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【WEB版】異世界カード無双 魔神殺しのFランク冒険者  作者: 桑野和明(久乃川あずき)


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死者の王ガデスvsガズール

「死ねっ! 死霊使い!」


 ガズールはマジックアイテムのロングソードを真横に振った。


 ガデスは滑るように移動して、その攻撃をかわす。さらに黒い霧を出して、自身を包んでいた炎を消した。


「どうやら、お前が部隊の長のようだな」

「それがどうしたっ!」


 ガズールは左手を前に突き出す。ガデスの後方に炎の壁ができた。


「お前は逃がさん! ここで殺す!」


 ガズールの持つロングソードが炎に包まれた。


「骨まで溶かしてやるぞ!」


 左足を強く蹴り、ガズールはガデスの右に回り込んだ。低く頭を下げてロングソードを斜めに振り上げる。

 ガデスの左手首が切断され、その部分が燃え上がる。


 しかし、ガデスの表情に変化はなかった。

 鋭く伸びた右手の爪でガズールのノドを狙う。

 ガズールは膝を大きく曲げて後方に跳んだ。


 距離が開くと同時にガデスは呪文を唱える。

 黒い霧がヘビのような形になり、ガズールの左足に絡みついた。


「ぐうっ…………」


 ガズールは顔を歪めながら、ロングソードで黒い霧を斬る。黒く変色した自身の左足を見て、尖った牙を鳴らす。


「さすがだな。ザルドゥ様に傷をつけただけはある。だが…………」


 腹部が膨れた二匹のゴブリンがガデスに突っ込む。


「また、そいつらか…………」


 ガデスは素早く呪文を唱える。目の前に半透明の壁が現れた。

 さらに四体のスケルトンがゴブリンに抱きつき、その動きを止める。


「無駄だ。自爆するゴブリンのことは知っている。我には通じない」

「…………くそっ! 仲間のスケルトンを盾にするつもりか」

「問題なかろう。スケルトンはいくらでも増やせるのだからな」


 周囲にあるモンスターの死体が溶け、新たなスケルトンが現れる。


「時間が経てば経つほど、我が有利になる」

「ならば、今すぐ、お前を…………」


◇◇◇

【呪文カード:サイコレーザー】

【レア度:★★★★★★★(7) 属性:無 対象に魔法防御無効の強力なダメージを与える。再使用時間:15日】

◇◇◇


 青白い光線がガズールの胸に穴を開けた。


「がぁ…………」


 ガズールは呆然とした顔で振り返る。

 そこには彼方が立っていた。


「ひ…………氷室彼方…………」


 ガズールの口から、青紫色の血が流れ出す。


「どっ…………どうして俺たちの動きを知った?」

「君が知る必要のない情報だよ」


 彼方は腰に提げたマジックアイテムの短剣を引き抜き、ガズールに歩み寄る。


「君は…………いや、君たちは全員死ぬんだし」

「死ぬ…………だと?」

「うん。君たちの部隊よりスケルトンの数のほうが多いし、その差はどんどん広がってる。爆弾アリもいるし、この状況なら、僕が負けることはないよ」

「卑怯者…………め」


 ガズールは金色の目で彼方を睨みつける。


「ザルドゥ様を倒した強者が…………こんな戦い方をするのか?」

「千体の部隊で奇襲をかけようとしてた君が言うセリフなの? しかも人質も取ろうとしてたし」


 彼方は呆れた顔で息を吐く。


「まさか、文句を言われるとは思わなかったよ」

「ぐっ…………」


 ガズールは震える手でロングソードを構えた。


「こうなったら…………俺と一対一で戦え!」

「そんな気はないな」


 彼方は即答した。


「胸を貫かれても生きてる君は強い上位モンスターみたいだし、秘薬も使って強化してるよね? そんな相手と一対一で戦う理由はないよ」

「傷ついてる俺が怖いのか?」

「悪いけど、その手の挑発に乗るつもりはないから。それにガデスが君と決着をつけたがってるみたいだし」

「カカッ。さすが我がマスター。わかってるではないか」


 ガデスが笑いながら、ガズールに近づく。


「では、続きを始めようか」

「…………おのれっ!」


 ガズールはガデスにロングソードを投げつけ、深く膝を曲げる。両足で地面を強く蹴り、彼方に向かって飛びかかった。


 ――ガデスを牽制して、僕を狙ってきたか。この状況なら、そうするしかないよな。


 彼方は持っていた短剣でガズールの爪を受け止めた。


 ――速さだけじゃなくて、力も強い。だけど、僕もネーデの腕輪を装備していて、パワー負けすることはない。


「死ねぇえええ!」


 ガズールは目を血走らせて、左右の爪を振り回す。

 彼方を守るようにスケルトンがガズールの前に出た。


「どけっ! 雑魚がっ!」


 ガズールはスケルトンの首の骨を爪で飛ばした。


 ――今だっ!


 彼方は渾身の力で短剣を投げた。短剣はガズールの額に突き刺さり、その先端が脳に届いた。


「があっ…………」


 ガズールは口を大きく開いたまま、前のめりに倒れた。巨体がぴくぴくと痙攣し、数秒後にその動きが止まる。


「我がマスターよ」


 ガデスが白い歯を開いた。


「こいつは我が殺すのではなかったのか?」

「仕方ないだろ。僕を狙ってきたんだから」


 彼方はガズールの死体から目を離さずに答えた。


「まだ、敵は残ってるから、他のモンスターと戦えばいいよ」

「…………ふむ。残念ながら、そうするしかなさそうだ。こいつは我と違って、死んだら終わりのようだしな」


 ガデスは新たな敵を捜して、視線を左右に動かした。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 相手に聞かれた事を得意げに語ったり、分かりやすい挑発に“敢えて”乗って一騎打ちをしたりとかのバカっぽい行動がなくて良かった。 敵の前に姿を現しちゃったのは…彼方も若いし、怒ってたし、愛嬌っ…
[一言] ザコボスでした。
[一言] 出て来なければ、狙われなかったのに! いや、実際ほっとけば勝てる戦いで何故情報を集めるでもなくわざわざ姿を現してお喋りしたのかよくわからない ワンチャン彼方を討取れる何かがあるかも知れない…
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