life5.マーメイド編-灼熱の海
とうとうこの日がやって来た。
二回目のミッションの日が。
重い足を動かして中央ホールに到着する。前回も此処から転送された。
もうすぐメンバーが発表されるはずだ。
それにしても暑い。何だか頭がクラクラする。それに体中怠くて動くのも一苦労だ。
その時、白馬が私に近付いて来た。
「砂弥、貴女・・・」
どうしたんだろう、何かあったのだろうか。白馬は、私の額を触って自分と比べている。
「熱あるじゃない!」
あ、やっぱり?
「で、どうするのよ。あと5分でメンバー発表よ」
ルーンさんは落ち着かない様子だった。無理もない、病気の状態でミッションに出るなんて十中八九死んでしまうからだ。
白馬さんも平静を装ってはいるが、同様に焦っている。
ただ、それ以上に・・・
「砂弥、大丈夫!?熱は苦しい!?お腹痛い!?な、何か欲しい物無い!?」
「・・し、静かにして・・・」
赤梨さんは声を振り絞って銀に答えた。だから病人の前で騒ぐなと言っておいたのに。
とは言え事態は深刻だ。
どうすればいいのか分からない。メンバーは毎回ランダムに決められるから、あらかじめ防ぐのは難しい。
「の、のののの乃璃香。わ、綿綿綿わた、私どうしよう?」
「貴女はまず落ち着きなさい」
本当にこの人は扱いが面倒だ。
そうこうしている内にモニターが出現した。
全員がモニターに目を通す。もし赤梨さんの名前が載っていたら大変だ。
「えっと、あ・・あ・あ・・・」
モニターの左上を探す。
赤梨さんの名前は最初に出て来るはずだ。
そこには・・・
・・・・・・・
赤梨砂弥
・・・・・・
・・・・・・・
あった。
最悪な事に赤梨さんの名前ははっきりと表示されていた。
そして、転送の時はやって来た。
「いい、乃璃香。絶対に砂弥を守ってね」
銀は私の肩をがっしり掴み、ガクガク揺らす。
「出来るだけ善処するわ」
私はそう答えた。
「出来るだけって・・・」
「私は何処に転送されるか分からないのよ。ミッション中に赤梨さんを発見出来るかも分からない」
銀は不服そうに顔をしかめた。無理もないが、彼女が赤梨さんを助けるのは不可能だろう。
銀はもうミッションを終えたのだから。
そして、私達の転送の時が来た。
「砂弥!!」
銀は赤梨さんの両手をずっと握り続け、赤梨さんが転送されるまでその手を離さなかった。
彼女を守らなければ。絶対に。
そう誓いながら、私達は戦場へ飛ばされた。