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第13話 後輩とヘンテコな生き物

「よぉ」


ユウヤが一番最初に視界に入ったのは神無だった、彼女は彼に手を差し伸ばしていた。自然とユウヤは差し伸ばされた手を掴む…その手は柔らかかった。


「お疲れ様、まさか生きてるとは思わなかった」


ユウヤを立ち上がらせながら意外そうに言った、神無以外の人間も同様に意外そうに彼を見ていた。


「たく…床汚しやがって……まっ死なれるよりはマシだな」


ユウヤが流した血は小さな池となっており、其れを見つめながら笑いながら、そう言う店主は血を洗う為の雑巾を取りに店の奥に消えて行った。


「其でお前の魔導人形の名前は何て言うんだ?」


ヘルムを被ったままのリーシャは気になるのかそう言った。


「アタシをお呼び?」


ふと…リーシャの背後から声が掛けられた、その声に瞬時に反応し振り向くリーシャ。


其処に居たのは、白を基準とし桜の花弁が書かれている和風を着ている平均的な身長をしている美少女だった。その少女はユウヤに試練を与えていた斑鳩本人であった。


「斑鳩……?何で此処に?」


「何で?そんな事を聞く?」


ユウヤの言葉に斑鳩は可笑しそうに言った、その仕草一つ一つが奥ゆかしく見とれてしまう。


「アンタは確かにアタシに信念と意思を見せてくれたけど、正直アンタは弱敵…だからアタシが鍛えてあげるのよ」


そう斑鳩は言った、確かに納得のいく話ではある。使い手が直ぐに死んでしまえば意味がない。


「斑鳩……だと?」


ふとリーシャは驚愕しながらそう言った、奥から雑巾を持って出てきた店主も同様に驚愕していた。其れもその筈、斑鳩は過去魔王を討伐した魔導人形の一機であり、所謂『英雄機』と呼ばれる伝説的な機体の一機だからである。



「斑鳩?」


「寺の名前か?」


当然異世界人である、神無と玲奈は首を傾げ寺の名前かと勘違いをする。


そんな二人に怪訝な表情をするリーシャと店主。


その時だ


「にゅー!」


気の抜けた声を上げながら突如として、店の外から何かが飛び出してきた。


「にゅー!」


その何かは神無の顔目掛け飛び掛かった、神無の目には其れが手のひらサイズの綿飴の様なフワフワした身体の生き物が迫って来ているのが分かった。


「よっと……わぁ!神無見て見て!凄いフワフワ!」


神無目掛け勢い良く飛び掛かって来た生き物は割って入った玲奈によって難なくキャッチされた。


玲奈はそのフワフワした生き物を触りながらそう言った。


「にゅ!」


キャッチされた変な生き物は玲奈に触られながら奇妙な鳴き声をあげながら大人しくしていた。


「……何だ『にゅ』か」


近くにいたリーシャは玲奈がキャッチした生き物を見ながらそう言った、店主も同様に肩を竦めながら言った。


「おいおい、そんな店の入り方されちゃ皆ビックリしちまうだろ?」


「にゅー?」


店主の言葉が理解出来てるのか『にゅ』と呼ばれる生き物は不思議そうに言った。


「あー……つまりだ、普通に飛び掛かって来ないで入店してくれよ?」


「にゅ!」


今度は元気良くにゅは返事をした、この良く分からない変な生き物をリーシャ、店主、玲奈以外は不思議そうにフワフワの生き物を見つめた。ユウヤは恐る恐るにゅを触れてみた…確かに玲奈の言う通りフワフワしていた。


「……何だこの変なの」


玲奈の手を触れない様に慎重ににゅの身体を突っつきながら呟いた……その問いは店の外から答えられた。


「其れはにゅって言ってとても変で人懐っこい生き物なの」


その声の主はそう言いながら、店の中に入ってきた。灰色のコートの中から何処かの制服を覗かせた褐色の肌をした低身長の女の子だ。


「久しぶり先輩」


「………アル?」


その女の子は周りの人間を無視し、ユウヤの前に立ちそう言った。彼女はユウヤにとって知らない人間ではなかった、中学三年の時に離れ離れになった最初の幼馴染だった。


彼女…アルはユウヤに対しニコリと笑った後に抱き着いた。

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