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幼少期編 05



 「…ふぅむ。君は気付いてたんだね。しかしまだ魔法を学んだ事はないはずだが?」


 ふーん。あっさり肯定すんだな。

 3人の面接官のうち、真ん中の理事長だという高齢の男性が聞いてきた。白髪をかっちりセットして、ビシィっ!とスーツを着こなし、いかにも偉い人です!って感じする。


 そして理事長の言う通り、俺は魔法に関しての知識はまるでない。そんな子供が魔法を察知できるはずがないと高をくくってたな。

 だがおあいにく様、俺ってばただの子供じゃありません。力や五感だって常人より遥かにいいし(比べたことないけど)、特に危険察知については自信あり。

 この魔法は危険性はないだろうからピリッとした程度だったんだろう。



 「ええ。この部屋に入った時から違和感は感じていました。確信を得たのは先ほどの質問ですね。僕は当たり障りのない回答をしようとしましたが、完全に本音で答えてしまいまして。

 

 ですから、僕に精神干渉系の魔法をかけているのではないかと推測しました。今もそうですね。

 『質問はあるか』と聞かれ、『ありません』と答えようとしたのですがこの通りです。」


 僕は理事長の目をしっかりと見て答えた。そうなのだ。さっきから俺の意思とは違う言葉が勝手に出てくる。


 「恐らく嘘を封じる自白の魔法でしょうか。しかも、自分の発言に違和感を感じないようになってますね。

 これはかなり高度な魔法なのではありませんか?簡単に習得出来ては危険ですし。それとも無効化する魔法も授業で習うのでしょうか。」




 3人とも目を見開いておるわ。そんなに驚かれるとは。



 「……そこまで見抜いていたとは。いや、感心したわ。しかも君は、その言葉使いもとても平民の子供には思えない。どこで学んだ?」


 「…………。」

 答えない。今言葉を発しようとすれば、全部言ってしまいそうだ。



 「ふむ、言えないという事か。その通り、この魔法は発言しなければ効果は無い。」


 「理事長感心してる場合ですか。いや、本当に受験者に見抜かれちゃ駄目じゃないですか。」


 「大丈夫じゃないですか?この方法で30年以上やってきて、今まで気付いた生徒いないんでしょう?」



 なんか話し合い始まってない?俺が退室してからにしてくんないかな。

 俺がそう思ってもぞもぞしていたら、理事長が気づいてくれたようだ。




 「ああ、すまないね。面接は以上で終了だ。」


 「わかりました。本日はありがとうございました。」



 帰り際に「失礼します」も忘れない。…まあ、やれる事はやったよ。あとは結果を待つばかり。とはいえ、学校を出るまで気は抜けないぞ!










 「すごい少年でしたねえ。きっと彼は凄い魔法使いになりますよ。」


 「それどころか、賢者にだってなれるかもしれないわ。」


 「そうだな。筆記試験の結果も楽しみだ。さて、他に将来有望な子供がいるか、楽しみだな。」















 次の日、ルカと一緒に家族へのお土産を選んでいる。なんつーか、修学旅行の買い物みたいで楽しい。



 「あんたたちセンスないわね。家遠いんでしょ?足のはやいもの買ってどうすんのよ!こっちのお菓子とかにしときなさい。」


 「...なんでお前いんの?」


 ほんとに、なんでライラがここに?2人で歩いてたら突然現れてビビった。


 「男のくせに細かいこと気にすんじゃないわよ!わたしも一緒に買い物したいからに決まってんでしょ!?」


 「開き直った!いやまあ、そういう事なら歓迎するよ。丁度いいや。4歳の妹にさ、どんなお土産がいいと思う?」


 「ふっ、任せなさい!」




 なんつーか、ライラってキツい感じの子かと思ったけど素直すぎるだけみたい?面倒見がよくて裏表がないんだな。今はいいけど、大人になったら苦労すんぞ。



 そんなこんなで3人で買い物して、それぞれの帰路に着く。ルカは軽トラ、俺とライラは親せきの家に帰る。

 ルカは停留場が近かったし家も近いのかと思っていたら、なんと軽トラの乗り換えがあるらしい。意外と遠かった。



 「今度会う時は入学式だぞ!」


 「ああ、楽しみにしてるからな。」


 「いなかったら笑ってやるからね!」



 そう言って別れた。また2人と再会するのが楽しみだ。早く結果来ないかなあ。



 俺は次の日おじさんとおばちゃんにお礼を言い、また軽トラに乗った。

 町に帰ったら家族がまた大げさに迎えたもんだから、他の乗客は『生き別れの家族と再会した』くらいの勘違いをしただろうな。涙ぐんで「よかったねえ、坊や」なんて言われた…。





 そしてその1週間後、無事合格の通知が届いたのだった。









 

 

 「よし…と。いやー、疲れた。」


 再び来たぜ、王都!しかも今度は


 「久しぶりだなー。知らねえ店も多い。」


 家族も一緒だ!入学式を見たいらしい。俺も少し…いや、正直めっちゃ嬉しい。自分では大人だと思ってたけど、晴れ舞台は家族に見てもらいたい、くらいには子供だったみたいだな。




 「いらっしゃい。義兄さん、姉さん。狭いけど、まあゆっくりしてって。」


 「お世話になるわ、レスト。まあ畑もあるし、明日の入学式が終わったらすぐ帰っちゃうんだけどねぇ。」


 そしてまたまたおじさんちにお世話になる。今回は大人数だけど平気かなあ?



 「じゃあ俺は特待生の説明があるらしいから学校行ってくる。保護者はどっちでもいいってさ。

 明日は時間ないんだし、お父さんたちは観光してる?」


 「いや、俺も行く。父親だからな!レスト。マリーとマルを頼むぞ。」


 「ん。わかった。じゃあ、行ってらっしゃい。」


 

 おじさんに全てお任せして学校に向かう。あ、マリーって母さんね。ちなみに父さんはゼルブルーク。小ネタね。







 「はー。すごいとこだな。さすがは王立学校だ。」

 

 前回は若干緊張してたせいか学校ちゃんと見てないんだよなあ。


 なんつーか、ゴージャス!…とは違うな。うーん。本校舎の外観は東京駅をもちっと豪華にしたような感じ?だめだ。日本しか知らん俺に上手い例えは見つからない…。まあいいか。

 ただとにかく敷地が広い。うちの町すっぽり入りそう。もしかしてあの山も敷地内か…?



 「こんにちは。久しぶりだねシャルトルーズ君。」


 「理事長先生。お久しぶりです。」 


 理事長直々のお迎えか。さすが特待生。


 「それと…あなたは…。」


 「どうも。シャルトルーズの父ゼルブルークと申します。」


 「………そうですか。私は理事長のヘーゼル・オルドーといいます。明日より貴殿の優秀な御子息を預からせていただきます。」


 「これはご丁寧にありがとうございます。ぜひ、よろしくお願い致します。」



 にこやかに握手をする大人たち。理事長のさっきの間はなんだったんだ?

 首をかしげる俺の目の前で、それはもう固く固く握手を交わしていた。




 そして通されたのは筆記試験を受けた教室だ。


 ……ん?



 「あの、理事長先生。今日は特待生の説明があると聞いて来ましたけど、他の合格者は…?」


 「ああ、今年の合格者は君だけですよ。ではまず…」




 






 あいつらああああぁああぁぁぁぁああ!!!!



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