9話 そして、今日はテロスに潜る。
さって、階段まで戻ってきたけどどうしようかしらねぇ?
昨日は、8000歩進んで小部屋作ったのに戻るのには1000歩ちょい超える位だから、何かのトラップなんだろうなぁ
ここに戻れたって事は、ターンテーブルで同じところを往復していた訳じゃないと思うんだけど、でも、また同じ道を進んだらいくら進んでも結果同じになりそうだしねぇ・・・
んー、どこかに空間のループでも在るんでしょうけど、光量も同じだし真っ白の壁で距離も良く分からないのよねぇ
!!
なんだ、入り口さえ見つけたら問題ないんじゃないの
フラッグは壁を一殴りして、拳骨大の破片を作ると通路の奥に向かって勢い良く投げた。
あー、その辺はまだ通路なんだ
これ繰り返してたら、なんか分かるかな
欠片を投げ続け、夕べの塒まで到着した。
投げた欠片がループしている。
距離にして80cm程の空間ループを見つけた。
そこね!
塒の中に入り、通路と平行に掘削作業を開始した。
さて、そろそろ超えたかしらね?
よいしょっと!
ビンゴ!
通路の少し手前の辺りに先ほど投げた欠片が床に落ちていた。
これ、戻るとどうなるのかしら?
掘削で発生した欠片を投げてみたが、ループはせずに直進して見えなくなった。
暫くして階段の壁に当たったらしく、盛大な破壊音が通路に響き渡る。
よし、一方通行のようね
ループは超えたし、先に行ってみますかね
でも、その前にっと
別の少し大きな欠片を手に取ると、先ほどより勢い良くこれから進む通路に投げてみた。
ドンッ!という大きな音を置き去りにして、欠片(人の頭部ほど)が飛んでいった。
1
2
3
4
5
・
・
・
あれ?何にもぶつからなかった???
まだループあんのかしら?
しつこいなぁ
仕方ない、チマチマ進むかぁ
新たな欠片を手に通路のループを探しながら先を目指すフラッグであった。
あの欠片、先の空気を圧縮しながら進んで燃え尽きたか、音に追いつかれて砕けたんじゃねーの?
「な?大丈夫だろ?」
「うわー、何アレ・・・自分の左手と戦ってるよ」
「キかん!そのヨウなコウゲキなぞマンカイアビてもキズひとつツかんわっ」
「これもカワすか!だが、オワらんよ。アシモトががらアきだ!クワッ」
「そろそろホンキをダさせてモラおうか。キサマもホンキでコい!ユくぞ!」
「うーわ・・・引くわぁ。クラインの奴なんて物造ってんのよ。呪いのハリセン?」
「解除ワードを音声入力してから、最初に叩かれた対象が泣くまで叩き続けるんだよね。叩かれた相手は、仮想敵の幻影が見えるようになって、それと戦っていると錯覚するんだってさ。仕組みは知らないけど」
「だからって、何で自分で自分を叩いてんのよ」
「さぁ?クラインに聞いてよ。俺は知らないもん。でも使えりゃ何でも良いんじゃない?」
「うっわ」
「ほら、ワルちゃんビーコンの所に行こう。マイラー君をお家に帰さなきゃね」
「あぁ、そうね・・・」
リザードマンの独りバトルをチラチラと見ながら割れた壁から外に向かうワルハトリだった。
その背中では、マイラー君が眠っている。
子供って一度寝ちゃうと、起きないよね。。
で、リザードマンこの後どうなんだろうね?
泣けば終われるけど、泣きそうに無いよなぁ・・・餓死するまで戦うんだろうな。
「bee、そっちに戻るから転送して」
<「了解しました。」>
■□■□■□■□■□■□■□■
Now Loading・・・
■□■□■□■□■□■□■□■
「じゃあ、この子お家に届けたら直ぐに戻ってきてね」
「ねー、ワルちゃん。今日はテロスにいくのもう止めない?そろそろ夜になるよ?」
「あのね、フラッグが行方不明なの覚えてる?」
「ジョブ、ジョブ、ダイジョブ。フラッグだよ?平気だって。ワルちゃんだってそう思ってんでしょ?」
「まぁ、そうなんだけどね。ま、いっか。明日の朝から行きましょ。bee、もう一度偵察機出しておいて」
<「了解しました。」>
「んじゃ、ちょっと行って来る」
「はい、行ってらっしゃい」
管理職がこれで良いのか?
行かないにしても、尤もらしい理由くらい出さないと駄目じゃないのか?
君ら、少しばかり自由すぎないか?
まぁ、フラッグなら元気にやってるから問題ないけどさ。
■□■□■□■□■□■□■□■
Now Loading・・・
■□■□■□■□■□■□■□■
「こんばんはー、エセックです~」
「お?先生どうしたんだい?って、マイラー、先生のところに行ってたのか。」
「いえね、テロスに行ってたんですが中の広間の入り口で眠っているマイラー君を見つけまして、連れてきたんですよ」
「何でまたそんな所に?先生が連れて行ったんじゃ無いのですか?」
「僕は広間に居たんですが、後からやってきたウチの上司が見つけまして・・・」
「そうでしたか、わざわざすいませんね」
「ダイク、先生がみえたって?」
「あぁ親父、マイラーが先生に迷惑掛けてしまったようで、送って来てくれたんだよ」
「姿が見えんと思ったら、先生のところにお邪魔しておったか」
「んー、まぁそんな感じですねぇ。見つけたのは、ウチの上司ですが」
「アニエスー!」
「そんじゃ、僕は会社に戻りますんで」
マイラー君をダイクさんに渡したし、サクッと帰るか
あ、メイドさんがやってきた急いで帰ろう。あの人なんでかいつも俺の事睨むんだよなぁ
「大だんな様、お呼びでしょうか」とか聞こえたけど、あの人アニエスって云うのか、ふーん
さて、さっさと帰って晩飯にしよう
■□■□■□■□■□■□■□■
Now Loading・・・
■□■□■□■□■□■□■□■
「どう?Bee何か見つかった?」
『いえ、やはり例の扉までですね。これといった変化は有りません。』
「やっぱり行かなきゃダメか」
『えぇ、その様です。』
面倒だけど、行かない訳にもいかないし仕方ないか
「bee、明日の朝イチで出発します。エセックにもその様に伝えておいて」
『了解しました。』
「あ、グダグダ言う様ならビーコンの処まで転送しちゃって構わないから」
『了解しました。』
さて、まだ遅い時間でもないし、着替えて街にでも遊びに行こうかしらね
自室に戻り、ちょっとオシャレしているが、もうちょっと、大人し目でも良くない?
ワルハトリさんの戦闘服はそんな感じですか・・・どこに遊びに行くんでしょうね。
ノクターン行きの片道切符だけは、持ってこないで下さいね。
翌日、ツヤツヤのワルハトリがテロスに居た。
それとは対照的に寝起きのままテロスに飛ばされたエセックは、文句を言っていたが・・・
ワルハトリ談
「うん。狼の獣人はとにかく凄かった!」
本日の登場人物
エセック
ワルハトリ
マイラー君
bee
リザードマンの人?
狼の獣人さん達
ブラッグ(前書き部)