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この「本格ミステリ」が読みやすい!  作者: 庵字
モノクマは出ません『ダンガンロンパ霧切1』 北山猛邦 著
19/84

『ダンガンロンパ霧切1』プレビュー

 本格ミステリは媒体を超えます。今回はビデオゲーム原作の本格ミステリ作品です。


『ダンガンロンパ霧切(きりぎり)1』 北山猛邦(きたやまたけくに) 著


~あらすじ~

 謎の依頼状を受け取り、真冬の「シリウス天文台」にやってきた女子高生探偵五月雨結(さみだれゆい)は、自分以外にも四人の探偵が同じように集められていたことを知る。だが、そこは、「犯罪被害者救済委員会」なる組織が五月雨結を探偵に指名して仕掛けた殺人ゲーム〈黒の挑戦(デュエル・ノワール)〉の舞台だった。

 罠により眠らされ、目を覚ました結は、集められた探偵のうち、三人がすでに殺害されていることを知る。自分自身が犯人ではないと分かっている結は、生き残っているもうひとりの探偵、霧切響子(きょうこ)が犯人に違いないと確信し……


 ビデオゲーム『ダンガンロンパ』シリーズのスピンオフ小説です。『ダンガンロンパ』は奇抜な設定ながらも、「本格ミステリ」と呼ぶに相応しいゲームで、そのスピンオフ小説ともなれば、俄然本格色を増す作品となったのは必然でしょう。作者の北山猛邦はゲームの制作関係者ではなく、完全に外部の作家で、「物理の北山」の異名を持つ、物理トリックを得意とするミステリ作家です。本作においてもその名に恥じず、存分に「巧の技」が振るわれています。


 原作ゲームは、あまりに特異な設定であり、ゲームのキャラクターを登場させながら平行した世界でのスピンオフを書くことが非常に難しいため、本作は原作の事件が起きる前という設定になっています。そのためもあり、本作は原作ゲームを未プレイでも十分楽しめるように書かれています。

 登場人物も少なく、(冒頭ですでに結と霧切以外の三人が殺害されていることが明かされています)謎の主体が「ハウダニット(どうやったのか?)」に限定されるため、あれこれ迷うことなく読み進められるでしょう。


 あらすじに書いた〈黒の挑戦(デュエル・ノワール)〉とは、「犯罪被害者救済委員会」なる組織から舞台、凶器、トリックを与えられた犯罪者が、それらを使って探偵と戦い、勝利したら犯罪に掛かった経費金額をそっくり受け取れる。という恐るべきゲームです。犯罪やトリックの難易度から、組織がそれに相応しい探偵を〈黒の挑戦状〉で呼び出して犯罪者と戦わせます。本作に使われた〈黒の挑戦状〉は以下の通り。


探偵に告ぐ

黒の叫び声を聞け

 場所 シリウス天文台 3000万

 凶器 大バサミ 500万

 凶器 気絶薬 500万

 トリック バラバラ殺人 8000万

 総コスト 1億2000万

以上のコストから、次の探偵を召喚する

 五月雨結


 何とも恐ろしく、魅力に溢れるガジェットです。凶器やトリックが高度になるにつれ金額も高くなり、召喚される探偵も高クラスになる。という仕掛けです。まさにハイリスク、ハイリターン。犯罪者のデメリットは、失敗したら総コストを払わされる。というものです。(払えなかった場合は、もちろん……)

 この恐るべき殺人ゲームに挑まされた五月雨結の運命は?


 お読みになられたら、また、「ネタバレありレビュー」でお会いしましょう。

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