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戦国食堂はじめます〜玄米にお湯をかけるだけの戦国料理…私がもっと美味しいもの作ります〜  作者: 好葉
第一章

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与一の夢(与一目線)

おっとうが最近お土産を持ってくるようになった。

そのお土産は握り飯やさばの料理とか普通の料理だった。

だけど食べてすごく驚いた…。

衝撃の美味さだったのだ。


最初は食べるだけで満足していたけど、どうやって作っているか気になり始めた。

料理人はおっとうから貰った卵で料理をしたらしく、その料理がたいそう美味かったと話していた。

卵が美味しいだって…変なの…。


いつからか作り方も料理人も気になって仕方がなくなった。

だから、その店に行ってみることにした。

僕も何度か通った事がる場所だから迷わずに行くことができた。


店中は数人のお客さんと一人の女の人がいた。

確か、昔おっとうの知り合いのよしとか言う人だったけ。

僕が探しているのはこの人ではない。


「あっ…、あっちに人影…。」


そっと、裏口に回り台所を覗く。

台所には若い女性が忙しそうに動いていた。

だが、後姿だけなのであの料理人かわからない。


おっとうはすごく美人な人だって言ってた。

美人ってどういう人の事を言うんだろう…よくわかんないや。


だけど後姿だけでも料理の手際がいい事だけはわかった。

一瞬でいいから顔見れないかなぁ。

心の中でそう願うと綺麗な女の人と目が合った。


「っ…!!」


どうしよう…。

何を話せばいいかわかんない。

だって今日は顔見るだけだったし……。

あれって…食べ物…?

彼女の後ろに置いてある黄色いものに目がとまる。



「お前…本当に変な料理作るんだな。それ…。」


彼女は何か考える素振りをし、にこりと笑う。


「これ、味見してみる?卵…食べれる?」


「食べれる…。」


どうやら彼女には俺が腹が減った子供に見えているみたい。

ちょっと腹立つが、彼女の料理が気になるのでそういう事にしてやった。

それより…あの料理が気になる。


「はい、どうぞ。」


「ん…。変なの…渦巻き?」


皿には玄米の塊の上に黄色い渦を巻いたものがのっていた。

初めて見る形だ。

黄色いのは見るからに柔らかそうだ。

黄色い物からは俺の知らない匂いがして、玄米からは酸っぱい匂いがする。

この飯…食えるのか?


少し怖いが一気に口の中に突っ込む。

なんだ…これ…甘くて酸っぱくて……うまい!


「…甘い…。」


玄米から酸っぱい匂いがしていたから腐ってないか心配だったけど、これが美味しい。

黄色は思った以上に柔らかく、そして甘い…。

果物の甘さとは少し違う気がする…なんだろう。

まぁ、とにかくこの二つがすごく合っていて美味しいのは違いない。


「甘酒が入っているから少し甘いんだよ。」


甘酒…?

おっとうの口からいつだったか聞いたような気がする。

帰ったらもう一度聞いてみよう。


あんな小さなおにぎりだと物足りない…。

もう少し食べたいなと思っていると皿に黄色のものを二つのせて渡された。


食べたいと思っているの事に気付かれて凄く恥ずかしくなる。

これじゃ、本当に腹を空かせた子供じゃないか。

恥ずかしくて一気に口に突っ込んで食べてしまった。

もう少しゆっくり食べればよかったと後悔した。


皿にのった料理を全て食べてしまい、いつこの場を去るか考えていると店の外から誰かが呼んだ。

声が聞こえる方向に女の人が気を取られた隙に走って逃げた。

理由はないけど、でも何となく逃げた。

今日食べたあの料理の事を俺は生涯忘れることはないと思うほどに美味しいものだった。


それから、毎日通うようになった。

あの料理の作り方が知りたい一心で…。

使われているのは玄米と甘酒ぐらいしかわからなかった。

もっと知りたい!!


甘酒はおっとうから聞く話によると甘い酒らしい…そのままじゃないか。

黄色の正体は謎のままだ。


見てればわかるだろうと思ったけど、いつ来てもあの黄色いのを作っている様子はなかった。

何回か声を掛けられたが、あいつは俺が腹が減ってこの店に来ていると思っているらしく、おにぎりを食べるかと聞いてきたことがあった。


勿論断った。

それからは質問されても喋らなかった。

別に意地を張ってたわけでも…ましてやあいつを好きになったわけでもない…。

理由は何となく…だ。


日差しが強い日、また性懲りもなくまた話しかけてきた。

そろそろ喋ってもいいかなって思うけど、いつの間にか喋りづらくなってしまった。


そんな時に黄ばんだ水を渡された。

匂いを嗅ぐとほんのり梅の匂いがした。

見た目はどう見ても飲める水に見えない…。


飲もうかどうか悩んでいたらあいつから先に飲んだ。

その美味しそうな顔に釣られて俺も飲んでみると、甘い水だった。

こんな美味しい水があるのかと驚いた。


「甘い…。」


この人は水まで美味しく出来るらしい…。

水に味を付けるなんて驚いた。

飲み水をこんなに美味しくできるなんて…!!

それから蜂蜜を舐めて、甘い水もおかわりをした。


これ…何て言う水なんだろうなぁ。

自分の名前のと引き換えにこの甘い水の名前を聞いた。


「俺は与一…。これ何て言うの?」


「これは、梅ジュースっていうんだよ。」


「じゅーす…?」


「えっと、甘い飲み物の事かな。」


梅じゅーす、と言う名前らしい。

作り方も梅と蜂蜜を入れて混ぜるだけで簡単に出来るみたいだ。


俺にもこれ作れるかな…。


そう心の中で喋っていたつもりだったが、口に出していた。

しまったと思い、またその場から急いで逃げてしまった。



次の日、気になりまた行ってみるとあの人の話声が聞こえてきた。

俺を探しているらしい。

あいつは俺をみつけるとにこりと笑う。


「一緒にクッキー作ろう!!」


いきなりの言葉に、つい頷いてしまったけど…くっきーって何だ?

作ってみればわかるか…。

黄色の奴を出来れば作ってはみたかったけど、くっきーとやらも気になる。


あいつが言った通りに鍋に用意された材料を入れていくが、卵が実際に出てきた時には驚いた。

本当にこの固いのを食べるのか…?


あいつが見本に卵を叩き割る。

すると中からどろりとした物が鍋に入った。

俺も真似して叩いてみるが中々割れない、今度はもう少し強く叩いてみると卵が割れた。

だけど強く叩きすぎて中身が少し出てしまった。

あいつが鍋を引き寄せてくれたお陰で何とかなった。


卵から出たのを見てみると水の塊の真ん中に黄色の丸が浮かんでいた。

どうやらこの外側の固いのは食べないらしい。

少しほっとしたが…。

中から出てきたものも美味しそうには見えない。


そしてあいつのいわれるまま材料を入れ混ぜた。

すると黄色みがかった一つの塊が出来た。


「次は好きな形を作って見て。形は何でもいいんだけど、厚さだけ気を付けて欲しいんだ。大体このぐらい。」


あいつの手の平にはへらべったく丸い形になったものが、のかっていた。

花でも生き物の形でもいいらしいので、俺も好きな形を作る。


最初に作ったのは俺のおっとうの道具…。

その道具を使って仕事をするおっとうは誰よりもかっこいい。

俺の自慢のおっとうだ。


道具の形を一通り作ったら、次は黄色のあの料理の形をいっぱい作った。

中々上手く出来たと思う。

その時にあの黄色い料理の名前がやっとわかった。

どうやら、玉子のお寿司と言うらしい。


作ったくっきーをかまどの中に入れた時は、燃やして炭にでもするのかと驚いた。

だってかまどの上に置くのではなく、火が少しついた中の方にいれたから。

驚き過ぎて言葉がでなかった。


初めて見る方法だったけどどうやら焼いているみたいだ。

焼きあがったくっきーは少し温かく甘くて美味しかった。


三つのくっきーは、どれも美味しいけど…。

でもやっぱり美味しいのは俺が作ったくっきーだな。


あいつは俺が作ったくっきーを全部持たせてくれた。

おっとうにも食わせてやりたいと思っていたからすごく嬉しい。


急いで家に帰り、おっとうの帰りを待った。

日が暮れ始め家の中も薄暗くなってきた頃に、おっとうが帰って来た。

早速、おっとうに今日作ったくっきーを見せる。


「おっとう!見てくれっ、俺が作ったんだ!!」


「お前が…?どれ。」


おっとうは俺の頭を撫でながらくっきーを掴み、興味深そうに見る。


「これは…金槌の形か?」


「うん!当たり!」


さすが、おっとうだ。

俺が作った形を一瞬で当てる。

あの人はよくわからないみたいだったけど、おとっとうは見てすぐに答えてくれた。

おっとうは大きな口でくっきーを一口で食べた。


「うまいな。なんだ?これ?」


「へへへっ。くっきーって言うんだ。」


「…くっきーかぁ。これをお前が…なぁ。」


おっとうは驚きながらも嬉しそうに食べてくれた。

俺が作った初めての料理が褒められたのがすごく嬉しい。

次は何をおっとうに作ってあげようか考えながら一緒にくっきーを食べた。

その時、俺の心の中に料理人という夢が一つ出来たのだった。



今回、色を想像しやすくする為に黄色と表現しています。


誤字脱字報告ありがとうございます。

これからも応援よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 年頃の子が特に理由はないけどなんとなく逃げちゃったり黙っちゃうところがすごくリアル
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