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伸びゆく螺旋  作者:
3/13

  3 話

この作品には〔残酷描写〕〔15歳未満の方の閲覧にふさわしくない表現〕が含まれています。

15歳未満の方はすぐに移動してください。

また[性]に対する免疫がない方、あるいは[性]の苦手な方はご注意ください。



 律己です。

 


 意識を取り戻したら姿形が生前の自分のそれと変わっていました。

 


 黒髪茶目の黄色人種が、深緑の髪と青い瞳の白人肌とか……

 あのぅ、それってカミサマの色と同じなんじゃあ……



「うん、そう」



 希望とか選択とか拒否権とか……「ないから」

 ……ここでもココロ読まれてるし(涙)

 






 まぁ、ともかく。

 自分の元居た世界からこちらの世界へと自分を連れてきた深緑の髪のカミサマから色々と説明を受けました。







 何でも、俺の魂が傷だらけなので、それを癒さないとならないそうで。

 応援するから、自由に生きてね。と、あっさり言われた。


 

「完全に治ったら元の世界へ送り届けるからね」


「よく判らないけど。治るって、どのくらいかかるんでしょう?」


「さぁ……? 魂の癒え方って、魂それぞれだから。数年の魂もいるし、数百年とかって魂もあるし」


「さいですか」


「下準備は沢山してあげるから安心してて。そう簡単に死なせない様にしたし」


「は?」


「使える能力とかも、君が一番使いやすい種類にしてるし」


「へ?」


「まずはこの天界でしばらく暮らしてね。皆で愛でるからv」


「何それ……って、何でそこではぁと?」



 何やら不穏な気配感じるんですけど、気のせいだといいなぁ……

 









 

 まぁ、なんというか……

 この世界[ウィス]の創世神である[ティ・リア]というのが、あの緑の髪のカミサマでした。





 あれから。

 創世神のすぐ下位にあたる、この世界の沢山のカミサマ達に引き合わされました。

 普通考えたら人であった自分なんて、到底手の届かない方々ばっかりなんですよ、判ります?



「私の大切な御方からお預かりした稀有な魂です。いずれその御方の元へお返しするまでは、私の愛ぐし子として慈しみますので皆さんもそのおつもりで」



 あのー、なんか他のカミサマ達の視線が痛いんですけどー。



「ご挨拶、しましょう?」



 あーうー……カミサマ達って、この会話も聞こえてるとかじゃないんですかぁ?



「それは私だけの特権です。あと敬語禁止。貴方の持つ普通の言葉で、タメでもおっけぇです」



 タメとかおっけぇ、て……前の世界の言葉なんだけど通じるの?



「多少は違いもありますが、この天界では全ての言葉が基本あなたの元居た世界と同じと思ってもらって結構です。地上世界については、あとで魂にあらゆる知識刷り込みますから問題なし」



 チートだ。

 しかも挨拶を待ってるのか、他のカミサマ達の視線が一層強く険しくなってる気がする。

 無難に無難に……



「えーと。一条律己です。お世話になります」



 ぺこりと軽く会釈をしてみる。

 あれ? 何かカミサマ達の雰囲気が変わった……?

 笑っているカミサマもいるし、きらきらと楽しそうにしているカミサマもいる。

 振り返るとティ・リアもにっこりと他の神様に向かい笑みを浮かべている。



「理解していただけた様子ですね、では頼みますよ」



 そう言うとティ・リアは俺に視線を向けた。



「私はちょっと用があるので離れますが、判らない事とか困ったことがあれば、どんな事でも他の方々に言うんですよ? あと、本気で困ったら私の名を呼ぶ事」


「はあ」



 ティ・リアは軽く頷き、その場から一瞬のうちにかき消えた。

 残された律己の傍へ、一番前の方に居た四人の神様がやってくる。



「ようこそウィスへ、リツキ」



 その後はもう、もみくちゃでした。

 触られたり撫でられたり抱きしめられたりで最後は意識かっ跳びました、ええ。

 次に意識取り戻したら数人のカミサマだけになってて「申し訳ない」と謝罪されましたが。

 本気で困ったら、って。こういう事だったのね……







 何でも、この世界では転生とか迷い人とか事故……俗に言う異世界トリップみたいのとかは、たまにあるらしいんだけど。

 この世界を治めている創世神自身がこういった形で愛ぐし子をつくるのは初めてなんだそうで。

 俺が挨拶する前、何か険しく感じたのも「創世神自らの愛ぐし子がどれほどのものなのか」見極める形でカミサマの皆さんはそれぞれの神力を自身に纏っていたそうな。




 フツーの人間の魂だと身動き一つとれないか、神力の重圧に耐えられず意識飛ばしたりするんだって。

 弱い魂だと、そのまま存在消し飛ぶとか……

 あぶねーな、をい、って心の中でツッコミいれちゃったよ。


 で、俺はというと特になーんにも感じなかったんだよね。

 視線が刺さって居心地が悪いってくらいだったし。

 

 






 という訳で、カミサマたちにちゃんと受け入れられました。

 結果としていうと。

 それからの十年間、思う存分皆さんに愛で倒されました。

 色んな意味で凄い経験でしたよ、ええ。

 








 あと。

 この世界を知るという事で、脳裏というか魂にらしいけど、世界の基本的な知識(歴史読み書き言語)以外にも色々と色々と刻まれました。

 便利なのは錬金術に近い魔術や神術が、わりと制限なしで使えるってもの。

 生命を作り出したりは流石に出来ないけど、それ以外は理解分解再構築で使用できる。

 基本、俺のイメージだけで魔方陣とかは自動生成されるというチートさ。

 この地上世界で一生懸命勉強とか研究とかしている魔術師さんたちゴメンナサイって代物です。





 地上世界では反則技になるものもあるので、実地訓練も散々させられました。

 今は魂だけの存在だから力の元になる神力や魔力を楽に扱えるけど、肉体を持って地上で使うとなると、どうしてもその肉体っていう器がその力の元を受け止める容量が限られるんだそうで。




 ええ、ええ。

 肉体付いた状態でもかなり練習しましたよ。

 何度か、ぽっくりばっくり生命活動終えちゃって天界を騒がせましたけど。




 死んでもすぐに生き返させられるとか、奇跡てんこ盛り。

 それって反則なんじゃぁ……って聞いたら「リツキだけ例外」とか言われた。

 何か俺、どんどん人外になってく気がするよ。







 


 で。

 現在、俺は地上世界に居ます。

 十年天界で過ごして、ようやく地上で人として一人で生活してヨシ、と認可が下りました。

 魂のままだと歳とる感覚とかないから、精神年齢死んだ時のままだけどね。







 長かった……

 この肉体を作ってもらえるまでが長い道のりだった。



 

 男女どちらの肉体にするか、から始まって、身体つきや顔の造作に至るまで。

 カミサマ達が揃いも揃って口をはさむ事はさむ事。

 



 魂だけの間もだけど、肉体付けての練習時でも、男女両方の姿態は経験した。

 骨格とか違うと随分動きにも差が出るのが新鮮だった。

 あっちの方なんかも、女性の方が感度が良くて面白かった。

 




 ……実際、俺が男女どちらの姿でも、カミサマ達は愛する事に遠慮ないんだよね。

 殆どは合意での事なんだけど、たまーに襲われて創世神呼び出す破目になったりもした。 

 幾ら目的が愛と神性の交感だとしても、無理やりはお断りです、はい。 

 そのカミサマは、創世神に説教くらった後で他のカミサマ達にも容赦なく凹られてました。





 俺も、女性の身体もいいよなーとは少し考えたけど。

 今の地上世界の状況じゃまだ、女性一人では生き辛いだろうから。

 そういう理由で、身体の方は何とか男性にしてもらえた。




 実はカミサマ達、結構多くが俺を女性の身体にしたがったんだよね。

 理由聞いて即刻却下したけどさ。

「世界で一番見目麗しい少女を降臨させてみたい」とか、どんな理由だよそれ。

 肉体は男って事に決まってからも「美の神の恩恵てんこ盛りで!」とか言ってくるし。




 ヤメテー! 

 そんな人外な美形とか、なりたくもないから!

 フツーがいいんだってフツーが。


 




 結果。

 それなりに整ってるけど、まぁ普通の顔に決まってホントに良かった。





 自分ではあまりそう思ってないんだけど、俺って結構無謀らしいんだよね。

 地上で人間として、やってみたい事はあったけど。

 カミサマ達が俺が人として地上世界で生活するの心配して心配して心配して……

 結局、全カミサマの加護つきになっちゃった。

 だから、事故ならともかく人に殺されたりは絶対に出来ない。





 いや、普通の人間の肉体だからきっちり死ぬよ? 不死とかじゃないもん。

 問題は死に方なんだよね。




 老衰とかでホントに人生全うした! とかだったらいいんだろうけど。

 もし、俺にとっての不本意な死だったりしたら。

 もしくは、カミサマ達にとっての許せない死だったりしたら。




 状況にもよるけど、多分、その場で生き返る……というか、蘇えさせられる。

 いやあの方達の事だから蘇えさせるの前提で、まず魂ごと肉体掻っ攫って天界に戻りそうだな。

 カミサマ降臨ってやつで。

 その場合、俺が死んだあとの、人へ対するカミサマからの報復が怖い。

 死なない様に頑張るから……そういう恐ろしい事しないでくださいね。ねっ?





 それと全カミサマの加護つきって、前例がないんだって。

 カミサマ達は気に入った人間に加護を与えるけど、普通人間一人に一柱。

 多くても三柱くらいなんだと。

 加護を受けた場合、身体のどこかにそのカミサマ固有の御印ってのが刻まれる。

 御印は普通の人間には見えないけど、心の綺麗な人や子供なら見えたりする。

 大人になっても見えるのは神官や巫女という特殊な力を持ってる者たちで、見えない人達に御印を見せる事も出来るんだって。




 自分に不思議現象があった場合、神殿とかで御印がないか調べてもらうってのが一般的で、豊穣のカミサマの加護とか商売のカミサマの加護とか、そういうの持ってる人はそれらに係わりのある職からは有り難がられる存在になる。


 

 俺はそういうのに祭り上げられるのはご免だから、神官や巫女に御印を悟られない様に、沢山のカミサマ達の御印は魂に記してもらった。

 それでも何かどうしても御印特有の波動みたいなものは漏れ出るんだそうな。




 やりたい事はあったから、その知識や技術もきっちり身につけて、そのカミサマの御印を胸に刻んでもらったんだけど。

 魂に刻んである他の御印の影響で、その表立っている御印が、かなり目立ち過ぎるんだそう。

 だから、それを誤魔化す為に精霊王の御印を、元々の御印の上に重ねる形で胸に記してもらった。

 なんで、そういう人たちが普通にそれを視たとしても、精霊王の御印持ちと考えるらしい。





 生き物それぞれが持つ、生きている間の役割。

 俺も、人間として地上世界で生きるなら、って、創世神から役割をお願いされた。

 その役割に精霊王も係わってるから、実際丁度いいんだって。

 




 俺としては、精霊王の御印だって凄いものだと思うんだけどね。

 あらゆるものに宿る精霊たちは大まかに火、水、風、土の精霊長の指揮下にあって、それらすべてをまとめているのが光と闇をも扱う精霊王なんだけど。




 この精霊王、ちょっとM入ってるみたいなんだよね。

 カミサマ達に命じられて俺に御印を記す時「下僕と……いえ、奴隷と御思い下さい」ときた。

 返事に困ってると「踏まれようとなじられようと、貴方様に使役されるは享楽にございます」だと。

 ……えーと。俺にジョオウサマになれと?

 「ムリ。俺、基本S属性ないから!」って訴えたら。

 「判りました……放置なんですね……甘受いたします」とか、うっとりしてるし……

 も、いい。好きにして……

 




 どうやら[創生神の愛ぐし子][全部のカミサマの加護]っていうこの二つのせいで、精霊達にとっては俺って人間なのに、ほぼカミサマ扱いになってるらしい。







 俺、地上でひとり、のんびりだらけて生きたいと思っているんですが。

 大丈夫なんでしょうか?





 

 新しい世界での、天界のリツキ。


 愛されてるなー、うんうん。


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