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惣菜まん

買おうか悩んでいるお客さんの後ろで何人かの人達が立ち止まっている。

よし、もう一声。


「お姉さんも旦那さんもお味を見てって下さい。さぁ、さぁ。」


数人のお客さんがゆっくり近づいて来た。

試食をしてもらうと、皆美味しそうに食べてくれた。

その状況に焦った最初のお客さんであるお兄さん。


「嬢ちゃん、俺に一つ…いや、二つくれ!」


やった!売れた!!

しかも二つも。


「お二つですね。ありがとうございます!」


現代では中華まんは紙に包み渡すところだけどこの時代だとそうもいかない。

紙は高級品で平民である私には手が出しにくい。

そこで、いつもお世話になっている笹の葉に包む。

笹の葉は紙よりも厚さがあるので、熱くて手で触るのが少し大変な惣菜まんには打って付けだ。


「はい、どうぞ。またいらしてくださいね。」


「おう。」


最初の二つが売れると、続けざまにまた一つまた一つと売れていく。

売れるスピードはゆっくりだったものの全て売り切ることが出来た。

孫次郎さんの店に入るとお初さんが話しかけてくれた。


「お疲れさん。上手くいった?」


「はい、お陰様で作った分は全て売る事が出来ました。」


「道理でこっちの客足が少ないと思ったよ。」


覚悟はしてたけど…。


「すみません…。」


「真に受けるんじゃないよ。冗談さ、冗談。まったく…。」


お初さんはそう言うが本当の所はわからない。

惣菜まんが売れたのは嬉しいけど、孫次郎さんのお客さんを取ってしまったと思うと複雑な気持ちになってしまう。


「あ~、あ~。そんな顔して、冗談だって言っているだろう。はぁ~、そこに座って待ってな。」


「…。」


孫次郎さんに挨拶して早く帰ろう思ってたんだけどなぁ。

お初さんに言われた通り座って待つ。

奥から引きずられながら孫次郎さんを連れて来た。


「今日はいつもよりお客さんが入ってたわね。ねぇ、あんた。」


孫次郎さんはお初さんの問いに一言。


「………。知らんっ。」


孫次郎さんは右上を見ていて、目を合わせようとしない。

孫次郎さんと目が合わない代わりにお初さんと目が合う。

お初さんはクスリと笑い私にウインクした。


「本当に素直じゃないんだから。客足は減っているどころか増えてるよ。あんた所で買わなかったお客がこっちに流れて来てるからね。」



これは…喜んでいいものなのだろうか…しかし作戦初日にしては大成功に終わる事が出来た。

孫次郎さん夫婦とも上手くやっていけそうだ。

この調子で太郎さんの情報収集も頑張っていこう。





ゴールデンウィークに入りました!!

来週は多めに話を出していきたいと思います~

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