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【電書化】大嫌いな婚約者が理想の旦那様でした【コミカライズ】  作者: 沢野いずみ
本編

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18/55

18:(いつも)突撃訪問するクラリッサ



「来ましたわよ!」

「突然来るのやめてくれる?」


 父とひと悶着あった翌日、クラリッサはラッセンガル邸を訪れた。

 寂れた玄関で自分が来たことを告げるクラリッサに、アルバートは嫌々ながら扉を開けた。


「事前に訪問を伝えるとかしないのか?」

「そうしたらきっとアルバート様はパン屋の仕事を入れてしまわれるでしょう」

「…………」


 図星だったのだろう。アルバートが押し黙った。

 クラリッサはまるで我が家のようにアルバートと並んでラッセンガル邸の廊下を歩いた。


「なんで後ろにいないんだ? 家主と並ぶってありか?」

「うふふ、こうして並んで歩くと、もう夫婦になった気分になりますわね」

「まったくならないけど?」


 軽口を叩きながら歩いていると、応接間に到着した。

 と、中から扉が開け放たれた。


「ようこそきてくださいました! クラリッサ嬢!」

「まあまあまあ、二人並ぶとなんてお似合いなのかしらぁ!!」


 アルバートの父と母があからさまなおべっかを使いながらもクラリッサとアルバートに近寄った。


「相変わらずクラリッサ嬢の美しいこと! 羨ましいわあ」

「お義母様も大きな子供がいるとは思えない美しさですわ」

「まあ~! なんてお上手なの~!」


 アルバートの母は上機嫌でクラリッサを硬いソファーに案内した。この家に柔らかいソファーは存在しないのだ。


 アルバートの母は、実際年齢の割に若々しく見え、客観的に見ても美しいだろう。アルバートは母親似である。

 対して父は並みである。どこをどうみても、その辺にいそうなおじさんだ。


 アルバート自身、どうしてこの二人が結婚したのかよくわからないが、貴族同士のつながりだったりがあるのだろうと思っている。


「クラリッサちゃん、何か食べたいものある? と言ってもクッキーかマドレーヌしかないんだけど」

「あ、じゃあマドレーヌで」


 さっきまで『クラリッサ嬢』と呼んでいたのに、一瞬でちゃん呼びになったことにアルバートはあきれつつも何も言わなかった。

 アルバートも母と並んで茶を淹れる。貴族の男児が茶を淹れるなど、普通はありえないことだろうが、使用人のいないラッセンガル邸では当たり前のことだ。


「はいどうぞ、クラリッサちゃん。手作りなのよ~!」


 お金のないラッセンガル家ではお菓子は手作りが基本だ。


「いただきます」


 クラリッサが母に礼をして、マドレーヌを口に運ぶ。クラリッサが目を見開いた。


「美味しい!」

「ありがとう! お菓子作りが趣味なのよ!」


 美味しいと言われて母は嬉しそうにしている。アルバートはあまり美味しさを顔に出さないから、こうして口に出してもらうと嬉しいのだろう。


「これはお店に出していいレベルですわ」

「まあ、嬉しい!」

「いえ、本当に……」


 クラリッサがお茶を一口飲んだ。


「ちょうどいいので、このままお話いたしますわ。お義母様、お義父様、経営者になってくださいませ」



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『大嫌いな婚約者が理想の旦那様でした』

コミカライズ合本版2巻

本日8/31配信されました!


今まで1話ずつ配信されていたものが
6~10話までまとまったものになります!

合本版限定描き下ろし特典漫画&未公開ラフ集が収録!

うめお先生の描かれるクラリッサとアルバート、そしてコミカライズのみのオリキャラたちもぜひお楽しみください!

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『大嫌いな婚約者が理想の旦那様でした 2巻(合本版)』


発売日:2023年8月31日



あらすじ

婚約者のアルバートがこれまで隠してきた素の姿を見たことで、彼にベタ惚れしてしまったクラリッサは、
アルバートから本気で好きになってもらうため、メイドや弟に協力してもらいながら様々なアプローチを実行する!
そのクラリッサの思いと行動はアルバートの気持ちに変化をもたらしていき……。
近づく二人の距離。
しかしそんな中、商売人であるクラリッサの父親は、アルバートとアルバートの両親を利用しようと企み…。
幼い頃のある出来事から父親を避けてきたクラリッサだが、アルバート達を守るため、
クラリッサは父親と向き合い戦うことを決意するが……。

一途でパワフルな前のめりラブコメディ!!

【合本版限定 描き下ろし特典漫画&未公開表紙ラフ集を収録!】
※本作品は『大嫌いな婚約者が理想の旦那様でした』第6巻~10巻を収録した合本版です。


各電子書籍ストアにて配信されています!ぜひお使いのストアにてお楽しみください!
よろしくお願いいたします!

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そしてそして!!

『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』

コミカライズ開始しました!


開始日は9/1(金)

ComicWalkerにて連載!


なんと
17日まで毎日更新です!
(その後日曜更新)

17日間毎日更新ってすごいですよね!?
ぜひ皆様お気に入り登録して毎日お楽しみください!

コミカライズをしてくださるのは
小箱ハコ先生!
めっっちゃくちゃ最高のコミカライズなので皆様お楽しみに!

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『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』

漫画:小箱ハコ

連載開始日:2023年9月1日(金)

(17日まで毎日更新!その後日曜更新)



そして素敵な「どんな話?」を1枚にまとめた漫画を小箱ハコ先生が描いてくれました!

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圧倒的美!!!!!

皆様よろしくお願いいたします!

― 新着の感想 ―
[一言] 蜂蜜レモンの次は、マドレーヌの販売? いよいよ、パティスリーラッセンガル開店でしょうか? アルバートが店頭でうすら寒い王子様スマイルを駆使して、マドレーヌを勧めると、売り上げは上がりそうで…
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