第1話 双子の出生
今からおよそ、800年前――。
広大な関東平野、その内海に臨む地には1つの城邑が建てられた。
城邑の名は蒼纏という。
新興国である大京国の首都であり、大京国の全てといっていい。
そんな蒼纏1つで建国された大京国を率いるのは、王室である雪ノ下家とそれに仕える忠臣達。
始祖たる初代国王は、後に大きく成功した王として大成王と呼ばれる。
彼の本名は別にあるものの混乱を防ぐため、この物語では大成王としてとおす。
首都防衛・領土拡大など、激動の日々を繰り返すなか、彼は生涯で7人の子をもうけた。
1人は正妃が生んだ男子であり、長子でもある彼は早々に太子となって、期待を一身に背負う立場となった。
次妃が生んだ4人はその全てが夭折し、残る2人はこちらも正妃が生んだ双子の姉弟。
姉を伯凰、弟を伯鳳という。
双子という点において、忌み子とされながらも無事生まれ、すくすくと育った2人。
太子はもちろんながら、2人も後に王室の特徴となる黒髪黒瞳を継承した。
唯一の女児である伯凰のみが赤く染まった毛先と、僅かに赤みがかった瞳を有している。
これは伯凰が生まれつき持っていた火の霊力によるものなのだが、それについての説明は後の機会に譲りたい。
今ここで重要なのは、大京国という国家が建国され、そこに伯凰と伯鳳が生まれたということなのだから。
姫刀に選ばれ、世界をめぐる思惑に揺さぶられながらも、大京国の発展に寄与した双子の姉弟。
これはその2人の生涯と、2人が興した染雪家の軌跡をたどる、物語である。