表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
War Game  ~序章~  作者: フラップ
6月の運動会
6/12

クフィル

一週間待つのが死ぬほどきつかった。


.....悪かったね、子供で。俺だってまだ15才だもん。子供だもん。


あれだ、遠足の前の子供だ。


待ちに待った今日、ゆっくりと朝食をとって自分を焦らす。


でもジープに乗った時刻はいつもよりずっと早かった。


焦ってるんだろうな。


仕方ない、素直に急ごう。


車を走らせた。


# # # #


例の飛行場に着いた。


ガレージに向かう。


あくまで落ち着いて動く。


ノックして入る


クフィルには既に燃料が入り、すぐに発進出きるようになっていた。


商人に金をわたし、契約書にサインを書き、操縦席に乗り込み、エンジンを始動し、ガレージを出る。


滑走路のはしまで移動し、スロットルを開く。


アフターバーナー オン


ロケット ブースター オン


加速


加速


加速


負荷


操縦悍を引く


簡単に浮く


ロケット ブースターを切り離す


翼をふって


機首上げ


背中に負荷


上昇


空しか見えない


どこまでも上がっていける気がして


上がっていける


きっと


きっと


上がって行けるだろう。


限界まで上がったらどうなるのだろう。


上がって


上がって


雲にはいって


出口にちかづいて


点だった光は


どんどん大きくなり


トンネルから出ていくときのように


周りが光に包まれ


操縦悍を引いて


背面になりゆっくりと


堕ちていく


高度計は狂ったように回る


速度計は一定のスピードで周り


地面がみえ


横を見ると地平線


後ろに空


操縦悍を引いて


基地のところに向かう


エンジンを止め


無線を切り


風切り音だけ


基地に滑空して着陸した。


# # # #


次の作戦は明日だった。


ハンガーへ向かう。


暗いハンガーの中でライトに照らされたクフィルが照らし出される。


エアダクトの芸術的な曲線が美しい


柔らかくも強い輪郭は名前の通り


子獅子だ


機体をさわる。


冷たいジェラルミンが心地よい


翼の上によじ登り


操縦席のなかに入り


目を閉じる


僕はパイロットで


空を飛び


人を殺して


食堂で


飯を食べ


部屋で


寝る


それ以外に


何が


必要


なのだろう


『人殺しはよくない』


誰かがいっていた


じゃあお前は人殺しだ


お前は人殺しだ


食べていけず


死んでいったやつを


僕は知っている


10円で助かった命を


僕は知っている


10円のガムを買うことは


命と


ガムを


天秤にかけ


ガムをとった


ということなのだ


僕がやっているのは


間接的なのを


直接やっているだけなのだ


なにも知らない人殺しが


平和と叫ぶ


なにも知らない人殺しが


戦争反対


僕は笑った


なにも知らない人殺しと


少しだけ知っている人殺しを


僕は笑った


腐りきった世の中と


美しい空を


暗いハンガーのなかで


僕は笑った

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ