第1話 異世界転生
TSは良いぞぉ
「神無さん、玲奈さん起きて下さい…神無さん、玲奈さん起きてください」
女の若い声が俺と幼馴染みを呼ぶ、その声で俺は目を覚まし周りを見渡す。
白…辺り一面真っ白で病院以上に白い空間に居た、空間…そう言わざるを得ない奇妙な場所だった。
「おや…起きましたか霜月神無さん、もしよければ玲奈さんも起こしてもらえれば私的には嬉しいです」
先程と同じ様に声がしその方に身体を向ければ、其処には空き缶があった…その空き缶にはデカデカと『神』と書かれていた。
何でこんな清潔極まりない場所に一つだけゴミがあるのか…然も落書き付き…訳が分からん。
「しっつれいですねー霜月神無さん、私はゴミでは有りませんよ」
何とこのゴミは唐突に喋りだしたのだ、然も何処で知ったのか俺の名前を言ってくる。
「そりゃー私神ですし簡単に名前程度なんか分かるんですよーそして貴方達の考えも直ぐ分かるんですよー後!ゴミじゃないですよ!」
つまりは神と言うのはあながち間違いではない、読心術等の様に考えている事を読み取ることは出来るがあれはあくまでも人間が出来る範囲の技術であり、この空き缶の様な高精度の読み取りは出来ない。
「やっと私が神と信じたようですね、『天下五剣 守り刀の神無』さん」
「……やっぱり神だから何でも知っているって訳か?」
「えぇ当たり前ですよー神に嘘は無駄なんですよ」
この空き缶が言った言葉に驚き俺はつい、口が動きそう言った…空き缶はそう答えた。
天下五剣…其れは数ある日本刀の中で室町時代頃より特に名刀といわれた5振の名物の総称で大典太光世、鬼丸国綱、数珠丸恒次、三日月宗近、童子切安綱がそう言われている、そして日本の最精鋭の剣士部隊の名前でもある、天下五剣を部隊名にしているだけあり、部隊員五名はこの国宝である名刀の帯刀を認められている。
「さて……神無さん玲奈さんを起こして欲しいのですが…必要ではないですね」
「起きたのか玲奈」
「勿論さ、それと話はある程度聞いていたよ…神何だって?その空き缶」
俺の背後から抱き締めながら、幼馴染み兼恋人の斬影玲奈がそう言った……どうやらある程度は聞いていたようだ、更に玲奈は言う。
「此れはアレだよ神無、良くある異世界転生って奴じゃないかな?」
「異世界転生?何だそれ?」
俺の疑問に空き缶が答えるよりも速く玲奈が答えた。
「異世界転生って言うのはね、ニートやブラック会社に勤めていた人がマジカルトラックに殺されて、そんな憐れな子羊に神が彼等に力を与え、異世界に飛ばし与えられた力でハーレムを作ったり世界を救ったりするのさ」
玲奈から説明を受けたが何だが…とても虚しいな、死ぬ前は何も出来ない無能力が別の世界に行き、神から貰った借り物の力で世界を救ったりする?
まるで話にならない論外だ、下らん。
「おっと神無の考えてる事は手に取るように分かるよ、僕もそう思ってるさ……『経験こそ力なり』ってね」
「そう言うことだ」
「おっと、お二人とも話しても良いです?玲奈さんが言った事は当たってます、お二人は不幸にもアルコール中毒で死にました!だけど実力者であるお二人…特に神無さんをそのまま輪廻転生の輪に入れるのは得策ではないと思ったので…玲奈さんが言った通り、異世界を救ってほしいです……転生する際に特典を渡す事が義務づけられているのですが」
「いらん」
「いらない」
そんな貰い物の力など要らないし、必要ない…そもそも力なんぞ既に持っている。
「ですよね…知ってました、ですが此れは義務ですので必ず受け取って貰います…別に力以外でも良いですよ?と言うか力以外にして下さい」
「じゃあ、性別を女にしてくれ…筋力や身体能力は今と同じままに後俺が使っていた刀を」
刀がなければそもそも話にならないが性転換については特に深く考えては居ない、ただ男で過ごしていたから…次は女って訳だ。
「あー……僕は性転換はしないけど、神無と同じく使ってた刀を」
そう俺も玲奈も転生特典を言えば、空き缶は満足そうに跳ねた。
「分かりました!さて選ばれし勇者よこの扉を潜れば新たな世界になります、お二人に幸あらんことを」
そう空き缶が言えば、俺と玲奈の前に光り輝く扉が出現した
「さて…神無行こうか?世界を救いに」
玲奈は笑いながら右手を掴む
「だな…」
俺はそう言い頷き、二人で扉を潜った。
百合も良いぞぉ