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この「本格ミステリ」が読みやすい!  作者: 庵字
名探偵対呪いの本『作者不詳 ミステリ作家の読む本』三津田信三 著
28/84

『作者不詳 ミステリ作家の読む本』プレビュー

「魔法」「憑依」と特殊設定が絡む本格ミステリのご紹介が続きました。今回もその路線を継続させていただき、その特殊設定は「ホラー」です。


作者不詳(さくしゃふしょう) ミステリ作家(さっか)()(ほん)三津田信三(みつだしんぞう) 著


「作者不詳」っていうけど、「三津田信三 著」って書いてあるよ。という突っ込みはお約束。

 ホラー、ミステリ作家の三津田信三をご存じでしょうか。ホラーとミステリはそもそも根を同じくし、とても親和性の高いジャンル同士です。そのため「ホラーっぽいミステリ」「ミステリっぽいホラー」という作品もこれまで数多く書かれてきました。が、三津田信三ほど両者に拮抗して秀でた作家はいなかったのではないでしょうか。三津田作品では、「ホラー」も「ミステリ」もどちらも主役を張れるクオリティを有しています。二人のウルトラマンの力で戦うウルトラマンオーブのようなものです。


~あらすじ~

 出版社に勤める編集者、三津田信三は、親友の飛鳥信一郎(あすかしんいちろう)を伴って訪れた古本屋から『迷宮草子(めいきゅうそうし)』というタイトルの同人本を入手する。手製の革表紙を持つその本には、全部で七編の物語が掲載されていた。第一作目の「霧の館」を読んだ翌々日の月曜日、三津田は会社からの帰路の途中、突如発生した霧に包まれる。その足で信一郎の自宅を訪れた三津田は、信一郎が推理した『迷宮草子』に関する恐ろしい謎を聞かされる。「霧」が見えているのは三津田と信一郎の二人だけで、このままだと二人は「本による怪異の力で消されてしまう」というのだ。逃れる方法はただひとつ「本の謎を解く」こと。二人が読んだ「霧の館」は、解決編が書かれていないミステリのような体裁のストーリーだった。「霧の館」を始め、全部で七編の収録作に提示された「謎」を合理的に解くことが出来れば、本の怪異から逃れられるというのだが……


 あらすじに記したように、本作の主人公は作者と同名の人物です。といっても、エラリー・クイーンや、法月綸太郎(のりづきりんたろう)のパターンと違い、作中の三津田信三は、実作者の三津田信三の分身とも言うべき存在で、メタフィクションのような構成となっています。このメタフィクション要素を持ち込んだ本作は「作家シリーズ」と呼ばれ、本作の前に『忌館(いかん) ホラー作家の棲む家』という作品があるのですが、そちらは読んでいなくとも十分楽しめます。

 あらすじで書いたように、明らかにホラーに分類される「怪異」が作中で実際に起きるのですが、それから逃れるための方法が「本に書かれた話に合理的な説明を付けて解く」という、理論が怪異を駆逐する構成が面白いです。

『迷宮草子』に収録された七編は、どれも本格ミステリとして魅力的な謎が提示され、それを解き明かしていく飛鳥信一郎は、まさに名探偵というにふさわしい活躍を見せます。


 全ての謎を解き明かした末に、三津田と信一郎が知った『迷宮草子』の恐るべき謎とは?


 それでは、お読みになられたら、また、「ネタバレありレビュー」でお会いしましょう。

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