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黄の復讐
明末清初の中国
広東のとある武館
ドカーン
という音と共に門の扉を蹴飛ばして男達が道場に入って来た。
「道場主の蔡と試合がしたい。蔡に黄が来たと伝えろ」
黄は中庭で武術の稽古をしていた者達に言った。
「どうしました?」部屋の奥から女が出てきた。
「蔡の娘か?親父に伝えろ。黄が来たとな」
「父は病に伏せっています」
「そんな事関係ない。やれ」黄が言うと男達は中庭で暴れ出した。
「何の騒ぎだ」部屋の奥から蔡が現れた。
「蔡。よくぞ生きていた。父上の仇だ。戦え」黄が言うと「わかった。相手しよう」と蔡は言った。
「お父さん。だめよ。病気じゃないの」と蔡の娘が言うと「お前は黙ってろ。黄。掛かって来い」と蔡は言った。
「よくぞ言った」黄は連続してサイドキックを出した。
「ウグッ」胸板を蹴られた蔡は血を吐いた。
続いて黄の後ろ廻し蹴りが蔡の顔面にヒットする。
蔡はよろけながら倒れた。
黄は飛び上がり、蔡の腹部に着地し止めを刺した。
「お父さん」蔡の娘が叫ぶ。
「ウハハハハハ」黄は高笑いしながら男達を引き連れ、去って行った。