第2話
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カゲハはいつ何時でも時間を知ることができる。時計や日の傾きなどを見ずに、秒単位で正確な時間を把握できるのだ。
カゲハはこれを絶対時間と呼んでいる。
絶対時間は幼い頃から時計技工士として、多くの時計を作り、直している内に身につけた一つの能力である。
フウカが嫌々言いながらも、資料を片づけて図書館を出た2人は≪ロンドン≫の街へ出ていた。
「だいぶ復旧進んできたな〜。瓦礫の山だったのにな。」
「そうだね、ここら辺はあんまり崩れてなかった地域だったしね。まだ他の地域はボロボロのままだよ。」
街の人々により、少しずつだが、着実に復興されている街を見回すと、一際立派に建っている時計塔を見つけた。
その時計塔は15年前の大崩壊に対して、無傷で残った建物だ。これも大崩壊の謎の一つである。
≪ロンドン≫はその時計塔を中心に復興を進めていっているのだ。
カゲハが時計塔を見つめていると突然、ゴ―ンと大きな鐘の音が鳴った。それはとても力強く、綺麗な音色だった。その音は、時計塔から発せられるものだ。
あの時計塔は建設時から、つまり大崩壊前から毎日欠かさず15分おきに、塔内部にある巨大な鐘を鳴らしている。
その鐘は、大崩壊の起きた直後でも鳴らされたという。
ロンドンの住人にとって、それは日常の一部で、心の支えでもあるのかもしれない。
「昔はよく2人で瓦礫だらけの街を探検したよね〜」
懐かしむように言うフウカを見て、カゲハも思い出したように、
「ああ、行ったな。探検じゃあなくて調査のつもりだったけどな。嫌だ、疲れたーって文句ばっかり垂れてる奴とな。」
と言うと、フウカは頰を膨らせた。
「だって、朝からずーっと日が暮れるまで続けるんだもん。しかもほぼ毎日! もっとレディを大切にしてよね。」
私は悪くないもんっと可愛げにツンツンしてきた。
かわいい。
探検、いや調査の話をして、最近は本や資料ばかりで調べていたな。と思い、久しぶりに調査に出ようかなと考えついた。
「飯食べたら、街を出て調査に出るか〜。一緒に来るだろ? フウカ?」
「人の話聞いてるの、あんた?」
何言ってんだこいつは? と、呆れたときのアメリカ人みたいなポージングをしてくる。
微妙にイラっとくるな。
ちょっと強がって言ってみることにした。
「なら別に来なくて良いけど?」
「行くしーーー。行かないなんて言ってないしー!」
慌てたようにフウカが見事な逆切れエスケープを使いつつ、行きますアピールをする。
そんなフウカを見て、 毎回チョロいな〜と、カゲハは思った。