life24.戦闘兵器編-嵐が過ぎて
力の限り叫びながら、砂弥はPフリーダムに特攻する。
銃剣に切り換えて、Pフリーダムに切り掛かる。
Pフリーダムはシールドで防ぎ、右手にビームサーベルを握り砂弥に振り下ろす。
砂弥はそれを避け、互いに切り合う。
刃がぶつかり合い、ぶつかる度に激しい火花が飛び散る。
砂弥の銃剣の刃が砕け、砂弥はバックステップで距離をとる。
Pフリーダムは一瞬で距離を詰め、ビームサーベルを振り下そうとする。
その時、乃璃香の鎖がPフリーダムの右手を縛る。
Pフリーダムの動きが一瞬止まり、砂弥はその隙を逃さずにPフリーダムの背後に転がり込む。
Pフリーダムに向けて誘爆レーザーを放つ。
しかしPフリーダムはそれをシールドで防ぎ、右肩の砲口を鎖に向け、赤いビームを発射する。
ビームは鎖を壊す。
Pフリーダムは空中に飛び上がり、ビームサーベルを戻してビームライフルを取り出す。
肩、腰、ライフル。
五つの砲口が地に向けられる。
そして、それらを同時に放った。
乃璃香と白馬はバリアを張ってレールガンから放たれた弾を防ぐが、着弾した瞬間にバリアは弾け飛び、二人も吹っ飛ぶ。
ルーンは肩から放たれた二つのビームを避けるが、爆風によって飛ばされて壁に叩き付けられる。
砂弥はライフルから放たれたビームをバリアで防ぎ、強力なビームを撃つ。
Pフリーダムはそれを宙返りで避け、右手にビームサーベルを持って砂弥に切り掛かる。
砂弥は横に振るわれたビームサーベルをしゃがんで回避し、至近距離で誘爆レーザーを放つ。
Pフリーダムは爆風でよろめくが、腰のレールガンを砂弥に放った。
砂弥はそれをギリギリで回避する。
すると、Pフリーダムは肩からビームを放つ。
砂弥はレールガンを避けたばかりなので避けられない。
「うおおおおおおおおおおお!!」
砂弥はバリアを張り、そのままPフリーダムに突っ込む。
バリアが壊れる前にPフリーダムにバリアを押し付け、ビームを受けながらボディにぶつける。
Pフリーダムは耐え切れず、後方へと飛ばされる。
体制を立て直し、五つの砲口から同時に砲撃する・・・フルバーストを放つ。
避けきれない。
そう直感で悟った砂弥はバリアを張る。
バリアはフルバーストを受け止めるが、一瞬で砕け散り、砂弥も壁に叩き付けられる。
「砂弥!」
ルーンや白馬達も起き上がり、砂弥の元へ駆け寄ろうとするが、Pフリーダムは目茶苦茶にビームを撃ち、足止めをする。
足止めを終え、Pフリーダムはビームサーベルを取り出して砂弥に向かって飛び掛かる。
砂弥は何とか立ち上がり、自分を中心にして半円を描くように前方に冷気を放って氷の壁を作る。
Pフリーダムはサーベルを振り下ろし、氷の壁を引き裂く。
サーベルの熱で氷は溶け、サーベルは床に食い込む。
一瞬の隙が出来た。
砂弥はPフリーダムに駆け出す。
その時、嫌な予感がして、バックステップをする。
Pフリーダムはサーベルを振り上げた。
あのまま突っ込んでいたら、間違いなくサーベルの餌食になっていただろう。
砂弥は咄嗟に火球を発射した。
考えて出した訳ではなく、感で咄嗟に撃っていた。
Pフリーダムは火球を横に飛んで回避した。
砂弥はようやく訪れたチャンスだと思い、銃剣に換えてPフリーダムに飛び掛かった。
しかし、砂弥の予想しえない出来事が起こった。
Pフリーダムの背中の翼が空中に放たれ、それぞれ砂弥を狙う。
「な!?」
飛ばされた羽・・・ドラグーンがビームを発射する。
砂弥はバリアを張り、体を反らせ、何とかビームを回避しようとする。
しかし、最後の八発目のビームが砂弥の足に当たり、砂弥はバランスを崩す。
Pフリーダムはその隙を見逃さなかった。
ビームサーベルを振り上げ、そして砂弥に振り下ろす。
その時、砂弥の体は勝手にバリアを上に挙げ、防御の体制を取った。
これは、その時出来た最善の行動だっただろう。
しかし、それは何の意味も成さなかった。
Pフリーダムはサーベルを振るのを止め、右足で砂弥を蹴り飛ばした。
砂弥が叩き付けられたことで壁にヒビが入り、砂弥は口から血を吐く。
休む間もなく、Pフリーダムはフルバーストを発射する。
幸いにも先程出したバリアが盾となり、直撃は避けたものの、ビームは防ぎきれず、砂弥はビームを受けて倒れる。
「砂弥!」
白馬は魔法でPフリーダムを風の檻で閉じ込める。
ルーンは煙玉と手榴弾を何個か投げつけ、煙でPフリーダムの視界を塞ぐ。
その隙に乃璃香が砂弥を担ぎ、三人はその部屋を脱出する。
Pフリーダムはフルバーストを撃ち、檻と煙を吹き飛ばす。
Pフリーダムは乃璃香達を追い掛けようとしたが、その時部屋が真っ暗になった。
そして、天井にあった照明が大量に降って来る。
Pフリーダムはそれをビームで全て撃ち落とし、通路を見る。
どの扉も閉まっており、開きそうになかった。
Pフリーダムは動きを止め、その場に佇んだ。
すると、傷付いた装甲がゆっくりと、ゆっくりと修復していく。
部屋の電気が回復するまで、Pフリーダムは自己修復に徹した。
壊れた照明。
よくみると、その根本にはナイフが刺さっていた。
「ど、どうするの!?これから」
「まずは走って、距離を取りなさい!」
白馬が問い掛けると、乃璃香が命令した。
確かに、このままでは追い付かれるかもしれない。と白馬は思った。
その時、二階に通じる階段から誰かが飛び出してきた。
「こっちです!急いで!」
皆は一瞬構えたが、その正体を確認すると警戒を解いた。
「東北道さん?」
階段から飛び出してきたのは田美だった。
田美に誘われるがままに来たのは、倉庫部屋だった。
部屋は乱雑に荷物が積まれていて、若干埃っぽかった。
「ここなら、安心です」
「ありがとう」
乃璃香は田美に礼を言った。
「あの部屋の電気は切ってきたんですけど、多分、すぐに復旧すると思います」
田美の言葉を聞くと、白馬とルーンは立ち上がり部屋を出ようとする。
「何処に行く気?」
乃璃香が二人を止める。
「五人も人間がいたら、気付かれ易くなるじゃない」
「それに、田美さんのナイフじゃロボットの動きについていけないし、乃璃香さんも魔法が効かなかったら、鎖しか使えないでしょう?」
「だから、補助魔法の使える白馬と、物理攻撃が出来る私が行くしかない」
白馬とルーンの言葉に、乃璃香と田美は押し黙る。
「二人は、砂弥のことをお願いします」
「護ってあげて」
そう言って、二人は部屋から出て行った。
「砂弥ちゃん・・・」
乃璃香は砂弥の頬を撫でた。
まだ暖かい、意識は失っているが、命に別状はなさそうだ。
田美も砂弥の顔を覗き込む。
ミッション開始から何分経っただろうか。
時計を見る事も忘れ、銀は砂弥の帰りを待っていた。
いつもは不安でも、砂弥の事を思うだけで安心出来た。
しかし、今日は全く安心出来ない。
何か得体の知れない塊が胸を押し潰してくるような言いようのない不快感が体中に溢れていた。
部屋を見渡しても、三人の生徒がいるだけだ。
そして、一度部屋を出た時に気づいたのだが、生徒だけでなく先生までいない。
まさかミッションに呼ばれたのだろうか。
教師はミッションに参加されないはずだ。
なのにいない・・・
今までにない事態に、銀はただただ不安になった。
「砂弥・・・」
ぽつり。
銀は砂弥の名前を呟いた。
白馬とルーンはレーダーを見ながら通路を走っていた。
「さっきの部屋には、いなかったわね」
部屋を覗いてみたのだが、そこには誰もいなかった。
田美の話によると部屋の電気は切っていたはずだが、電気は通っていたのでおそらく電気が復旧すると同時に何処かへ行ったのだろう。
「いた!」
白馬はレーダーの画面をルーンに見せ、ボスを指差した。
見ると、ボスの周りを数え切れない程の点が囲っていた。
おそらく、生徒達が固まっている所へボスがやって来たのだろう。
「覚悟はいい!?」
「もちろん」
ルーンは固い顔をしていた。
その理由は白馬にも分かっていた。
あのボスは、強い。
今までとは比べものにならない。
それこそあの砂弥が敵わなかったのだ。
生半可な覚悟ではだめだ。
二人は意を決して扉を開けた。
扉を開いた先には、鼻を突き刺すような異臭がした。
血の匂いだ。
多くの生徒を示す点がレーダーにあったので、善戦しているのかと思ったのだが、そうではなかった。
最初に会った部屋と同じで壁と床には血がこびりつき、同時に新鮮な血が次々とコーディングされていく。
これほど多くの死者を出して置きながら、まだそれ以上の生徒がいただけだったのだ。
しかし、人数が多いのは心強い。
白馬はそう思った。
「誰か!誰か助けてくれぇ!」
「いや!いやぁ!!」
しかし殆どの生徒は逃げようとするだけで、戦おうとはしていなかった。
白馬は自分達が入ってきた扉が開くかどうか確かめる。
扉はびくともしない。
完全に閉じ込められたようだ。
「どうする、ルーン」
「・・・逃げられないなら」
ルーンは両手に銃を構える。
「戦うしかないっしょ!!」
白馬はルーンの後ろに続き、Pフリーダムに向かって駆け出した。
Pフリーダムはルーンの放った弾丸をシールドで防ぎ、ビームサーベルを引き抜く。
ルーンは振りかざされたサーベルを避け、手榴弾を投げる。
Pフリーダムは空中へ飛んで回避する。
それを見た白馬は風の魔法を使い、手榴弾をPフリーダムに飛ばす。
Pフリーダムはシールドを構え、爆発を防ぐ。
その一瞬の隙を見逃さずにルーンはPフリーダムの持っているサーベルを撃ち落とす。
白馬はすかさず風を起こし、サーベルを吹き飛ばす。
「貰った!」
ルーンは右手にサバイバルナイフを構え、跳び上がる。
狙いはPフリーダムの目、つまりメインカメラ。
それさえ潰せば、ロボットは機能を停止するはず。
その時、ルーンの視界に桃色の閃光が映った。
Pフリーダムは逆手持ちで右腰にあったビームサーベルを引き抜き、ルーンの右手を切り落とす。
Pフリーダムはビームサーベルを持ち直すと、ルーンに振り下ろす。
「ルーン!」
白馬は魔力を杖に込め、サーベルを振り下ろしている腕に叩き付ける。
効果は薄かったが、サーベルの軌道は逸れ、ルーンの右側にサーベルが叩き付けられる。
Pフリーダムは白馬に顔を向ける。
その時白馬の視界に砲口が入った。
人でいう頬にあたる部分がバルカン砲になっていた。
白馬は咄嗟に火の魔法で反撃していた。
魔法攻撃が効かないことは分かっていたが、死を覚悟した為か、まともに判断出来なかった。
バルカンと炎が衝突し、炎がいとも簡単に掻き消される。
白馬の耳や肩、腹部に弾が命中し、白馬は血を吹き出す。
その時、Pフリーダムに炎が掠るとそこが爆発した。
肩の装甲が若干削れた程度だったが、確かにダメージが通った。
「・・・火だ!炎が弱点よ!」
ルーンはその部屋にいる全員に呼び掛けるように叫び、左手に小型の火炎放射機を持ってPフリーダムに発射した。
部屋にいた生徒達は今二人が優勢で、Pフリーダムの弱点が分かったこともあり、一斉に攻撃を始めた。
Pフリーダムは目茶苦茶に飛び交う炎をシールドで防ぎながら、空中を飛び回って回避し続ける。
Pフリーダムはドラグーンを展開する。
ドラグーンは生徒達を的確に撃ち抜いていき、生徒達は頭や心臓を撃たれてバタバタと倒れる。
炎はPフリーダムの体に次々と掠っていき、傷を与えていく。
Pフリーダムはフルバーストを放ち、生徒達を纏めて殺していく。
「うおおおおおおおお!!」
白馬とルーンは、遠くから攻撃している生徒達の炎に巻き添えを喰らうと分かってても率先してPフリーダムの傍で戦っていた。
泣いている白馬に出会ったのが始まりだった。
どうしたの、って聞いたら「先輩が死んだの」と答えた。
仲のいい先輩だったようで、酷い落ち込みようだった。
その後は、なんだかんだで私が付きっきりで相手をした。
今でも、どうしてあんなことをしたのか分からない。
もしかしたら、自分の事を心配してくれる人が欲しかったのかもしれない。
私が、生きていた証を残していたかったのかもしれない。
ただ、それは結果的に白馬を悲しませるだけだった。
私は、ルーンが私を助けてくれたのが嬉しくて。
だから、私が生き残るとかよりも、ただルーンに生きていて欲しくて。
でも、
でも、
私達はお互いを助ける事が出来た。
だから、今度は皆を助けないといけない。
私達が皆を守る。
そうすれば、次は皆が誰かを守って、その誰かが次の誰かを・・・
その繋がりを作りたい。
だから、私達は絶対に勝たなきゃいけない。Pフリーダムのドラグーンとフルバーストが生徒達を撃ち抜く。
もう何人殺されただろう。
数えたくない程だ。
遠方から飛んできた炎をPフリーダムはシールドで防ぐ。ルーンはPフリーダムの視界がシールドで塞がったのを利用して、Pフリーダムのシールドを蹴り飛ばす。
白馬はPフリーダムがシールドを拾えないように、シールドの前に立つ。
「うおおおおおお!!!」
ルーンは火炎放射を発射しながらPフリーダムに突っ込む。
ビームライフルやビーム砲じゃ間に合わず、バルカン砲では防げない。
白馬は勝てると思ったが、意外な攻撃をしてきた。
Pフリーダムの腹から強風が吹き出す。
腹にファンを隠していたようだ。
火炎放射は風に乗って白馬に襲い掛かる。
顔や服を燃やしていくがそんなことに構っていられない。
此処で距離を取られたら終わりだ。
ルーンは火炎放射機を捨ててサバイバルナイフを取り出した。
もうあいつは近距離装備を持ってない。
終わりだ!!
ルーンのナイフがPフリーダムのメインカメラに向かう。
ルーンの頭に衝撃が走った。
Pフリーダムはビームライフルでルーンの頭を叩きのめした。
ルーンの動きがストップする。
そして、腰のレールガンの照準をルーンに合わせる。
白馬には、その数秒の出来事がスローで見えた。
体は動かない。
その時、白馬はルーンの顔を見た。
ルーンは、ただ、白馬に笑みを浮かべていた。
ああ、そういうことが。
白馬には、ルーンの意図が直ぐに分かった。
そして、Pフリーダムの腰のレールガンの砲口が光る。
ルーンの体はレールガンを至近距離でまともに喰らって、バラバラに破裂した。
白馬は涙を拭う隙も無く、炎の魔法を杖に込め、Pフリーダムに突っ込む。
レールガンの爆風が目隠しとなり、Pフリーダムは反応が一瞬遅れた。
腰のレールガンと肩のビームは同時に放つ。
レールガンは外れ、肩のビームは白馬の左腕を吹き飛ばす。
それでも白馬は止まらずに突き進み、Pフリーダムはバルカン砲で応戦する。
弾は白馬の肩や腹を撃ち抜いてゆく。
やがて白馬はPフリーダムの目前にまで接近し、Pフリーダムは下がろうとするが、生徒達の放つ炎が邪魔をし、Pフリーダムの動きが止まる。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
炎を帯びた杖がPフリーダムの胸を貫き、体がガクンと跳ねて止まる。
ひた、ひた。
白馬の左腕がちぎれた所から血が滴っていく。
同時に、体中から血が流れ出していく。
生徒達も呆然と立ち尽くしていたが、やがて事態を把握して歓声を挙げる。
百人以上から発せられる歓声は部屋全体を大きく揺らす。
いずれにせよ、勝ったのだ。
白馬は朧げな意識の中、その勝利を確認した。
動きを止めたPフリーダム。その体から光は消え、音を立てることも・・・
カチ、カチ、カチ・・・
何か、音がする。
そう、まるで、時限爆弾のような、
そして、Pフリーダムの体が輝く。
その一瞬後、Pフリーダムを中心に怒涛の勢いで爆風が広がる。
その場に居た者は、例外無く熱風に飲み込まれる。
「・・・砂弥ちゃん。まだ起きないわね」
乃璃香は砂弥の頬や額を触り、起きないか確かめる。
砂弥は起きる気配が無い・・・が、その時砂弥の指がピクッと動いた。
そして、砂弥はゆっくりと目を開け、痛みに声を漏らしながら起き上がった。
「っ・・・ここは?」
「砂弥さん!良かった・・・」
田美と乃璃香は砂弥の無事を見届け、安堵の表情を浮かべる。
砂弥は何があったのか聞こうとした瞬間、
「!!!」
砂弥は身の危険を感じ、すぐさま魔銃を拾う。
そして、乃璃香と田美に指示する。
「乃璃香さん、早くバリアを!それと田美は私達の後ろに!!」
二人は突然の事に驚いたが、砂弥の感は正しいと分かったので、指示に従って動く。
砂弥もバリアを張り、二人の背後に田美が隠れる形になる。
Pフリーダムの自爆の爆風がバリアに衝突する。
バリアはあっという間にヒビが広がり、やがて砕ける。
三人は爆風に飲まれながら、自分の体が消えていくのが分かった。
銀がウロウロと歩き回っていると、隣に光が現れた。
驚いて身じろぐが、その正体を知ると安堵した。
「乃璃香・・・」
乃璃香は銀を見付けても、呆然としていた。
「・・・銀」
いつもと空気が違う乃璃香に違和感を覚えたのか、銀は戸惑う。
そして、少し離れた位置に砂弥が転送された。
砂弥は転送され終わると、その場に膝を付いて倒れ込んだ。
「砂弥!」
銀は砂弥に駆け寄り、屈んで砂弥の肩を抱く。
「どうしたの、何があったの?」
銀が尋ねても、砂弥は動こうとしない。
その時、部屋中にモニターが飛び出した。
銀は突然現れたモニターに驚き、絶句した。
モニターには死亡者の名前がリストとなって、ズラズラと赤い字で表示されていた。
死亡者は天井から床までの間では表示しきれず、素早くスクロールされている。その勢いは止まることなく、滝が流れるように文字が流れていく。
砂弥はそれを直視することが出来なかった。
恐怖で体が震え上がる。
見なければ何も分からない。
それでも、見たくない。
だが、砂弥の目はモニターに向けられた。
四条白馬
ルーンワーク
重い衝撃が砂弥を襲った。少し前まで、自分の隣で笑っていた二人。
その二人はもういない。
どうして二人が死んでしまったのか。
理由は分かっていた。
私のせいだ。
あの時、あのロボットを倒していたら。
倒せていたら、こんなに死ななかったはずなのに。
熱い何かが目からこぼれ、頬を滴っていく。
「ぁ・・ぁあぁ・・・」
震える砂弥を、銀は強く抱きしめた。
制服越しに、華奢な体の震えが伝わる。
頼もしいと思ったこの背中が、今はとても小さく見えた。
こんな涙は流して欲しくなかった。
銀の抱きしめる力がいっそう強くなる。
そして、砂弥の背中に、ポタポタと涙が零れ落ちた。
乃璃香は、二人を黙って抱きしめた。
とうとう終わりました。
戦闘兵器編は、前々から書きたかった話なので、スラスラと書くことが出来ました。
猛威を振るったプロヴィデンスフリーダム。通称Pフリーダムはいかがだったでしょうか。
ガンダムのような敵を描きたくて書いたのですが・・・
さて、いよいよ最後のミッションなのですが、残念ながらもう敵は登場しません。
そこで、キャラクター人気投票をしたいと思っています。
砂弥や銀、裂空や田美が対象の人間部門。
さっちゃんやPフリーダムが対象の敵キャラ部門。
この二つで投票して頂きたいです。
投票期間は、具体的には分かりませんが、この小説が完結するまでにしたいと思います。
投票は、感想でお願いします。
では、また次回で。