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課題

孫次郎さんは怖い顔したまま話す。


「だが…、初から聞いた話だとなるべく安く作るって条件だと聞いたが、これだと少し高く付くだろ。」


「そんな事無いですよ。ちゃんと予算以内です。材料は大体この辺の山に入れば取れますし。」

 

山に入れば0円で手に入る食材には感謝しかない。

お肉は薄く切ったり、細かく刻み山で採れる山菜を多めに混ぜてつくねにしたりした。


「やっぱりな。安すぎる…。」


「えっ…?」


ちゃんと予算以内なのにどういうこと?


「確かにその方法だと材料に金はかからない。だが、その貰う金の中にお前の手間暇の金は含まれてるのか?」


「それは…。」


一応利益が出るように計算して料理はした。

でもその中に自分の手間賃は含んでいなかった。

いや違うな…、含まなかったんだ。

お客さんとお店が損をしなければいいと思ってたから。


「もっと自分を大切にしろ。」


現代でも自分の事を後回しにしてた。

ここに来ても同じ事してた。

孫次郎さんのお陰で今更だけど気付けた。


「ありがとうございます。」


「客としてお前の料理に文句言いに来ただけだっ。」


私がお礼を言うと孫次郎さんはムスッとして立ち上がり去ろとするが途中で止まり、戻って来てまた同じ場所に座った。


「んんんっ。…ところでこれは何だ…。」


孫次郎さんが皿を私に見せる。

皿の中にはほんの少し残った汁しか残っていなくて、最初は何を言っているのかわからなかった。

あっ、そうだった…この時代醤油なかった。


「あ~実は…味噌の上澄みをー。」


孫次郎さんは真剣に話を聞いてくれた。

それはもう…怖い顔して。

醤油の説明をしていると、横で聞いていた太郎さんと五郎さんも会話に入ってきた。


「なるほどな、食った時無いのに馴染みがある味だと思った。面白いな…味噌の上澄みか…。」


「へぇ~。太郎と違って俺は美味ければ何でもいいけどねぇ。」


又しても分かれる食い専門と料理専門。

どうやって作ったか知りたい人って意外と料理好きが多いんだよね。

孫次郎さんはともかく太郎さんも料理屋さんの息子だから興味があるのかな?

こうしていつもより賑やかな時間が過ぎていった。


充実した日を過ごし、今日を終わらせようとしてた矢先。

店に帰るとあのお客さんが私を待っていた…。


「やっと帰って来たか。飯を作れ!!」




あの男とは?!

雰囲気で察している方もいらっしゃると思いますがお楽しみに〜

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