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S.shooter  作者: バームクーヘン
激動の運命
18/29

life17.アメリカン編-super shooter

昼過ぎに私は歩いていた。


昔は緊張して臨んだミッションだけど、今だけは落ち着いてモニター室に向かう。


今から始めるミッションは、過酷な物になるだろう。


一度に130点以上取らなければ銀を再生出来ない。


150点の方ではどんな制限を掛けられるか分からないので、あまり頼りたくない。


自分で、なんとかしないと。


誰も私に点を譲ってはくれないだろう。

自分の力で倒さないと。


モニター室に入ろうとすると、突然肩を捕まれる。


「乃璃香さん・・・」


私を止めたのは乃璃香さんだった。

乃璃香さんは真剣な顔で私を見る。


「砂弥ちゃん、貴女、71点になっていたわ」


「え?」


私、60点台だったはずなんだけど。


それに、前回のミッションでは敵は倒してな・・・



そこまで考えた所で私の思考がストップする。


私が、殺してしまったあの人だろうか。


私があの人を殺してしまったからその点が私の物になってしまったんだ。


乃璃香さんは、私に背を合わせて、顔を真っすぐ見る。


「貴女が戦うのは銀の為だけど・・・今まで散って行った皆の気持ちも貴女には背負って欲しいの。貴女にはそれに耐えられる優しさがあるから」


そう言って、乃璃香さんの顔が近付いて来る。

私が反応する前に、乃璃香さんの唇が私の額に当たる。


柔らかい感触が額から伝わって来る。


乃璃香さんは唇を離し、私に合わせていた体制を元に戻した。



「気をつけて・・・あの馬鹿を連れ帰ってね」


「・・・はい」


これは私が背負わないといけないんだ。

私が生き残ったから。


それが責任なのだ。



「それで、話を戻すけどね・・・」




「・・・・・」


「白馬・・・ずっと黙り込んでるけど大丈夫?」


ルーンは白馬の顔を覗き込む。


白馬は真剣な眼差しをしていた。


「もう・・・誰の迷惑にもなりたくないの。だから・・・」


「白馬」


白馬の背後から声が掛けられる。

白馬が驚いて振り向くと、そこには砂弥がいた。


「さ、砂弥・・・あの・・・」


白馬はどうしたらいいのか分からず、歯切れ悪そうに俯く。


そんな白馬の肩に砂弥はそっと手を置く。

そして優しく微笑みながら言った。


「皆で、生き残ろう」


「・・・う、うん!」


白馬も笑顔で答えた。


これで、良いんだ。



銀が護った皆を、私も護らないといけない。

そうじゃないと、銀も怒っちゃうだろうしね。


私は両腰に収めた魔銃を構えた。


銀の魂と一緒に戦うために・・・

私は二つの魔銃を眺めた。待ってて・・・銀。




そして、周りの人達が次々と転送されていった。










「ここは・・・」


転送された白馬は、辺りを見回した。

周囲は渇いた大地と枯れ木で広がっており、夜の闇を満月だけが大地を照らしていた。


そして、白馬は背後を振り向く。

すると、そこには大きな西洋の城がそびえ建っていた。


電飾や室内の明かりなどは一切無く、城内は暗闇で覆われていた。


いや、城内だけではない。

この城の周囲一帯が暗闇で覆われている。


明らかに危険な何かが中にいる。

その空気を醸し出していた。


「・・・単独行動は止めた方がいいわね」


白馬は城から離れ、誰かと合流しようとした。

一人で偵察することも出来たが、中にどんな敵がいるか分からない以上、中に入るのは自殺行為だと悟った。


その時、



「・・・銃声?・・・!?」


白馬は銃声がした方向を見た。すると、そこには大量の怪物が空を飛んでいた。


怪物は、プテラノドンのような姿の小型の翼竜、剣と盾を持ったタイプ、全身に装甲を装着しているタイプ、所々にレールガンを搭載したものと多彩な翼竜が群がっていた。


「・・・さっきの銃声、もしかしてルーンの?」


先程の銃声、白馬にとっては聞き慣れたルーンの銃声と同じだった。


白馬はルーンがいるかもしれないと、翼竜が集まっている場所へ駆け出した。





「ルーン!!」


白馬は上空を飛び回っている翼竜を火の魔法で撃ちながらルーンに駆け寄る。


ルーンは白馬に気付き、白馬と背中合わせになる。



「今回、どうも数が多いわよ」


「ええ、ちょっとこれは苦しいわね」


白馬の言葉にルーンはコクりと頷き、両手の銃をクルクル回し、発砲を開始した。




「クァァァァァァァァ」


翼竜は学生を噛みくわえ、空に持ち上げた後、学生の体を噛みちぎる。


「ガッ!」


学生は悲鳴をあげる間も無く、二つに別れて地に堕ちる。


「クッ!」


白馬は唇を噛み締め、杖を空に掲げる。


天空から雷が降り、周囲の翼竜に直撃する。


「ハァッ!」


今度は杖を横に降る。

すると、地面に大きな魔法陣が描かれる。


そして、魔法陣のある範囲に緑色の風が巻き起こり、巨大な竜巻となり、周囲の翼竜を切り刻む。



(今までとは段違いの威力・・・)


ルーンは白馬の魔法に驚いた。

今までは自分を囲む程度しか出せなかった竜巻を、周囲十数メートルまで広げている。


「でも、これじゃじり貧ね・・・」


ルーンは辺りを見回した。


依然として周囲にはプテラ達の群れがこの場を包囲していた。


「この量は無理でしょ・・・」


「大丈夫。まだ・・・まだ大丈夫よ!」


白馬は再び杖を構える。

それにルーンも銃を強く握る。


白馬は砂弥が来ることを信じ、戦闘を再開した。








転送が始まる数分前・・・


「それで、話を戻すけどね・・・」


乃璃香と砂弥が会話をしていた。


「得点が70点以上の時にミッションに挑むと、ある物が支給されるの」


「ある物?」


砂弥は乃璃香に聞き返す。


「ええ、銀もそれを使ってクリアしたわ」


「銀が・・・」


乃璃香は砂弥の肩をポンポンと叩く。



「心配しないで、貴女なら大丈夫よ」







そして、時は白馬とルーンが戦っている時に戻る。


砂弥は戦場から離れた場所に転送された。


その時、砂弥の背中に何かが転送されてきた。



それは完全に実態化すると、ガチッと砂弥に装着される。


赤い装甲で出来たそれは四本の羽の形状をしており、その先端には砲口があった。


砂弥は足に力を入れる。

それに応じて、羽から青白い光がうっすらと浮かび上がる。



そして、足に力を込め、空へと飛び上がる。


砂弥は強い抵抗を感じた。

が、それは一瞬で終わり、体は風に乗り、加速は更に強まって行く。



空を飛んでいる。


すぐに周りを見渡す。

すると、何かの群れが視界に入った。



それは、白馬達を襲っている翼竜の群れだった。


砂弥は群れに向かって飛んで行く。


両手に持っている魔銃から、それぞれビームを発射する。




「砂弥!?」


白馬は空を飛んでいる砂弥を見つけた。



「どうやら、来てくれたみたいよ」


ルーンは背中合わせのまま白馬に話し掛ける。


「で、どうすんの?援護する?」


「・・・空に攻撃すると、砂弥の飛行の邪魔になる可能性があるわ。私達は地上の敵に専念しましょう」



白馬は自身を守っていた竜巻を解除すると、地上の敵に向かって炎を撃ち出す。


ルーンもそれに続き、引き金を引いた。





砂弥は空中を飛び回りながら翼竜を撃ち落とす。


時には銃剣で翼竜を切り付ける。


その時、砂弥の背後から翼竜が口を開き突っ込んで来る。



しかし、砂弥は後ろを振り向かなかった。



ブースターの羽先が背後に向けられ、赤いビームが放たれた。


突然の攻撃に翼竜は反応仕切れず、頭を撃ち抜かれる。



砂弥はブースターのビームを放ちながら、翼竜の群れの中へ飛んで行った。





「おー、すごいすごい」


ルーンは地上から空にいる砂弥を見ていた。


「・・・!?」


その時、白馬は何かに気付き、空中に光を打ち上げた。




「・・・」


砂弥は白馬が打ち上げた光を見る。


すると、その方向から巨大なプテラノドンが接近してきていた。


そして、プテラノドンは砂弥に向かって火球を吐き出してくる。



砂弥はその火球を避け、ブースターの上二本の羽先を肩に乗せるように向け、宙返りのように頭を地面に向ける。


その体制のまま、羽先からビームを発射する。


ビームは火球を次々と突き抜けてゆくが、プテラノドンの皮膚に当たると消えてしまった。


「クワアアアアアア!!!」


プテラノドンは咆哮と共に加速し、砂弥に迫って来る。


「・・・・・」


砂弥は銃剣を解除すると、銃からバリアを作り出す。

そのバリアは銃の側面から手の根本位まで広がる。



そして、砂弥も加速し、プテラノドンに真正面から向かって行く。


プテラノドンは砂弥を喰らおうと、口を開き、砂弥に向ける。


砂弥は構わず進み、プテラノドンの口内に進入する。


そして、プテラノドンが口を閉じる前に、両手のバリアを押し当てる。


プテラノドンはパニックに陥り、空中で暴れ回る。



砂弥はその一瞬の隙を突いた。


バリアを解除すると素早く銃からビームを放つ。


時には銃剣で斬り、時には爆発を起こす。


それを繰り返しながら、砂弥は奥へ進んで行く。



体内で無茶苦茶に攻撃されたプテラノドンは苦しさのあまり激しく暴れ回る。


そして、プテラノドンの腹は爆発し、その中から銃剣を振り、プテラノドンをバラバラにしながら砂弥が出て来た。



砂弥は返り血を振り払い、また飛び出した。







一方その頃、裂空は戦闘中だった。


敵は全身に銀色の鎧を身につけ、大剣を振りかざす。


裂空は大剣を転がり避け、剣を振るう。


切っ先から衝撃波が飛び、敵に命中するが、鎧には傷一つ付いていない。



「駄目だ、硬すぎる・・・」


裂空の攻撃ではダメージを与えるのは難しい。


「こんな時おっさんがいればなー」


一平のバズーカならば、鎧など関係無しに倒してしまうだろう。


裂空はそんなことを考えていた。



その隙を突き、鎧兵士は大剣を地面に叩き付け、土を吹き飛ばす。



「しまっ・・・」


裂空は反応が遅れ、まともに巻き込まれ、大きく吹っ飛ばされる。


鎧兵士は裂空目掛けて突撃してくる。



「く・・・」


裂空は咄嗟に剣を盾にしようとする。


相手のパワーを考えると気休めにもならないが、そんなことを考える余裕はなかった。


そして・・・




「・・・・・?」


待っていた衝撃がいつまで経っても来ない。


目を開け、鎧兵士がいた方を向く。



「ぐ・・・あ・・・」


「・・・・・」



鎧兵士の手から、大剣が離れ、ガシャンという音が響き渡る。


鎧兵士の肘にナイフが突き刺さり、その痛みで剣を落としたのだ。



「田美・・・ちゃん?」


裂空の前に立ち、鎧兵士にナイフを刺しているのは田美だった。



鎧兵士は左腕で田美に殴り掛かるが、田美はサッとパンチを避け、鎧兵士の後ろに回り込む。


そして、左手で鎧兵士の肩を掴み、右手に持っているナイフを逆手持ちし、鎧兵士の首に突き刺す。



噴水の様に血が吹き出し、鎧兵士は力無く地に倒れ込んだ。



田美は裂空の元へ駆け寄った。


「クー、大丈夫?」


「ああ、平気」


裂空はその場に立ち上がる。



「でも驚いたな、田美ちゃんがこんなに強かったなんて」


「私はそんな強くないよ。ただ・・・」


「ただ?」


裂空は田美に聞き返した。



「私は、クーに守られるだけじゃなくて、クーを守れるようになりたくて、それで・・・」


田美の必死な想いが伝わって来て、裂空は胸が熱くなるのを感じた。


そして、田美の頭を優しく撫でる。




「田美ちゃん。ありがとう」


「ぁ・・・ぅぁ・・・」



田美の顔がトマトの様に赤く染まり、裂空はそれがおかしくて思わずクスクス笑ってしまう。



「さあ、おっさんでも探しに行こうぜ」


「・・・うん!」


二人は手を繋ぎ、一緒に駆け出した。





白馬や裂空達とは離れた場所で、綱切は怪物と戦っていた。


蜘蛛が人型になったかのように見える体は、体中に赤黒い血管を張り巡らせている。



「ちくしょう、こいつらいい加減に・・・」


その時、綱切の背中に蜘蛛男が飛び掛かり、綱切は地面を転がる。


その拍子に、右手に持っていた刀を落としてしまった。


「しまっ・・・」


刀を拾おうとするが、蜘蛛男が何匹も立ち塞がり、取りに行けない。


仕方なくピストルだけで応戦し、蜘蛛男を撃つ。



その時、不意に横から蜘蛛男が殴り掛かり、綱切はそれを避け切れずに、地面に倒れる。


「あ・・・」


そして気付いた。

ピストルを落としたことに。



自分の武器は刀とピストルの二つだけだ。


手榴弾などの道具も使い切ってしまった。



「あ、あぁ・・・」



綱切は、武器は何一つ持っていない。


だが、敵はそんなことを気にかけはしない。



蜘蛛男はわらわらと綱切に近付いて行く。


綱切は尻餅を付いたまま後ずさり、その背中に木が当たった。


もう、後ろには下がれない。



立ち上がり、木の後ろにでも走ればまだ逃げられるかもしれない。


だが、綱切の足は動かない。



それは、恐怖が自分の心を支配している何よりの証だった。



「あ、あ、あ・・・ぎゃあああああああああ!!!!!!」


綱切は顔を引き攣らせ、そして、顔を恐怖で染め上げ、叫んだ。


その姿に、ヒーローとして、自他ともに誇りを持っていたかつての姿は、微塵も残っていなかった。



綱切の周囲に爆発が起こる。


上からビームが降ってきた。



砂弥はブースターの四つの羽を地上に向け、同時にビームを発射する。


再び地面に爆発が起こり、蜘蛛男達が吹っ飛ぶ。


綱切の側にいる蜘蛛男達は、急ぎ、綱切に襲い掛かる。



砂弥は地面に向けて加速し、銃を銃剣に変える。


そして、蜘蛛男が綱切に触れる一瞬前に、蜘蛛男の体をバラバラに切り刻む。



砂弥はすぐに飛び立とうとするが、綱切はそれを呼び止める。



「待て!何で・・・どうして、俺を・・・」


綱切は砂弥に問い掛けた。

あの時、綱切が砂弥を押さえなければ輝合石銀は助かったかもしれない。


銀が死んだのは綱切のせいでもある。


それなのに、何故、砂弥は自分を助けたのか。

綱切には理解出来なかった。



「点が欲しかっただけ。君なんかどうでもいいよ」


砂弥はそう言い切った。

そして、今度こそ飛び立った。



砂弥にとって、今一番大事なのはポイントだった。


そのためには、綱切が何をしたかというのは、砂弥にとって無意味だった。


砂弥の全ては、銀に向けられていた。




ミッション開始から暫く時間も経った。


砂弥はあれからも点を稼ぎ続けていた。




「砂弥ー!」


下から声を掛けられる。


下を向くと、白馬とルーンが立っていた。


二人の元へ向かい、砂弥は地面に着地した。



「どうしたの?」


「もう外には殆ど敵は残ってないわ。だから、一緒にこの城に入って欲しいんだけど」


白馬はそう頼んできた。


点を稼ぐことを考えれば、団体行動はやめた方がいい。


自分で点を取ることが難しくなるからだ。



だが、


「分かった。一緒に行こう」


砂弥はそう言った。



どうせこの城には入らなければいけないだろう。

ならば、戦力は多い方が安全だろう。


砂弥は二人に頼る事にした。



自分だけの力に限界があるのは知っているつもりだ。


今までも、仲間に助けられて生きてきた。



このミッションは自分が何とかしなければと思っていたが、やはり私は、誰かに助けられてばかりのようだ。


私達は、城の扉を押し開けた。




私達が城内に入ると、扉が重い音を鳴らし閉ざされた。


そして、扉が閉ざされたのを確認したかのように、暗く広がる闇が天井のシャンデリアによって照らされた。



ロビーの階段を上り、二階を進んで行く。


「明るいのに、何か気味悪いわね」


ルーンは思わず口に漏らした。


確かに、入った時と打って変わり、闇が消えたにも関わらず不安を煽る気が漂っている気がした。






どれくらい進んだだろうか。


途中に蝙蝠が飛んできたくらいで、敵らしい敵は現れない。



「おかしいわね。確かに敵はいるはずなんだけど・・・」


レーダーを見ると、確かに敵を表す黄色い点が表示されている。


「これじゃ、敵が何階にいるのかわかんないね」


私の発言に二人は頷いた。


私達のレーダーは、敵との距離は表示しているが、高さまでは出ていない。


これでは相手がどこにいるのか分からない。




その時、私は背後から殺気を感じた。


「チィッ!」


魔銃を手に取ると、火炎放射を放つ。


背後にいたのは蝙蝠だった。


多くの蝙蝠が炎に焼き尽くされる。



「・・・!さ、砂弥、ルーンは!?」


「え!?」


周りを見渡す。

が、ルーンの姿は何処にもない。



「クソッ!!」


私は急いで駆け出した。

白馬も私に続いて来る。



「でもどうして!?レーダーには何も映ってなかったのに!」


白馬は走りながら私に聞いてきた。


「あの蝙蝠は誰かが作り出した物だったんだよ!だからレーダーには映らなかった!!」


レーダーに映るのは敵だけ。


敵の技は映らない。



だから、レーダーにはあの蝙蝠は映らなかったのだ。



「(クソッ、もっと早く気付くべきだった!)」


私達は、足を更に速くした。




「もう誰も・・・死んで欲しくないのに・・・」


誰ひとり死なずに終わるとは思っていない。


私がそんな大それたことが出来る力を持っていないことは分かっている。



だからこそ、


だからこそ周りの人だけは守りたいと思っているのに・・・





「ここ、だよ・・・」


私達はある扉の前に立っていた。


確かめるまでもない。


扉の向こうから、何者かの気配を感じる。



「行くよ」


私が言うと、白馬は黙って頷いた。





扉の開く音が響き渡る。


ぎぎぃー、と、重苦しい音が部屋に伝わる。



その部屋は電気が付いておらず、月明かりのみが部屋に明るさをもたらしていた。




その中央に、玉座が置かれていた。


本来輝きをもたらすはずの玉座から、重苦しい空気が放たれていた。



正しくは、それに座っている存在から怪しげな力が出ていた。


黒い髪と髭。

漆黒のマントとスーツに包まれた体からは人には出せない何かを感じさせる。


その口からは鋭い牙が剥き出しになり、牙からは血が垂れていた。




だが、私達はそんな物に気を取られてはいなかった。


私達の視線の先には、玉座に座っている男・・・ヴァンパイアの手に提げられている物があった。


皮膚は茶色に染まり、カラカラに乾ききっているのか、柔らかさを感じさせない。



ソレは、頭部から白い髪が垂らされていた。




分かっている。

アレは・・・



「キキッ」


ヴァンパイアは口を歪ませると、手に提げていた物を私達に向けて放り投げた。


白馬はソレを受け止めようとする。


が、白馬が受け止めた瞬間、ソレはボロボロと崩れ落ちる。




白馬が叫ぶのと、私が飛び出すのは同時だった。






「ルーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!」



「あああああああああああああああああああああああ!!!!」


部屋に、嘆きと銃声が響く。

映画、「GANTZ」がもうすぐ公開ですね。


言うまでもなくこの小説はGANTZの影響を受けて(むしろパクリに近い)いますが、少しでも独特な雰囲気を出していきたいです。


次回、砂弥達がどうなるのか・・・期待していて下さい。


では、また次回で。

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