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【WEB版】異世界カード無双 魔神殺しのFランク冒険者  作者: 桑野和明(久乃川あずき)


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★ティアナール(4巻部分はここで完結)★

 数日後の夜、ヨム国の王都ヴェストリアの大通りをティアナールが歩いていた。


 ぽっかりと浮かんだ巨大な月がティアナールの淡い金髪を照らしている。

 既に食事の時間は過ぎ、通りを歩く者たちの数は少なくなっており、閉まっている店の数も多い。


 ――サダル国と揉めているとはいえ、王都は落ち着いてるな。


 ――南の国境は多くの兵士たちが守っているし、ガリアの森から攻めるにしても、ウロナ村の周辺に作られた砦が侵攻を食い止めるだろう。だが…………。


 ティアナールの脳裏に彼方の姿が浮かび上がる。


 ――彼方がいるキルハ城はカカドワ山の西にあって、守る兵士もいない。彼方の強さはわかっているが、訓練された兵士たちに不意をつかれれば不覚を取るかもしれん。それに、Sランクのティルキルが彼方を狙っている情報もある。


「無事ならいいのだが…………」


 ティアナールは整った眉を中央に寄せる。


 その時、細い路地から少女の声が聞こえてきた。


「んっ? 何だ?」


 ティアナールは足音を忍ばせて、裏路地に入る。


 十数メートル進むと、十代半ばの少女を二十代の男三人が囲んでいる光景が見えた。

 男たちの声がティアナールの尖った耳に届く。


「…………なあ、いいだろ? ちょっとぐらいつき合ってくれてもさぁ」

「ああ。金ならあるんだ。上手い飯を食わせてやる」

「その代わり…………わかってるよな?」

「やっ、止めてください」


 少女が震える声を出した。


「私…………家に帰らないと、お母さんが…………」

「金を持って帰れば、親も喜ぶだろうさ。ほらっ、来いよ」


 ひげを生やした男が少女の手を掴む。


「いっ、イヤっ!」


 少女は怯えた表情で首を左右に振る。


 ――やれやれ。困った奴らだな。


 ティアナールはため息をついて、男たちに歩み寄った。


「おいっ! 何をやってる!?」


 三人の男たちが同時に振り向いた。


「…………何だ、お前は?」

「私は白龍騎士団、百人長のティアナールだ!」


「助けてください!」


 少女がティアナールに駆け寄る。


「この人たちが私を…………」

「ああ。わかってる」


 ティアナールは少女をかばうように前に出た。


「女と遊びたいのなら、風俗街に行くんだな。あそこなら、お前たちの相手を喜んでしてくれる女がいっぱいいるだろう」

「…………あいにくだが、風俗街の女には興味がない」


 ひげを生やした男がティアナールをじっと見つめる。


「そこまで、この少女を気に入ったのか?」

「いいや。俺が興味を持ってるのはお前だよ」

「…………どういう意味だ?」

「それは…………な」


 突然、首筋にちくりとした痛みを感じて、ティアナールは右に跳んだ。


 視線を動かすと、少女の手に小さな針が握られていることに気づく。


「お、お前…………」

「そう。私とそこの三人は仲間ってこと」


 可愛らしい声で少女が言った。


「何のつもりだっ!」


 ティアナールは腰に提げていたロングソードを引き抜いた。


「あなたをさらえば、サダル国のお偉いさんが大金を払ってくれるのよ」

「ふざけ…………」


 ぐらりとティアナールの体が傾き、地面に横倒しになった。


「くっ…………毒…………か」

「安心して。眠くなるだけだから」


 少女はしゃがみ込んで、ティアナールの顔を覗き込む。


「もう、動けないみたいね。荷車の準備はできてる?」

「ああ。南門を抜ける手配も終わらせてる」


 ひげを生やした男が答える。


「急ぐぞ。見回りの兵士たちに見つかると面倒だ」


 男たちが倒れたティアナールに近づく。


「何故、私を…………」

「それは依頼主に聞いてくれ。俺たちは仕事を受けただけだからな」

「おの…………れ…………」


 ティアナールの口がぱくぱくと動く。


「か…………彼方…………」


 視界が真っ白になり、ティアナールは意識を失った。


これで4巻部分が終わりました。

ここまで長い物語を読んでくれている読者の皆さんに最大級の感謝を!


次の話から5巻部分に入っていきます。

これからもよろしくお願いいたします。


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