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この「本格ミステリ」が読みやすい!  作者: 庵字
鮎川哲也賞最高傑作!『屍人荘の殺人』今村昌弘 著
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『屍人荘の殺人』プレビュー

 第27回「鮎川哲也(あゆかわてつや)賞」受賞作です。


屍人荘(しじんそう)殺人(さつじん)』 今村昌弘(いまむらまさひろ) 著


~あらすじ~

 神紅(しんこう)大学経済学部一回生である葉村譲(はむらゆずる)は、本格ミステリ好きであることを理学部三回生、明智恭介(あけちきょうすけ)に見込まれて、彼が会長を務める「ミステリ愛好会」に入会することになった。明智は学内外から様々な依頼を取り付けてきて、それを捜査、解決してきたという実績を持っており、それをして「神紅のホームズ」との異名を持つ男だった。

 その明智に、映画研究部から合宿参加を求める依頼があった。その合宿は半分コンパを目的とした軽薄なものであったらしいのだが、ある日、部室で『今年の生贄(いけにえ)は誰だ』と書かれた脅迫状まがいの書き殴りが発見されたことにより、参加者が激減していたのだった。明智と葉村は映画研究部の部員たちとともに、合宿が行われる、「紫湛荘(しじんそう)」へ向かったのだが……。



 鮎川哲也賞とは、東京創元社とうきょうそうげんしゃが主催する文学賞です。本邦にミステリの文学賞は数あれ、本賞は、本格ミステリ界の巨人、鮎川哲也の名前が冠せられていることから、かなり「本格寄り」な作品が多く受賞することで知られています。そのためもあってか、例年かなり「マニア好き」のする作品が受賞することが多いのですが、本作もそのご多分に漏れません。ですが、本作が他と決定的に違っているのは、このエッセイで取り上げようとしていることからも察せられるとおり、圧倒的な読みやすさです。

 本作には登場人物がなんと十四人も出てきます。『宇宙戦隊キュウレンジャー』の最終構成人数である十二人よりも多いです。本作はクローズドサークルものであるため、その全員が一箇所にかたまり、しかもほとんどが大学生。デビュー作でクローズドサークルで登場人物が多くてほとんどが大学生? うっ、頭が……(ムーンライト遊技的な)

 しかしながら何の心配もいりません。時代は進み、人は進化し続けているのです。本作の登場人物は、誤解を恐れずに言えば、非常にライトノベル的にはっきりと書き分けられており、しかも名前と人物のキャラクター性に共通項を持たせることで、より区別しやすいという配慮まで成されています(演劇部の美人先輩の名前が「星川麗花(ほしかわれいか)」という、いかにもな名前である、など。このことは作中でも頃よいタイミングで指摘が出てくるので、最初から無理に憶えようとしなくても大丈夫です)。

 加えて、文章も非常にリズミカルで、すっと頭に入ってきます。全体分量の三分の一に差し掛かる頃合いでやっと事件が起きるのですが、(その前兆のようなものが現れていることもあり)決して退屈しません。文章の巧みさとキャラクターの個性で読ませる感じですね。こういった辺りも非常に考え抜かれて書かれたものであることを感じます。


 さて、ここまで書いてきて、作品の内容にほとんど触れていないことにお気づきになったかと思います。あらすじでも事件が起きる前までしか書いていません。これにはわけがあって、本作はぜひ、何の事前情報もなしに読んでいただきたいのです。私としては「クローズドサークル」ものであるということすら伏せるべきなのではないかと思ったほどです。ですが「クローズドサークル」ものは人気のガジェットであり、これをきっかけに読んでくれる人も多いのではないかと思い書くことにしました。不安だ、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、面白さ、そして読みやすさは私が保証いたします。お読みになられたら、また、「ネタバレありレビュー」でお会いしましょう。

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