おまかせ料理5
信長様は最初の一口はゆっくり味わって食べていたが、次の一口から食べるペースが上がった。
私はこの風景を良く知っている。
これは美味しかった時の反応だ。
「旨いな…。」
「それは良かったです。」
そうつぶやくと信長様はオムライスを時々はさみながらハンバーグを食べていた。
相当気に入ってくれたらしい。
私も早く食べたい~。
実は中途半端に残ったものでミニハンバーグを作っておいたのだ。
ハンバーグの事を考えると無意識に口の中の唾液が増える。
「………そんなひもじそう顔で見るな。」
いつの間にかじっと信長様を見ていたようだ。
それにしてもひもじそうな顔ってどんな顔ですか?
「…すみません。」
「ほら…食え。」
そう言うと食べかけのハンバーグが載った皿を私に突き出した。
わぁ~いいんですか~とはならない。
「嬉しいお言葉ですが、私はー」
「いいから食えっ!!」
「いっ頂きますっ!」
信長様の圧に押されてつい返事をしてしまった。
私の手には半分ぐらいの食べかけのハンバーグの皿と箸。
お客さんの料理を食べていいのかなと思うと同時に食べないと殺されそうと思うのだった。
「では恐れながら一口頂きます。」
「あぁ。」
ハンバーグを箸で切り分け口の中に。
一度噛めばホロリとくずれ、もう一度噛むとお肉のうま味が溢れ出す。
そしてさっぱりとしたこの和風ソースがまた絶品。
小さい頃はデミグラスソースが好きだったけど、この歳になるとさっぱりとした和風ソースの方を選んでしまう。
「旨いだろう。」
「美味しいです。」
どうして信長様が自慢げなのだろう。
作ったの私なんだけど…まぁ、いいか。
「おい、このはんばーぐとやらは肉か?肉にしては食感が違うが。」
「それはお肉を細かく刻んでいるからですね。他の材料も入れていますがほぼお肉ですよ。」
「一見無意味な手間だが食べれば手間暇かけた意味がわかる。」
さっき与一君にもツッコまれたっけ。
ハンバーグはこうやって作るものっていう概念があったから不思議に思わなかった。
「はい、それがハンバーグです。」
「なるほど…それがはんばーぐか…。」
私達は二人で頷いた後、笑った。
「この里芋フライも是非食べてみて下さい。油で揚げただけですが美味しいですよ。」
「ほう…。」
次に付け合わせの里芋フライをすすめた。
ハンバーグの横にいつも鎮座しているフライドポテトの変わりである。
信長様は私がすすめた里芋フライを口に放り込んだ。
「これは…いかんな…。」
信長様の口から出て来た言葉に驚いた。
あれれれ?もしかして口に合わなかった?
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