第三話『魔王とパーティ組んだのでお金を山ほどもらって武器を買おう』
この魔王だからこそ、って感じ長いです
「この僧侶とパーティーを組みたい。出来るか?」
ルシファー様の一言で周りの人達は更にざわめき出し
その中の屈強そうな戦士さんが呼び止める
「おいあんた魔王だろ!なんで魔王が僧侶なんかとパーティ組めるんだよ!」
「このギルドのルールでは職業は自由、とにかく二人いればパーティを組めるのだろう?では私もパーティは組めるはずだ」
「唯一回復が使えない魔王でそこが弱点で挑む奴がいたんだろ!?いくらレベル1の僧侶とはいえ組まれたら勝てるわけねぇじゃねぇか!」
「心配するな勇敢な戦士よ。私はもう引退し、すぐに二代目が魔王となるだろう。誰が魔王となるかは知らぬが、私を攻略する必要はない」
ルシファー様の言葉にその場の全員が安堵し
「良かったな僧侶!魔王と組めるなんて夢みたいだぜ!」
「私も連れてってー!」
と掌を返すように私に話しかけてくる
私はこういうノリが少し苦手なので
「えっ、あっ、その」と口ごもってしまう
しかしルシファー様がスッと私の前を遮るように腕を伸ばす
「彼女はここに来て日が浅いから慣れてないんだ、一気に来ると困惑してしまう」
先ほどからイケメンすぎる動作に
もう興奮が収まらない
「おお悪いな僧侶!これからよろしくな!」と戦士が言ってその場を立ち去る
これは魔王が優しいという情報が皆に伝わってるから、皆はルシファー様の言葉を信じるのだ
日頃の行いって大事なんだなぁ・・・って思った今日この頃
「それでは受付嬢。申請を頼む」
「かしこまりました。二人が話されてる間に終わらせておきましたので、こちらをどうぞ」
受付嬢からバッチのような物を4つ渡され
私とルシファー様に付けて残り二つをポッケに入れる
「それをつけた者がパーティの証です。大事にしてくださいね。クエストは横にある張り紙から探してください。素敵な旅をどうぞごゆるりと」
受付嬢とその他の戦士達に見送られ
とりあえず外に出ると、先程のざわめきは嘘のように
通常通りの風景が見える
どうやら今の会話を他の人達も聞こえていたらしい
なんというご都合主義・・・・じゃなくて、信頼度!
「これで一連の流れは終わりだな。他にしたいことはある?」
イケメンとパーティ組むというノルマが真っ先に達成したため
のんびりクエストを受けれればそれでいいかもしれない
とはいえ私は僧侶、そろそろ本格的な戦いもしてみたい
「ふむ、君は防具も装備も何もしていない感じか。武器屋に行こう」
「え、でも私お金持ってないです」
「心配するな。私は仮にも魔王だぞ」
ルシファー様がポッケから出した小さい袋に
ズッシリと金貨が入っている
表示に100000GOLDと書かれている
すると今までどこに行ってたか分からないNo.4さんが「じゅ、十万!?」と叫ぶ
「それって多いの?」
「多いも何も、最後らへんの街ですら余裕で全ての武器が揃うレベルの単位のお金ですよ!?」
「そんなにもらっていいんですか!?」
「それは私のお小遣いのようなものだ。パーティなのだから分け与えて当然だろう」
やばい。この人が魔王じゃなくて神様に見える
最初に魔王城に行ったのは凄く正解かもしれない!
これ、クエスト受ける必要もなく、すでに裕福に暮らせるのでは・・・?
思わず私の目がGの文字になってしまったが
それじゃいけない!何をしに異世界に来たのかわからなくなる!
欲望に負けず、そのまま武器屋に行き、ズラリと並んだ武器を見渡す
「僧侶は基本的に杖、鞭、槍が装備出来ますね。他は装備出来ないです」
No.4さんの説明通り
剣を持つと両手でも持てないぐらいの重さがズッシリくる
なるほど・・・・と見渡しているとオーダーメイドという文字を見かける
「これは?」
「文字通り、武器の見た目や仕様を変えれることが出来るんです。例えば槍だけどめちゃくちゃ伸びる仕様にしたり?」
え、そんな自由度もあるの!?凄い!
ゲームであったら即買いするレベル!!
私は金属で出来たなんの凹凸もない真っ直ぐな棒を取り出す
これ一応杖なんだ・・・
・・・・杖と言えば・・・
「No.4さん、紙とペンあります?これのオーダーメイドがしたいです」
「ありますよ!どうぞ!」
渡された髪に絵を描き始める
自慢じゃないが、私は一人で漫画を描くぐらい絵が上手い
なのでこういう絵描きは凄く得意だ
私が描いた絵は、現実世界にある傘をモチーフにした武器だ
主に閉じた状態で使い、先っぽから魔法が出せる
そして攻撃が来たら傘を開き、防御できる!
使いやすいように手元も曲がらせている
隣で見てたルシファー様も感心している
「なんだこの見た目は・・・・凄い物を思いつくな」
「でしょでしょ!武器屋さん!こんな見た目に出来ます!?」
「おお!見たことねぇが・・・やってみるよ!ちょっと待ってなあんちゃん!」