表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/151

納豆餅とじゅね餅

材料がそろったところで納豆餅を作っていくのだが…。

玄道さんが持って来た藁に包まれた納豆を見て改めて思う。


「なんか可愛いですよね。」


藁に包まれた納豆はスーパーに並んでいる納豆より納豆らしく、その姿は私の目には可愛く見えた。


「普通だろ。」


私の何気ない言葉に玄道さんは素っ気なく答える。

戦国時代の人からしたら普通かもしれないが、私からしたら新鮮で面白く可愛いいのだ。


気を取り直して藁の中から可愛いらしい納豆を取り出し、そこに醤油、砂糖を加えよく混ぜる。

納豆を混ぜながらつい、つきたて餅をチラリ、チラリと何度も見てしまう。


「ちょっとぐらい食ってもいいだろ。」


玄道さんのそんな言葉にかなり心揺さぶられる。


「えっ…いやでも流石にそれは…。」


「味見だ、味見。ほれ。」


玄道さんはつきたてお餅の大きな塊を一口分ちぎってくれた。

私の為にちぎってくれたのならそれはもう私が食べるほかない。


「その…じゃあ一口。」


「なんかつけるか?」


「いえ、このままで。」


お餅の最初の一口目は何もつけずに食べると決めている。

それが私の流儀だ。

最初は素材そのものの味を楽しみたい。

手に持った瞬間のこのモチっと感がもうたまらなく、好き。

期待に心膨らませ、口の中にお餅をそっと入れた。


「どうだ?美味いだろ?」


そんなの旨いに決まっている。

モチッ…モチッ…とこの幸せな食感を噛み締めれば、餅米の甘さが際立つ。

私は食む事を辞めず玄道さんを見つめながら何度も頷いた。

ずっと噛んでいたい!!


そんな幸せな一口を頂いたのち、気を取り直して納豆餅を作る。

先程の調味料を混ぜた納豆に一口大にちぎった納豆を放り込み納豆がよく絡むようにかき混ぜる。


「これで一品完成です。」


「本当に餅と合うのか?」


玄道さんは出来上がった納豆餅をじっと見つめる。

初めて見るビジュアルに驚いているみたい。


「合いますとも。さて、次はじゅね餅を作りますよ。」


「じゅ…何だって?」


「じゅね餅です。私のおばあちゃんの故郷の味です。じゅねはえごまの事を言うんです。これも甘じょっぱくて美味しいですよ~。」


「はぁ~、えごまの餅か。なるほどなぁ。」


お正月には絶対出てくる我が家の定番のお餅でもある。

材料の中にえごまが目の端に見えたのでこれも作ろうと思った。

これはちょっとだけ手間がかかる。


鍋でえごまをから炒りしたら、すり鉢ですってそこにお砂糖とお味噌を加え、ようすをみながらお湯を少し加えるのだ。

地域によっては醤油をいれたり塩を入れたりするところもあるのだが、私の家では味噌を入れて作る。


「あとは餅を絡ませれば完成です。」


「ふむ。黒いがこのとろみはくるみ餅によく似ているな。」


玄道さんは作りたてのじゅねのとろみを確認するように何度もさじですくう。

玄道さんの真剣さがわかり本当に料理が好きな事が伝わってくる。

心の底から嬉しいなぁと思った。


「さぁ、次はしょっぱ~いお餅を作りましょうか!」


「……おう。」


私がいきいきとする中、玄道さんはいったい何品作るのだろうかと不安になっていた。



執筆していたらたまらなくお餅が食べたくなってきた…

次回もお楽しみに〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ