電子書籍発売記念:両思いデート
本日5/2
『大嫌いな婚約者が理想の旦那様でした』
改題し、
『大嫌いな婚約者は理想の旦那様でした~一途なわたしの恋の物語~』
というタイトルで電子書籍配信されました!
以前電子書籍で配信されていた全2巻を1冊にまとめ加筆修正した合本版です!
書き下ろし番外編もあります!
詳細は活動報告、もしくはこのページの下の方をどうぞ!
「ふふ……ぐふっ」
「笑い方が気持ち悪い」
「惚れた相手にはっきり言うところも好きですわよ」
クラリッサの言葉にアルバートは顔を赤らめた。ちなみにクラリッサの気持ち悪い笑いは両想いになった嬉しさからである。嬉し過ぎて自分が気持ち悪い存在となっている自覚はあるが、クラリッサは美しさがあるため多少はマシだろうと改める気はなかった。
「す、好きとかそんな簡単に言うものじゃ……」
「なるほど、アルバート様は両想いになると『好き』という言葉に弱いと……覚えておきます」
「いらないこと覚えるな!」
アルバートに言われても、クラリッサはしっかり心のメモに書き込んだ。ここぞというときに使うのである。
「アルバート様、わたくしたち、両想いなんですわよね?」
「そ、そうだな……」
照れるアルバートは可愛い。クラリッサはほっこりした気持ちになりながら提案した。
「両想いデートをしましょう!」
「え!」
「わたくしたち、デートはしましたが、あの時はわたくしの片想いでした」
クラリッサはアルバートを上目遣いに見つめた。
「わたくし、両想いになったアルバート様とデートがしてみたいです」
クラリッサの綺麗な瞳にアルバートが映る。
あざとすぎる仕草であるが、想いの通じ合ったばかりのアルバートには効果は覿面であった。
アルバートがさっとポケットから財布を取り出した。
「……数ヶ月後でいいか?」
「さすがにそこまで気長ではないです」
待てが長すぎる。
「アルバート様、わたくしに遠慮する必要はないのです。お金の心配は不要です」
「いや、男としてそれはあまりになさけないだろ」
「そんなことありませんよ、だって……」
クラリッサは息を吸い込んだ。
「結婚したらわたくしの全財産、アルバート様と共有しますのよ」
アルバートは激しい衝撃を受けた。
「……ッハ! い、一瞬息をするのを忘れた!」
「息はしてください。未亡人になるには早いです。ちなみにわたくしは、孫に囲まれアルバートに手を握られて看取られるのが夢です」
「いきなり最期の希望を伝えてくるな」
「最期の瞬間まで一緒だという意思表示です」
クラリッサにとっては当たり前のことだった。これから先片時もアルバートのそばを離れる気はない。死ぬ時は自分が先に死ぬのも譲れない。アルバートのいない世界で生きるつもりはなかった。
「金持ちと結婚することの重圧がようやく来た気がする……」
「銀行に行ったらもっと実感しますわよ。お金がザックザクです」
「怖い話をするな。重圧に負ける」
アルバートが「従業員の人生、お金と欲望の世界、有り余るお金と嫉妬……怖い……」とブツブツ話し始めたのでそろそろからかうのをやめようとクラリッサは話を戻した。
「デートは来週ですわよ! いいですね!」
「いや、金がな……」
「いいですわね!?」
「はい……」
クラリッサの圧にアルバートは負けた。
◇ ◇ ◇
「さあ! 来ましたわよ!」
待ちに待った日、クラリッサは興奮していた。
「家具屋に!」
「何で?」
アルバートから率直なツッコミが入った。
なにがどうしてデートで家具屋に行くことになったのか彼にはわからない。わかるのはデート向きではないということである。
「だって、わたくしたち両想いでしょう? 恋人でしょう? いずれは結婚するでしょう? できれば早めにするでしょう? そうなれば必要なのは家具」
「思考回路が極論すぎる」
アルバートもいずれは結婚を視野に入れているが、こんなにいきなり家具を選ぼうとは思っていなかった。結婚の日取りが決まってからだと思っていた。
「善は急げですわ。家具を買うことによってアルバート様の気が変わることを防ぐんです。お金を出していたらアルバート様の性格上、振ることはないので」
「俺をなんだと思ってる?」
アルバートはクラリッサを好いている。それらもう、クラリッサと別れると思うとうじうじして引きこもる程度に好いている。
簡単に心変わりすると思われては困る。
「もちろん信用していますわ。ですが、いつどこで何が起こるかわからないのが人生です」
「お前が言うと深いな」
「割と色々ありましたからね」
クラリッサが家具屋の中をスタスタ歩いていく。
慌てて店員が飛んできて、クラリッサの前で頭を下げた。
「クラリッサ様、本日はお越しくださり――」
「そういうのは結構ですので、ベッドを見せてくださる?」
クラリッサの要求にアルバートはギョッとした。
「いきなりベッドから見るのか!?」
「当たり前ではないですか!」
クラリッサは大きく口を開いた。
「これから十数年間アルバート様と手を繋いで寝る大切なベッドですのよ!? 一番大事ですもの!」
アルバートは店員と顔を見合わせた。
「……手を繋いで寝るのか?」
「はい」
「それだけか?」
「なんなら両手を繋いでもいいです」
クラリッサは澄んだ瞳をしている。
アルバートは色々想像した自分を殴りたくなりつつ、言った。
「ゴテゴテしてないやつで」
「わかりました! お姫様ベッドにしますわ!」
「ゴテゴテしてないやつ!!」
アルバートとクラリッサのやり取りを見て、店員はにっこりと微笑んだ。
本日5/2『大嫌いな婚約者が理想の旦那様でした』が
タイトル改めて、
『大嫌いな婚約者は理想の旦那様でした~一途なわたしの恋の物語~』
として電子書籍配信されました!
あと昨日『妃教育から逃げたい私』最終巻も発売されました!
どちらも何卒よろしくお願いいたします!
(詳細は活動報告、または下のページにて)




