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プロローグ

「お前はなんでこうダメなんだ?」

 聞こえる、バスとテノールの間の声が問いただしてくる。

 唐突にそんなことを言われても咄嗟に答えられるわけじゃない。

「なんでそう移り気なんだ。ひとつのことを一生懸命することはできないのか」

 その問に対してもやはり、口をつむぐばかり。

 子供のあいだくらいいろんな所に見聞を広げるためにいろいろやってもいいじゃないか。それが自論だ。

 子供は大人に迷惑をかけるものだと聞いたことがある。だから他力本願で何かをしてもらう前に自分から、手探りでもいいかから動こうとしていろんな事に手を出した。少しずつ少しずつ、自分が興味を惹かれるものに広く浅く。もちろん法を犯すようなことはしていない。迷惑をかけるとすれば金銭面だろう。

「黙々と真剣に、ひとつのことに打ち込むことはできないのか?」

「じゃあ、それが出来れば認めてもらえるの?」

 不意にでた言葉に、

「やってみろ。ちゃんとした奴の周りには人が集まってくる」

 言葉をくぎり、繋げる。

「それは何故か、わらからなければただのピエロの曲芸。わかっているなら先導者になれるだろう。お前が欲しいものはそこにあるんじゃないか?」

 じゃあ。

「最後に一つお願い」

 息を飲み。同時に不安と恐怖と体の奥へとしまいこむ。

「なんだ?」

「ここに進学させて」



 生徒を束縛から開放する鐘が校舎中に響きわたる。

 皆各々がそれぞれの行動をとって自由になったことへの安堵にひたっている。

「なあなあ、高市。となり町の鶏舎で死んだ鶏からインフルエンザ発見されたんだってよ。こりゃバイオハザードになるかもな。早く逃げないと」

「バイオ……ハザード……!? じゃあすぐに!」

 俺はからだの一部であった椅子から立ちあがり教室を風をおこして退室する。


「水希。お前また変なこと言いやがって、今回も収集つかなくなるぞ」

「大丈夫大丈夫。お嬢は今の時間はやく来れないし、そこまで大規模なことはできない。君も分かってるでしょ? 木戸くん」

「いや、それでもな。あいつこの前、消費税上がるからって日用品を各百個は買ってたんだぞ」

「まあまあ、面白いのはいいことじゃない?」

「そういえば前のやつもお前のさしがねか……。何がしたいんだ本当に」

「うんうん、簡単で思考力に欠けてる答えだね、寝不足? カルシウム足りない?

ほら今すぐ購買で牛乳買ってきな」

「遠まわしに揶揄されたと思うのは俺だけか? 簡単なら教えろ」

「ほうほう、まだ少しは思考力がある。でもまだアウストラロピテクスだ!」

「チンパンジーと差し障り無いじゃねーか!」

「まあまあ、冗談はさておき、簡単なことだよ。面白いことが人を幸せにするからだよ」



 時計の秒針はせわしない。少しは休めばいいのに。まあ、俺の時計はデジタルだけれども。

 血がまだ通わずに死んでいるも同然の箱が立ち並んで狭い部屋。それをさらに狭くするかのように置かれた机の上に目当てのものが存在する。

「よしっ。始めようか。人類を救うために」

 できるだけ誰でも使えるように単純化された操作はご丁寧にボタンを押す順番までも書き記したメモがある。ボタンに振ってある番号通りに指を押しつける。

 ピーンポーンパーんポーン

 聞きなれた始まりを知らせる常套な音がこの室内にも響く。よし。

「アリスとクレアとレオンはどこだーー!!?」

 手順を間違っていなければ全校に周知のことになっているだろう。それを知らせるかのように、金属製であろう扉を叩く者がいる。

 分厚い扉に遮られてそれ以外は聞こえないがおそらく教師が乗り込もうとしてきたんだろう。 手に取るように分かる、教師陣は「この扉を開けろ」と、叫んでいるんだろう。

 だが断る!

「早くしないとア○ブレラ社の陰謀が進んじゃうよ!!!」

 ここまで言えば少しは危機を感じた彼女らが現れるだろう。

 さて、窓からの逃亡でもはかるか。

 そう考えて機械の電源を切った直後。扉が開け放たれた。

 一瞬理解ができなかった。マスターキーは当然俺が持っている。じゃあどうやって……!

「高市ーーーーーーーー!」

「てめぇぇぇかぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 最後が掠れた叫び声におうじてこちらも、最初に入ってきた木戸に対して叫ぶ。

 一般の容姿から発せられる声も、やはり一般で、面白みのない普通人。模範生のように制服のネクタイをきっちり上まであげ、第一ボタンまでしめている。苦しいだろ?

「裏切り者ォォォォォ!! 裁きを下してやる!」

 教師が四名人ほどが木戸に続いて室内に入ってくる。

「今日は放送室の不法占拠か、覚悟はできてるんだろうな?」

 教師二人が両脇から俺の腕をつかみ、拘束する。連れて行かれる。

「毎回すまんな木戸」

「いえ、使い道のないような技能が役に立つのなら、いつでも呼んでください」

「テメーーーア○ブレラ社の刺客だなーーーーー!」

 せめてもの反逆のために腹からの空気で、声帯を揺らす。

「まだ、信じてたのか……」

「また彼奴のさしがねか……」

「はい、すみません今度キツく言っておきます」

「頼んだ」

 くそッ。これで終わりだと思うなよ。俺は所詮問題児の下っ端、じきに第二第三の問題児が現れるからな!!!!

 あ、でも俺もまだ生きてるからなぁぁぁぁ!

 口に出しての堂々とした宣言はできないので、胸中で吠える。


稚拙で自己満足な文章ですが、読んで感想、指摘などがございましたらお願いいたします。


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