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出雲大社の記憶〜神々の封印と国譲り〜  作者: 木村 蒼空
第1章

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第8話:赤い光の影

南の空に再び赤い光が現れた夜、出雲本村は静寂の中に緊張感が漂っていた。村人たちは防衛拠点の後方に集まり、焚き火を囲みながら不安げに空を見上げていた。


イオタリは防衛拠点の最前線で兵士たちと共に光の発生源を観察していた。光は遠くの山々を越えて揺らめいており、その動きは明らかに意図を持っているように見えた。


「敵が再び動き出したか…。」

カヤナがイオタリの隣で呟いた。

「だが、まだ距離がある。あの光の正体を突き止める絶好の機会だ。」


「同感だ。」

イオタリは頷き、少数の兵士で構成された偵察隊を組織した。

「光の発生源を調べてくれ。ただし、無闇に近づくな。何か分かったらすぐに戻るんだ。」


偵察隊は静かに出発し、闇に溶け込むように姿を消した。




夜が明ける頃、偵察隊が戻ってきた。彼らは疲労の色を隠しきれなかったが、その目は緊張で鋭く輝いていた。


「イオタリ様、赤い光の正体が少し分かりました。」

報告を始めた隊長は地図を広げながら指をさした。

「光はこの辺り――山を越えた南東の平野に集まっています。そこには天孫族の陣営が築かれており、大量の篝火が赤い布で覆われていました。その布が光を増幅し、遠くまで反射しているようです。」


「赤い布…。」

イオタリは眉をひそめた。

「ただの光ではなく、彼らが意図的に作り出しているものか。」


「さらにもう一つ気になることがあります。」

偵察隊の別の兵士が口を開いた。

「その光の近くには、何か巨大な装置のようなものが設置されていました。詳細は分かりませんが、それが光と関係しているのではないかと。」


その報告に、ミホトが深刻な表情を浮かべた。

「もしその装置が光を作り出すものであり、神具――日の輪と何か関係があるとすれば、事態はさらに深刻です。」




その頃、天孫族の陣営では、軍師モリマサが部下たちに指示を出していた。彼の背後では、赤い布で覆われた篝火が揺らめき、巨大な装置が低い唸りを上げながら動いていた。


「出雲族の動きは予想通りだ。奴らはこの光に惑わされ、我々の策に引き込まれるだろう。」


「では、次は本格的な攻撃を仕掛けるのですか?」

部下が尋ねると、モリマサは冷たい笑みを浮かべた。

「まだだ。次はもう少し恐怖を与える。奴らの守りが崩れたところで、一気に神具を奪う。」


その策略に、武将ハガネが勢いよく頷いた。

「待ちきれないな。早く出雲族を叩き潰してやりたい!」


「焦るな。」

モリマサは手を振り、ハガネを制した。

「勝利はじっくりと育てるものだ。それが確実なものになるまでは動くな。」




出雲本村では、赤い光の正体が明らかになりつつある中、イオタリが新たな計画を立てていた。


「カヤナ、この光を逆手に取る方法はないか?」

イオタリが尋ねると、カヤナは地図を睨みながら答えた。

「もし敵が光を使って我々を誘い出そうとしているのなら、逆にこちらから奇襲を仕掛けるのが効果的かもしれません。」


「奇襲か…。確かに正面からの防衛だけでは持たないだろう。」


ミホトが口を挟んだ。

「ただし、その装置が神具――日の輪と何かしら関係しているのであれば、敵の狙いを先に見抜く必要があります。」


「分かった。」

イオタリは静かに頷いた。

「まずは敵の動きを見極め、その後でこちらが動く。決して焦るな。」




夜が再び訪れると、赤い光がさらに強く揺らめき、村人たちを不安にさせていた。その光景を見つめながら、イオタリは静かに呟いた。

「この光が何を意味するにせよ、我々が立ち向かわなければ未来はない。」


その夜、村の防衛拠点では兵士たちが見張りを強化し、村全体が警戒態勢を取っていた。だが、その静寂を破るように、再び敵の動きが見られた。


「敵が動き出した!」

見張り役が叫び、兵士たちが一斉に集まった。

「皆、準備を整えろ!」


イオタリは盾を手に取り、最前線に立ちながら兵士たちに声をかけた。

「我々の土地を守るのは我々だ!恐れるな!」


赤い光が徐々に近づく中、出雲族と天孫族の次なる戦いが始まろうとしていた――。




次回予告


第9話では、ついに赤い光を中心とした天孫族の策略が明らかになり、出雲族が決死の防衛戦に挑む展開が描かれます。







読んでいただきありがとうございます。

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