レジスタンス
「私たちは…レジスタンスなの。この戦争のね」
フレイは言った。
「戦争を動かしてる貴族やら金持ちやらがPCだったら私たちはNPCなの。モンスターやボスみたいに、PCを殺すのが役目。このゲームをゲームオーバーにするのが仕事なの」
彼女は僕に言った。
「もうね、世界中がこのゲームの正体を知れば、ゲームオーバーなの。問題は、それにどうやって信憑性を持たせるかが大切なの。だって、ただ何人かが声高らかに言ってもだれも耳を傾けない。」
「…それで?」
「実は…ソ連崩壊時に、ソ連の核兵器の管理はとてもずさんだった。それで、警備員を金で懐柔するのに30分と掛からなかった。人によって食料だったり、金塊だったりしたけど、ソ連崩壊で強烈なインフレが起こって金は紙くず同然になった。その相場が変わるタイミングをつけたから、だいぶ安く手に入った。」
「…何が?」
「核兵器よ、核兵器。これで、戦争を終わらせる。アメリカのB38と同等のを2発ね。これをワシントンで爆破させる」
フレイの話に嘘はなかった。B38は強力な戦略核だ。ひとつで広島原爆の160倍の威力がある。東京に落としたら関東平野は焼け野原となる。それを2発・・・
「それをうまくこの戦争のしわざにする。その辺の工作に抜かりはないわ」
「・・・僕に何をしろと?」
どの道僕がやらなくとも誰かがやるだろう。それで戦争が終わったら僕たち志願兵は戦争犯罪者に仕立て上げられ処刑されるだろう。それなら・・・
「やるかやらないか聞いてからいうわ」
「やるよ」
「目標はホワイトハウス、二つ積んで単機突撃。中古タンカーを改造した空母で行く。発艦はできるけど着艦はできない。二回目はないわ」
* * * *
「う~み~は~ひろい~な~お~き~ぬうぇあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
ただいまバミューダ島沖1500㎞
実は僕、相当の飛行中毒症だったようで、確かに振り返ってみたら、一週間も飛ばなかったこと2年くらいなかったしなぁ。
と、いうわけで、飛べずにいらいらしている。
日がなクフィルを見つめてグダグダしている。
食堂でコーヒーを時間をかけて飲んでいる。
あと一週間待つしかないのだ。