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名前の秘密

太郎さん達の話を聞いた初さんはそれは楽しみねっと言って孫次郎さんの所におでんを持って行った。

そして太郎さんらがおでんの具を選ぼうとした時に小さい頭がひょこひょこと集まる。


「太郎~何選ぶの~?」


「お前らが残したのを食うしか無いだろ。何残ってる?」


「つくねと肉巻ききのこ以外なら全部残ってますよ。」


男の子が太郎さんの首にしがみ付きぶら下がっている。

太郎さんから小さいうめき声が聞こえた。

見ているだけで苦しそうなのがわかる。


「降りろっ…。」


「つくねってあの肉団子でしょ。あれ美味かったよ。太郎は食べた?」


「食べてねぇよっ。お前ら肉ばっかり食い過ぎだ。と言うか…早く降りろっ!!」


「うわ~~!太郎が怒ったっ!みんな~五郎のところに逃げろ~~。」


一人の男の子の言葉で近くに居た子供達全員が後ろにいるもう一人の太郎さんの後ろに逃げた。

さっきの子、後ろにいる太郎さんの事を五郎さんって言ったよね?


「太郎さんじゃなくて…五郎さん?」


「あ~、え~と、五郎で~す。あははは、ごめんね。」


五郎さんは申し訳なさそうに謝った。

私の前にいる本物の太郎さんは大きなため息を付き、先程自分の首にしがみついていた男の子を睨んだ。

男の子は覗かせていた顔を素早く五郎さんの後ろに隠す。


「これはお前が悪いぞ、太郎。こいつらに隠し事させれば、こうなるの事は見えてただろう。お前の我儘に付き合ってやったこいつらを怒るなよ。」


「…昆布と里芋。」


諦めた様子でおでんの具を選ぶ太郎さん。

お皿に具を載せると黙ったまま自分の席に座って食べ始めた。

怒ってるようにも見えるけど無言で食べている所を見ると反省中だったりして?


「あ~あ。俺あいつの隣に行きたくないなぁ。お前も調子乗りすぎだぞ。後で太郎に謝れ。」


「は~い。」


五郎さんは後ろに隠れていた男の子の頭を軽く拳で叩いた。

男の子は反省したのか先程より声に元気がない。

男の子を一叱りした後に、五郎さんがいきなり私の前で手を合わせる。


「お願いっ!!ここで食べさせてくれない?ほら、今あいつ…ああだからさ。」


五郎さんは後ろで食べている太郎さんを親指で指差す。

太郎さんを見ると目が合ってしまった。

にっ睨んでる…。

私を睨んでると言うより指差してる五郎さんを睨んでるような気がするんだけど。

いつまでも辞めない指差しを辞めさせるべく、笑顔で五郎さんの指を手で隠し強制的におろさせた。


「ここで食べてもいいので…手はおろしましょうか!」


五郎さんが口元を抑え、私に輝く目線を送る…。

ん?一体どうしたんだろうか?


「手を握ってくるなんて…。俺の事誘ってるの?まいったな~っ!」


「………。」


後ろの状況を知らない人は幸せだ。

私だけならまだしも近くに居た子供達までもが白い目で五郎さんを見つめ同じ事を思う。

この人何言ってんだろう…。


お次もお楽しみに!

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