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はるをまつ  作者: 瀬名あき
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帰り道

その日わたしは全てにイライラしていた。


閉店間際の客。いつもより1時間遅い退勤つまりは残業。無愛想な警備員。横断歩道の一歩手前で信号は赤になる。隣に立つ若いカップルの大きな喋り声。信号は青になった。カップルはわたしにぶつかりながら前を歩く。ヒールの音が耳に障る。書類で重たくなった鞄は肩からずり落ちる。


本当にささいなことが、いちいちわたしの癇に障った。


信号を渡り終えたところで、わたしはサラリーマンと並んだ。歩調が重なる。並んで歩く。


慎司ともこんな風に歩調が合えばいいのに。と、思う。


わたしと慎司はいつも歩調が合わなかった。歩調が合わないから、という訳ではないけど、いつもいろんなことのタイミングがずれていた。


慎司とも歩調が合えばいいのに。


もう一度心の中で呟いたところで、サラリーマンは右にそれた。並んで歩く人はいない。


並んで歩く人はいない。いつも。


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