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偽物の魔法使いは大魔法使いと魔法開発史を再現する  作者: 雲居 残月
第22章 魔法創造

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22.2 霊餅生成器

 宿屋に帰ってきた俺たちは朝食をとる。その後、俺の部屋に集まって精霊瓶に魔力湧出口を取り付けて精霊が逃げ出さないようにした。


「これでひとまず安心だな。次はどうすればいい?」


 机の上に立っているマルに尋ねる。


「まずは精霊瓶を覆っている霊体に、精霊が通れないサイズののぞき穴を作らなければならない。そうしなければ、精霊は瓶の外が見えないし、何らかの効果をおよぼそうとしてもできないからな」


 なるほど。それくらいならすぐにできそうだ。俺は小さな霊撃でいくつか穴を作る。そしてマルに見せて確かめた。


「問題ない。他のメンバーも作業をして持ってきてくれ」


 グラノーラたちは、わいわいと騒ぎながら作業を進めた。


「全員できたな。次の作業に進む」


 まるで、夏休み子供工作教室だ。俺はマルの説明を待つ。


「魔法再現器は、複数の部品の集合体だ。最初に作るのは霊餅(れいへい)生成器にする。魔力から霊餅を生成する。魔法再現器で最も重要な部品だ」


 俺は手を挙げる。


「魔力から霊餅を作るのは自分自身でできる。それをどうやれば部品化できるんだ?」


「魔力を霊体に変えるにはどうする?」


「魔力を一定の範囲内に押し込んで圧力を上げる」


「霊体を霊餅として使える状態にするにはどうする?」


「一定の密度と形に整える」


「なら、魔力を注ぎ込んだら、一定の形状に圧縮する部品を作ればよい。具体的には鋳型と弁だな。魔力が逆流しないようにしていて、型の中に一定量注ぎ込むと霊餅が完成するようにする。完成後は鋳型を開けて中身を取り出せるようにする」


「うーん、言っていることは分かるが、どんな部品を作ればいいのか分からないな」


「私が設計図を書きますよ!」


 ウルミが紙を出して図を描き始める。少ない点数の部品で、目的の機能を達成できる精密な設計図が完成した。


「すごいです、ウルミさん」


 ニーナが声を上げる。俺も図を見て驚いた。ウルミ以外の誰も、こうしたことができる人間はここにはいない。


「よくやったウルミ。今回は、ウルミの図を見て真似ればよい。しかし、徐々に自分でもできるようになっていってくれ」


「お、おう。頑張るよ」


 なかなか大変そうだが、最初に図に起こしてくれる人間が一人いるのは、かなり心強い。


 ウルミが描いた図は、部品の点数は少なかったが、形状はそれなりに複雑だった。


 最初に部品を全て作り、霊餅生成器を完成させたのは、大方の予想どおりウルミだった。

 霊体を作るためにかかる時間は長いが、狙った形状どおり作れるのが大きかった。さすがにふだんから立体物を大量に作っているだけのことはある。


「完成しました~!」


 ウルミは飛び跳ねて喜んでいる。俺たちは追い付くために奮闘した。


 次に完成させたのはニーナだった。ふだんから商品の小さな差異を見分けているから、目が肥えているのだろう。


「できました。ウルミさんほどの精度では作れませんでしたが、実用にはたえうると思います」


 俺には、ウルミの霊餅生成器と、ニーナの霊餅生成器の違いがよく分からなかった。しかし、ウルミとニーナは、それぞれの霊餅生成器の違いを細かく見分けられているようだった。


「できたー!」


 次に完成させたのはグラノーラだった。


「なぜ、お嬢が俺よりも先に……」


「ニーナと理由は同じだと思うよ。目が肥えているから」


「ぐっ」


 グラノーラは、伯爵家で多様な工芸品や美術品に囲まれて育ってきた。俺とは目の精度が違うのだろう。


 最後にできたのは俺とココルだった。素早く雑に作るのには慣れていても、精密なものを作るのには慣れていない。これからの工程では、俺とココルは頭を切り替えないといけないようだった。


 ここまで進んだところで昼飯の時間を大幅に過ぎた。俺たちは宿から出て、屋台で食事を買った。


「アステルさん。精霊瓶とやらは、うまく稼働していますか?」


 俺たちと同じように食事をとりに来たバナシュと会った。


「今のところ、うまく稼働していますね。何度も奇房(きぼう)まで取りに行くのは大変なので、壊れないのを祈るしかありませんよ」


 俺は、少しバナシュと立ち話をしてから別れた。


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