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めでたい料理

そして私が材料集めで忙しくしている時、お店に見覚えがある僧侶さんがやって来た。


「あれ?玄道さんですよね。」


「おう、菜蔵も元気そうだな。あぁ、でも今は菜蔵じゃないか。」


「私の本当の名前は菜です。」


あれからお寺の様子が気になってはいたが、時次さんに落ち着くまで近寄らないように言われ待つ事にしていた。

だから玄道さんの元気な姿を見て安心したのだが、玄道さんの様子がちょっとおかしい。


「…なんだ…その、今日来たのは…。」


「はい。」


「………おいっ、あんまこっち見るな。」


「はい?」


玄道さん…ぎこちない。

久しぶりだから緊張でもしているのだろうか。

頭を傾げていると与一君がお店の奥から出てきた。


「…お久しぶりです。何かごようですか?」


「おぉ、坊主いいところに来た。菜蔵に明日の夜、寺に来いって伝えておいてくれ。こっちも落ち着いたからな。不安だったら誰か連れて来てもいいそうだ。その…あいつも女だし…怖いだろうからって。じゃあ、頼んだぞ。」


「…明日は忙しいから無理。」


「おうそうか、頼んだぞ~。」


「……僕の話聞いてない。」


玄道さんは私を居ないものとし与一君に言伝を頼んで去って行った。

玄道さんとは多少は仲のいい関係を築けていたと思っていたので先程の反応は悲しい。

その後、その事を時次さんに相談して一緒に来てもらう事になった。


お寺に行く当日、与一君と時次さんが何か話した後に私は何故か着替える事になった。

時次さんに急遽用意された服を見て少し驚く。


「もう私が女性だとばれているので、男性の着物に着替える必要は無いのではないでしょうか。」


時次さんは爽やかな笑顔で着物を私に渡す。


「そんな事はありません。夜な夜な女性がお寺に出入りしていると噂がこれ以上広がってはあちらも困るでしょうから。」


「なるほど…。」


確かに今頑張っている時に私のせいで変な噂を立たせる訳にいかない。

着物に着替えようとしたのだが、男性用の着物に着替えるのは二回目だったので上手く着替えれる訳もなく…。


「す…すみません。」


「いいえ。私も気配りが出来ていませんでした。」


「そんな事は全然っ!」


時次さんに着物を直して貰っている時、妙に気まずかった。

あれ…今までどうやって話してたっけ。

何とか会話をするが時々変な無言の時間がある。

次は何を話そうかと考えていると時次さんが先に話してくれた。


「お寺に行くのはやはり緊張しますか?」


「そう…ですね。」


お寺というよりは時次さんの方に緊張している方が強いけど…。


「ご安心ください。私が必ずお守りします。」


時次さんは腰紐を直し終えると、両手を握りしめられた。

これは…この構図はお姫様と騎士の恋愛小説で見た事がある!

私は一体どう反応すればいいの!

対応に困っていると、時次さんは何もなかったように立ち上がる。


「これでいいでしょう。さぁ、行きましょうか。」


「は…はい。」


仕事人間だった私にああいゆうのはハードルが高すぎる。

それにあんな真剣な目をされたら…本当に困ってしまう。

ゴールデンウィークも美味しい気分になってくれると嬉しいです。

次回もお楽しみに~

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