インタビュー
基地に着いたのは15機だった。
5機が落ちたことになる。
その日、イギリスの新聞社が来ることになっていた。
僕がインタビューを受けることになった。
同じ隊の、フレイというやつといっしょにだ。
「何機おとしたのですか?」
「機体は見ましたか?」
わざと質問をぶつける。
「いいえ。」
「撃墜マークは書いてあります」
「貴方は軍のエースパイロットと聞きましたが」
「墜とすことよりも墜とされないことの方が大事です」
「.......でも...」
「そういう話をしに来たのであればバーへいくことをおすすめします。鼻高々に撃墜数を教えてくれるでしょう」
「平和主義等は考えますか?」
「平和の定義はなんですか?」
質問する
「社会が安定し、戦争等が起きてないことです」
「なら社会は?」
「..........っ!」
ようやく相手は僕の意図をつかんだようだ。
社会が国なら、平和主義とはたとえ他の国が滅ぼうと戦争が起きて乱れようと自分の国が安定していたらいい、ということになる。
社会が世界なら今世界は平和ではなく、戦争状態だということだ。
つまりこの場合どちらを選んでも平和を否定することになる。
平和等存在しない。
例えば、テストで100人中1位を取ったとする。
この時点で彼は99人の希望と幸福を踏み潰して自分一人の幸福を優先したことになる。
こんな醜いことをしているのに、みんなすごい、すごい、と褒め称える。
ここにこのメカニズムを作り出したやつの狙いが見える。
誉められる=良いことをした
というごく単純な人間の仕組みを応用して醜いことを隠したわけだ。
素晴らしいメカニズムだ。
ターボ.チャージャくらいに素晴らしい。
考えたやつは天才だろう
そんなことを考えていると記者は黙って部屋を出ていってしまった。
ざまあ
"平和"のなかで生きてると頭が濁るんだ。
平和主義と戦争反対と、いっしょくたにするやつがいるが、
本当に正しいのか。
隣に人が座っているのも落ち着かないので僕は部屋を出た。
どこへいくということもないので愛機をみることにした。
機体は既にハンガーに入れられていた。
6月の総力戦まであと一ヶ月。
僕は明日、オークションにかけられる。
一ヶ月の雇用で貴族の私兵になってその貴族のチームに入り、戦うわけだ。
そしてオークションの利益は3:2で軍と僕に分けられるわけだ。
さあて、何ドルになるのか、楽しみだ。
今のっている機はF-5Aだ。今では最新型のE型でさえ珍しい。
つまりは、オンボロなのである。
今欲しいのはイスラエル製のクフィルだ。
フランスのダッソー ミラージュの改良型とも言える。
フランスの武器輸出方針の変更によりミラージュ5を輸入できなくなったイスラエルがライセンスのミラージュ5にJ79エンジンを搭載し、カナードをつけた機だ。
本家より性能がよかったりする。
今度のオークションで買えたらいいなと思っている。
実は知り合いの武器商人が当てがあるといっていた。楽しみだ。