プロローグ
初めまして、飛魚と申します。
インターネットに自分が書いた物を投稿するのはこれが初めてですが
頑張って続けていきたいと思います。
大雨が降り頻る山道を、一人の少年が歩いていた。
少年は瀕死の重傷であった。
全身血塗れで、特に左肩と腹部にある傷からはとめどなく血が溢れ、
彼の身を包む迷彩服を紅く染めている。
不確かな足取りで足を引き摺りながら歩く姿は、いつ力尽きてもおかしくないように見えた。
だが少年は、一歩歩くごとに体中の痛みに顔を歪め、それでもなお歩き続ける。
頭から流れる鮮血が時折目に入り、そのたびに少年は手の甲で血を拭う。
その動作さえも今の少年には苦痛だった。
歩くたびに血が噴き出し、激痛に耐え、目に入る血を拭い、空いた手で腹部の傷を庇い、
また出血し、それでも歩く。
どれ程の時間が経過しただろうか、
とうとう少年は力尽き、その場に倒れた。
倒れた衝撃で傷口から血が飛び散り、少年の周りの地面を彩った。
もはや彼にもう一度立ち上がる気力は残されていない。
「……寒い……寒いよ」
消え入りそうな声で少年はそう呟いた。
しかし雨の音にかき消された呟きは、誰にも伝わることはなかった。
プロローグです。
次回からは一人称視点に切り替えようと思います。