郎さんと五郎さんも手を洗って来てください。」


私の言葉に二人とも驚く。


「俺達もかっ!?」


「本当に言ってる~。俺自信ないんだけど…。」


二人ともブツブツ言いながらも手を洗って来てくれた。

全員手を洗ったところで料理をする為に料理場に移動する。


「孫次郎さん、料理場借りますね。さぁ、みんな入って~。」


「っ…おいっ、どういうっ…」


料理場にいた孫次郎さんは何故か動揺していた。

そして何か言ってる途中で初さんが現れ、孫次郎さんを連れて行ってしまった。

二人の事が気になるけど…今は料理に集中しよう。


「今日はみんなに大根餃子を作ってもらいます!!」


「「だいこんぎょうざ??」」





体調不良だった為、更新が遅れてしまいました。

楽しみに待っていた皆様申し訳ありません!!

次回もお楽しみに~

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