3話 仲見世通り
そんじゃ、ビーコン設置っと
モンスターも出てくるから、装備取りに戻った方が良いのかなぁ?
んー、どうしよっかなぁ
戻んの面倒だしなぁ
もうチョット強いの出て来たらにしようかなぁ
「おーし、ガンガン行こうぜ!おー!」
階段を飛ぶ様に駆け下りていくフラッグだった。
トラップとか気にしなくて良いのか?
そんなだから”脳筋”扱いされるんだよ?
女子力って知ってる?
アラサー女は突っ走って行った・・・
観光地だっては聞いてたけど、こりゃ凄いな
店も多いけど、人だらけで仲見世通りの奥が見えないや
ちょっとチキンお持ち帰りは失敗したなぁ
「だから、直ぐに行こうって言ったのよ。観光地なんだから、露天で色々買いながら歩けば良いのよ。」
「いや、ここまでの観光地だと思ってなかったんだよね。あ、飲み物買いに行くんなら、ミード買ってきて。俺、あっちで串焼き買ってくるよ。エビでいいか?」
「あんまりデカイの買ってこないでね。他にも回るんだから」
「んじゃ、買ったらここに集合で」
この国の雰囲気とは少し違うテロス迷宮入り口の観光地には、沢山の人で溢れている。
毎日が日曜日のリタイヤ夫婦から、ベビーカーを押す若夫婦や初デートらしい少しぎこちないカップルまで、年齢層を問わず訪れる人気観光地だ。
しかし、迷宮と云われている割には冒険者風の人間は見当たらない。
なぜならば、このテロス迷宮は”迷宮”の名前こそ付いているが、巨大な地下遺跡なだけで特にこれといった危険も無い安全な迷宮である。
さて、観光地とはいえこれだけの人が集まるには訳がある、このテロス迷宮の目玉は”ふたつ”
一つ目は、身に着けていると1年間病気にならず、健康で過ごせる”命の雫”
二つ目は、大抵の病気を根治させてしまう”活力雫”
長生きしたい人が集まる場所だ。
活力雫は生産量が少なく希少価値から一般に流通させてしまうと価格の高騰や買占めが発生してしまう為、、国の管理下に置かれている。
国が買取を行いテロスの収入源の一部となっている。
町外れにある国立病院には、数十年に一度採取できる巨大な活力雫が有り入院患者も多い。
ミードを片手に串焼きを頬張りつつ、迷宮に向かう二人。
小一時間ほどブラブラしながら、日の落ちる前に迷宮の入り口に辿り着いた。
「えーっと、もうすぐ夜なのに何でこんなに人が多いんだ?」
「この辺は安全なのもあるけど、仲見世も迷宮も夜遅くまで開いているのよ。」
「街中は大体、陽が落ちたら店が閉まっちまうのになぁ。んで、何処まで行くんだ?”雫”んトコか?」
「そこもだけど、奥の広間にも行くわよ。寧ろソッチが本命よ」
「えー、あんなとこ何も無いだろ?めんどくせぇ。」
「ちょっと、エセック・・・報告書読んでないの?フラッグが、入り口見つけたって書いてあったわよ。」
「あー俺、今週ベースに戻ってないわ。そんな事になってんの?ワルちゃんから何も言われてないよ?」
「あら、そしたら今日の昼間にフラッグがモンスターと戦闘になったのも知らないわね。ここモンスター居たのよ。まぁ、フラッグが 無 双 し て たみたいだけどね」
「今まで魔物なんて居なかったのになぁ。こいつは、何か有りそうだな」
「コッチの獲物かも知れないわよ?何にせよ私達にとっては、良い傾向かも知れないわね」
「あれ?もしかして、それで こっち まで来てたの?」
「それはついでよ、つ・い・で♪」
「んじゃ、本命は?」
「それは後でウチの室長から聞いて頂戴。私はエセックに会いに来ただけよ~ん」
チヨんトコの室長が?どういう事だ?
まさか、コッチの室長不在なんで兼任とかじゃ無いだろうな
俺、婆ちゃん苦手なんだよなぁ
「うわー、やだなぁ。何言われんだろ・・・」
「さぁね?エセックの所は 室 長 不在だから、それ関係だと思うけど・・・」
雫も購入して、更に奥の広間へ歩を進める二人。
途中には、雫の採取を行っている場所が見られるようになっている。
「え?雫って・・・あーやって採ってるんだ・・・あの人達ってさ・・・」
「うん、どこかの年齢化粧品会社みたいね・・・”雫が落ちるのを見ているだけの簡単なお仕事です”ねー」
「うわー、俺には無理だよ。あれって一日中見てるだけだよな」
「私も無理ー」
■□■□■□■□■□■□■□■□■
Now Loading・・・
■□■□■□■□■□■□■□■□■
「ご無沙汰しております、エネル室長」
「久しぶりね、ワルハトリ。今回は大変でしたね。急遽ウォルトの所長就任が決まってしまい、後任の目処が立たないまま貴方達には不便を掛けてしまいました。報告書は確認しましたが、 貴 女 の目から見て現状のまま調査の続行は可能ですか?」
「調査に関しては、問題点は出ていません」
「調査以外で何か問題が?」
「 室 長 不在の為、室長権限が必要な事が一切出来ていません」
「そうなりますね。それに関しては、概ね解決できる様に手を打ってきましたので、安心しなさい」
「概ねですか?エネル室長が、代行して頂けると云う事ですか?」
「それでも良いのですが、私が代行をするとなると現場との距離が問題になりますので、貴女を室長代行を委任する事に成りました。正式な室長が決まるまでの暫定的なものですが、当面は凌げると思いますので頑張って下さい。」
「私がですか!?エセックは兎も角、フラッグの管理は・・・」
「貴女で有れば出来るとウォルトからの推薦もあります。やって見せなさい」
まじか!
無茶だろう、エセックはお話で大人しくなるけど
フラッグは人の話聞かないもん、無理よー
あの女 短 気 だもん、 華 眉 派 だし
『お話中失礼します。室長権限は、何処まで使用可能なのでしょうか?』
「そうですね、室長手当てと・・・」
ワルハトリが使用できる室長権限は、以下のものであった。
・追加予算申請(追加人員含まず)
・チーム人員の行動制限
・Level2迄の装備品使用
・Level1兵装の使用
・防御機構の全使用
・現地時間1日以内の記憶改竄
そして、室長権限に伴い発生した義務もある。
・年間・月間活動予定報告
・週間活動報告
・チーム人員管理
・探査チーム報告会への出席
・年間予算折衝
「まずは、人員管理をやってみなさい。来月には報告会も控えていますので、資料も纏めておく様に」
「はい、解りましたぁ↓」
本日の登場人物
エセック
ワルハトリ
チヨ(エセックの同期)
エネル室長
Bee
フラッグ(前書き部)