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偉人たる異人

23年前の夜、自宅に一本の電話が掛かってきた。


「もしもし?どなたですか?」


電話を取ったのは私。

そしてよく聞くその声は大好きな人の声


「今から帰るよ」


電話主は、私が最も大好きだった父。


単身赴任の為あまり自宅に帰らない父

父の帰宅は本当に珍しくその言葉は子供の私にとって嬉しい言葉でした。


だそれが最後の父親との会話になる事を知らずに。


父の為に布団を敷く私。


いつ帰ってきて寝れるようにと、眠い目を擦って用意した。


「早くかえってこないかなぁ」

胸を踊らしながら父の帰りを待ったが時間も時間だった為、私は眠ってしまった。

 

その晩の夢の事でした。


家のは葬儀をしている風景で、遺影には父の写真が飾られてあった。


そんな夢を見たあとだから気味が悪く起きたら、まだ父は帰ってきてなかった。


それよりか家がとても騒々しく「何があったんだろう」と思いその場所に近付いて言った瞬間聞いてはいけない話を聞いてしまった。


それは親戚の叔母が誰かに電話をしていた時に発せられた言葉。


「父が交通事故で死んだ」


私の時間はそこで止まり、心の中の何かが音を立て崩れていった。


溢れてくるのは涙ばかり。


知らないふりをしなければと思い洗面台に行き顔を洗ったが、部屋に戻る瞬間叔母と目が合い虚ろな目をし何も言わない私を見た叔母が


「嶺に気づかれた!」と騒ぎ慌てて私の後を追いかけてきてまだ寝ている妹を起こし初めて父が亡くなった事を告げられた。


妹は泣き崩れたが、私は涙を流すだけで最後に聞いた言葉を何回も何回も思い出していた。


そして今まで父にしてもらった事や約束が沸々と頭をよぎった。


小学5年生の私に相対性理論を教えたり、猟師を趣味としてやっていたので鉄砲の掃除や扱い方など。


一番心に残ってる事は「私が看護師になるまでは絶対に死なないで」と言う約束。


「わかったよ」の返事だったりとか。


数え切れない父との思い出が涙と一緒に溢れていった。


夜中見た夢は、きっと心の準備をさせる為にわざと父親が見せたんだろう。


そんな風に思い、叔母の話を大人しく聞いた。


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