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結果

五郎さんをスルーしておでんを選ばせる。


「さぁ、何にしますか?」


「そうだった。えーっと、さっきのきのこの肉巻きって言うのも肉が汁吸ってて中々美味かったからなぁ。今度は山菜肉巻きとしいたけで。」


「肉巻きって初めておでんに入れる具材だったので気に入って貰えて良かったです。」


五郎さんが選んだ具をお皿に入れると、五郎さんは先程宣言した通り鍋の近くに座った。

そこに先程まで少し離れて食べていた太郎さんがやって来て五郎さんの隣にすわる。


「げっ、何でここに来たんだよ~。太郎は黙ってあっちに座ってろよ。」


「お前がこれ以上馬鹿なこと言わないようにな。俺にこいつと同じの。」


太郎さんはそう言うとお皿を私に突き出した。

私は慌てて鍋の中から具材を探してお皿を渡した。

五郎さんと喧嘩している最中なのに同じ具を選ぶなんて…。

仲が良いんだか悪いんだか。


さっきまで具材を盛るので手一杯だったので、やっとおでんを食べる人の反応をゆっくり見ることが出来るなぁ。

二人とも鍋の近くに座ってくれたので反応が見やすくなった。

五郎さんが物々言いながら肉巻き山菜を一口かじる。

太郎さんはそっぽ向きながらしいたけを一口かじる。


「「………。」」


五郎さんは物々言うのを辞め、少し唐辛子を汁に溶かしまた肉巻き山菜をパクリ。

太郎さんは前を向いて、唐辛子味噌をしいたけに少し塗りパクリ。

そして二人とも一言…。


「「うまっ。」」


「それは良かったっ。」


何度聞いても嬉しい言葉だ。

その言葉だけで自分の不安とか労力が報われたような気がする。

私の気持ちも知らず二人は目の前でおでんの情報交換をしている。

さっきの喧嘩は何処へやら。


「太郎しいたけに何したの?」


「唐辛子味噌塗った。お前は?」


「俺?唐辛子を汁に入れて、肉巻き山菜に浸して食った。辛いの意外といいわ~。」


情報交換を終えた二人は黙々とそれぞれが会得した情報を試していた。

その光景を見てふっと思い出す。

そう言えば…さっき子供達もこんな事してたな。

美味しさを共有したいのは大人も子供も一緒って事かな。


私がホカホカした気持ちで二人を見ていると鍋の近くにまた一人座る。

その人物を見て背筋が伸びた。


「っっ孫次郎さんっ…何か食べますか…?」


「残ってるの何でもいい。」


残っているのと言われましても…。

一応、残っているのを言っておこうかな。


「大根とっー。」


「何でもいい。」


「わかりました。」


二度も何でもいい宣言されてしまうと何も言えなくなる。

何でもいいが一番困るんだけどなぁ。

とにかく孫次郎さんが食べてないのにしよう。

最初に肉巻き二種類食べて…初さんがおかわり持って来た時は…昆布とだいこんだから…。


よしっ!!しいたけと里芋にしよう。


「はいどうぞ。しいたけと里芋です。」


「………ふんっ。覚えてたか。」


孫次郎さんがそう呟いたのが聞こえた。

えっ…もしかして今試されてたっ!?

良かった~!!しいたけと里芋にしといて!!

黙々と食べる孫次郎さんに恐る恐るおでんの感想を聞いてみる。


「お味どうでしたか…?」


「俺に聞くな。周りを見ればわかる。それがお前が料理で出した結果だ。」


孫次郎さんに言われ、周りを見た。

食べ終わり走ったり、ゆっくり食べてる子も全員楽しそうに笑ってて、大人達はしみじみとおでんを楽しんでる。


「料理で出した結果…。」


一人一人が楽しんで満足しているのがわかる。



30分後くらいにもう一話投稿します!


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