第九話 試験
「成る程な、じゃああの戦闘機と一緒にいたのも魔導人形って奴か」
「女神様のは魔導人形じゃないぞ、アレは空戦機って奴らしい…最近の勇者様は魔導人形に似た物を持って来るのさ、剣の乙女所属のバレンシアと人型、同じギルドに入ってる『国潰し』のカナとユウリの戦機と神機、同ギルドの『聖女』ジャンヌ・ダルクの『エクス・マキーナ』…凄いもんさ」
「あぁ…国潰しと聖女の機体はヤバい、アイツらだけ別次元だ…何せ国と軍を支援なしで潰せる様な奴だからな」
店主とユウヤがそう言うが、実際戦士二人にはどうでも良い話だ…国や軍を潰した?だからどうした、戦士にとっては其ぐらい出来る当然の話だ、戦士とは血の滲み時には死をさ迷う様な努力をし人間を超えた超人なのだ。其ぐらい強者の戦士なら出来る…当然、その様な強者の手で滅んだ国は歴史の中にある。
「触って良いか?」
「……驚かないんだな、仮にも英雄並みの働きをしてるんだぞ?」
リーシャがそう言う
「残念だけど、僕らも生身で出来るからね」
「そいつらが英雄なら俺らは何なんだろうな……で触って良いか?」
「あっあぁ…」
そう店主が言い、神無と玲奈は其々刀を持つ…神無が黒で玲奈が白だ。
神無が刀に触った瞬間……彼は奥ゆかしい和室に正座していた、彼の目の前には茶を立てる綺麗な黒髪の美女が居た、彼女の頭には獣の耳が生えていた。
女は茶道の適切な作法で作られた茶を出す、神無も作法に習い茶を受け取り飲んだ。
二人の作法は完璧であった、女は兎も角神無は日本の戦士であると同時に天下五剣に身を置いている為、作法は出来ている。
「結構なお手前で」
「お主は他と違うな」
女はいきなり言った、神無は動じず答えた
「他と言うと?おおよそ察しは付いている……刀だろ」
神無は女を見ながら答えた、女は喉から笑い声を出した。
「くっくく!こうもあっさり張れるのは初めてだ、如何にも儂はお主が掴んだ刀だ」
女は愉快そうに答えた、だが一見有効そうにしているが上手く誤魔化してあるが目は神無を品定めしている。
「姫鶴一文字…その刀はある刀鍛冶の前に姫君の姿で現れたらしい、別段不思議ではない」
対する神無も女を見定める。凡そ其処らへんに転がっている有無現象よりも手強い事は分かった。人の形をしている以上立ち振舞いで力量は計れる。
「であるか……ほれ、旨いぞ」
そう言いながら、女は茶菓子を差し出す…神無は其を受け取り頬張る、確かに旨い茶菓子だ。
「其で…実際どうなんだ?ただ茶を飲みに呼び出した訳じゃないだろ?」
更に茶菓子を受け取り、其を咀嚼しながら言う。
「時間が無い訳ではあるまい?が……お主がそう言うのなら致し方有るまい」
同時に二人は音も無く立ち上がる、そして気が付けば和室から月明かりが射し込む竹林に居た……そして女の姿も変わっていた。
その姿は顔に細かい皺が入っている強者特有の雰囲気を醸し出す老人が居た。
「やはり…この姿が心地いい」
そう言い、老人は脇に差した太刀を抜き上段に構えた。
対する神無も太刀を抜き中段に構えた。
第二回 世界観説明
剣の乙女
元々は別のギルドだったが、男嫌いの転生者 唯と同じく転生者 フローシアとジャンヌ・ダルク達の手で乗っ取られ、今のギルドとなった転生者達で運営されている唯一のギルド。
他のギルドより、転生者を保有し魔導人形も多数保有している。