『ダンガンロンパ霧切1』ネタバレありレビュー
『ダンガンロンパ霧切1』いかがだったでしょうか。
スピンオフものは「原作既知ありき」で書かれることが多いのですが、本作は原作ゲームを知らなくともまったく問題はないと思われたのではないでしょうか。本作を読んで面白いと感じていただけて、原作ゲーム未プレイの方がいらしたら、ぜひともゲームのほうも遊んでいただきたいと思います。(一作目と二作目をまとめた『ダンガンロンパ1・2Reload』がプレイステーションVITA専用ソフトとして発売中です)
〈探偵図書館〉に登録され、分野、実績ごとにナンバリングされた探偵。〈犯罪被害者救済委員会〉と、それが仕掛ける〈黒の挑戦〉など、魅力的な設定が満載でした。
事件自体も、(恐らく北山が、あまりミステリになじみのない読者を想定して書いたのだろうと思います)複雑なところのない犯人消失、バラバラ死体トリックの一発勝負。一見、異常者の仕業によるものと思われるバラバラ殺人が、死体隠匿と出現の論理的な理由によるものだと暴かれる展開は、本作がファンタジックな設定と舞台であるだけに、ひときわ異彩を放っていました。
さて、本作は「1」とナンバリングされていることから分かるとおり連作で、現在(2017年3月)「5」まで出ています。本格ミステリとして単発事件の楽しみはもちろん、霧切、五月雨コンビと〈犯罪被害者救済委員会〉との戦いが縦軸のストーリーとして組み合わさっており、キャラクター小説としても楽しめます。続刊以降には、霧切、五月雨の他に、本作のラストに少しだけ出てきた、ナンバー『900』七村彗星を始め、魅力的な探偵(そして恐るべき不可能犯罪)が続々と登場します。2巻以降もぜひ読んでみて下さい。
それでは、次回の本格ミステリ作品で、またお会いしましょう。