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自称天然自爆美少女ガール

作者: 蕪株歌舞

登場人物

菅原葉月・・・自称天然自爆美少女ガール

雨宮男司・・・自称この作品の常識人

雨宮里香・・・自称世界で10000番目の美女。それはすごいほうなのか普通のなのかわからない

モブA~C・・・名前を与えてもらえなかったモブ。おそらく続かないので明かされることもない

 幼馴染の菅原葉月はすごく馬鹿だ。


 何せ自分で自称天然自爆美少女ガールと言っている。


 いろいろと乗せすぎだし、そもそも美少女とガールがかぶっている。


 この後いろいろと馬鹿エピソードを話すつもりだったが、この時点でもう馬鹿丸出しである。


 まったく幼馴染である僕はとても彼女の未来が不安だ。


 え?僕が誰かって?


 お隣の家に住む雨宮男司というものだ。


 実家は神職で宮司をやっていて、僕自身手伝いをやっている。


 余談だが、僕はかなりの雨男で、何か1年の行事の二つに一つは雨が降っている。


 毎回雨でつぶれたときに僕のことを見るのはやめてほしい。いやマジで。


 まあ、この前6月上旬なのに台風が来て体育祭が中止になったときは、とてもうれしかったが。


 いかん。前置きがかなり長くなってしまった。


 こんなどうでもいい話ではなくちゃんと本題に入ろう。


 そう、僕の幼馴染”自称天然自爆美少女ガール”の話を。



 ***



 それは確か文化祭が終わった後のことだったと思う。


 その文化祭も無事——————曇天の小雨がぱらつく程度で終え、後片付けをしている最中の出来事だった。


「ダンジ、大雨で文化祭がつぶれなくてよかったね!今年もダンジがみんなに責められることがなくて安心したよ~」

「ハヅキ、それは僕に対する嫌味か?結局晴れることはなかったし、また雨かって目で僕を見てくるやつもいたし・・・・・・ほら、こんな話をしているうちに雨が強く振り出した!」

「そう悲観的になるなよ~、お姉ちゃんはダンジのポジティブverが見たいな~」

「1時間しか違わないのに姉面するな。というかなんだverって・・・・・・」


 この日もいつもと同じよくわからんテンションに僕は振り回されていた。 


 もう長い付き合いだから慣れたが、こんなラノベでありそうな元気系の幼馴染、初めての人はとてもするだろう。


 僕ですら反応に困る時がある。


「ねぇねぇ!来週の土曜日どする?なんかどっか出かけようよ!」

「お前正気か?もう僕らは受験なんだぞ?この状況でよく出かけようと思う?」


 俺は思わず呆れた声をあげてしまった。どうしてこの幼馴染はこんなに能天気なのだろう。


「・・・・・・だめ?」


 やめろ。そんな目でこちらを見るな。


 まったく何で僕はこいつに弱いんだ。


「・・・わかったよ。1日だけだよ」

「ありがとー!!・・・まあ、私もう推薦決まってるから」


 ・・・そうだった。この人もう推薦で決まっているんだった。


 ああ、憎たらしい!・・・・・・そういう自分も推薦決まっているのだが。


 なんだかんだ言いながら、ハヅキは頭は悪くない。


 行動がどこかぶっ飛んでいるだけで普通に赤点は取らない。


 まあ、夏休みの宿題なんかは最終日近くまでやらずに溜めておきやがるから僕も手伝うハメになるが・・・


「でも、どこ行くのさ?というか普通に僕神社の手伝いとかあるんだけど・・・」


「大丈夫!おばさんからそこらへんの予定は聞いているから!」


 何で知ってるんだよ。お前は僕の何なんだよ。


「で、知ってたとしてどこに行くんだい?」


 場合によってはお前(ハヅキ)の親父さんに半殺しにされるのだが・・・・・・


「ん―――っとね?・・・・・・ひ・み・つ♡」


 秘密か―――—!可愛く言えば騙せると思ったか、おいこら。


「・・・せめて日付教えてくれ」


「ん――――――っと・・・・・・未定!」

「よし、詳しく決まったらまた話せ」


 そうこうくだらない話をしているうちに、家の前まで来た。


 その日も僕はいつも通り彼女を家に送り届けに菅原家に向かった。


 彼女の家は、どこにでもある普通の家だ。


 よそと何ら変わらない。ただ父親がプロレスの世界チャンピオンだったということぐらいだ。


 だから僕はあまり顔を出しづらいのだが。


「じゃ!ダンジまた明日!」

「はいよ」


 僕が家に帰ると、姉の里香が巫女服を着て走っていた。


「あ、ダンジようやく帰ってきたのね!なら早く手伝って!そろそろ七五三の準備をするから蔵の中からいろいろ取りに行くよ!」


 そういえば、もうそんな時期か。


「グダグダしてるとあんたの大福の取り分は私が持っていくよ!」

「そりゃあんまりだ、里香姉。3分で行くから待ってくれ」


 僕は急いで荷物を置き、社の裏の蔵の前まで向かった。中に入ると、もう里香は必要な道具を取り出し始めていた。


 僕もすぐ近くの箱に手を伸ばし、運搬作業取り掛かった。4分の1くらい必要な道具を取り出したころ、僕たちは一度休憩を入れた。


「そういえば、ダンジ。お前ハヅキのやつとよくここで遊んでたよな?」

「いきなりなんの話をするかと思えば・・・・・・なんで今その話をするんだよ?」

 僕は大福を飲み込んだ後、里香姉を睨んだ。里香姉は気にせず、六つあるうちの三つ目の大福に手を出しながら話を続けた。

「いや~、懐かしいねよく親父の目を盗んでコッソリ社に行く姿を何度見たことか。まさに青春だったね~・・・・・・ま、どうせお目当ては親父がこっそり社に隠してたラノベ小説だけど」

「里香姉も俊也兄とこっそり社に入ったことあるだろ。というより、僕らより回数多いじゃん」

「まあ、その話は置いておくとして、今は未来がある若者たちの話をしようじゃないか!どうせ後2年は帰ってこねぇし」

 どうでもいい余談だが、里香姉の彼氏は今アメリカに留学しているため、しばらく帰って来れない。そのためうちの家族で何か恋愛の話が上がってしまえば矛先はすぐ僕のほうに向いてしまう。まったく迷惑極まりない。俊也兄、頼むから早く帰ってきてくれ。

「でも、懐かしいだろ?ここで『大きくなったら私と結婚しよう』とか『君のことを絶対に迎えに行くよ』とか・・・・・・」

「それ、全部親父のラノベに会ったセリフじゃん。ただ確かにそんなこと言っていたかもしれないけど、もう覚えてないよ」

「え~、私は今でも覚えているよ~。だってあのときのダンジ―――――――」

「いつまで休んでいるつもりだ?もう休憩時間はとっくに過ぎているぞ。徹夜したくなかったら、さっさと残りの荷物も外に出すぞ」

 振り向くと、後ろで青筋を浮かべた親父が立っていた。


 その後僕たちは、夜遅くまで七五三で使う道具の運搬作業に駆り出された。まったく若者をなんだと思っていやがる。


***


「と、いうことで!今日学校終了後に社裏の蔵に行くことになりました~!」

「当日連絡かよ!」

 

 次の日の朝、僕が学校の校門の前でハヅキを待っていると、後ろから大声で叫びながらやってきた。


 しかし、よりにもよって蔵かよ・・・・・昨日搬入作業したばっかで散らかっているんだが・・・・・・


「というか、僕の家かよ。もっとどこか遠くまで行くのかと思ったぞ?」

「それも考えたんだけどね、そろそろ七五三だから忙しいだろーなーっと思いまして」


 こんな時だけ変な気を使わせやがって・・・・・・さぼれるかと思ったのに


「とにかく!今日の学校終わった後!校門前で待ち合わせね!じゃ、そういうことで!」


 そういうと、あいつは言うだけ言って先に行きやがった。僕が迎えに行く意味、あったかな?


***


 その日の朝、HR教室に向かうと、同じクラスの・・・・・・これ以上情報を増やしてもあれだからモブAにしよう。


 とにかくモブAが僕に話しかけてきた。


「なあなあ!お前の姉ちゃん、巫女服着て仕事してるって本当か⁈一生の頼みだ!紹介してくれ!」

「下心見え見えなやつに紹介する姉などいない!」

「・・・・・・・・シスコン?」

「誰がシスコンだ、殴りつぶすぞ」

「お前ってたまにキャラ何なのかわからなくなるよ・・・・・・」

 そんなこと言われましても・・・・・・


 すると、突然————————————


「—————————ごめん!ダンジ、おばさんが弁当忘れてたの届けるの忘れてたー!」


 ドアを勢い良く開けて、ハヅキが入ってきた。というか母さん、なんでハヅキに渡すのかな・・・・・・ 


 目立って恥ずかしいんだけど・・・・・・


「・・・おー、ありがとー」

「そうだ!蔵に行くとき、何かお菓子持ってきてね!それじゃ!」


 そういうと、ハヅキは猛ダッシュで教室を出ようとし、机の角に思い切り足をぶつけてこけた。そのまま起き上がると気まずそうに頭を掻きながら、教室を出ていった。まったく嵐のようにきて一瞬にして去っていきやがって


「なあ、いい身分だなぁ~?ダンジくーん?可愛い彼女にお弁当をとどけてもらえるなんてなぁ~」

「彼女じゃない。ただ家が近所で、たまたま仲がいいだけだ」

「それがうらやましいんだよ——————!いいよな—————!きっとご飯とか作りに来てもらってたりするんだろ?!」

「僕のためにじゃなくて、向こうの家族と一緒に食べるときに手伝っているのを食べるくらいだよ。そんな羨むもんでもないだろ?」

 余談だが、あいつはかなり料理が上手い。自分もかなり上手なほうだと自負していたが、ハヅキには劣る。


「やっぱ食べてんじゃねぇかよ————!!!」 


 先ほどのモブAが鬼の形相でこちらを睨んできた。いやマジで、本当にそれ以上もそれ以下の関係でもないんだが・・・・・・


「まあまあ。でも、実際のところはどうなんだい?いろいろな噂がここ3年間流れていたわけだけど、卒業も近づいてきているんだし、教えてもらえないかい?」

「そうだそうだ!あんな綺麗で!運動神経抜群で!頭がよくて!料理が上手で!ちょっと抜けてるとこがかわいいあの菅原さんに何の問題があるんだよ!」


 なんで僕の奥底の思いを伝えなければならない?モブBよ?そしてモブAお前は何を言っているんだ?


「別に、普通に幼馴染っていうだけだよ。それより、あいつがあんな綺麗で!運動神経抜群で!頭がよくて!料理が上手で!ちょっと抜けてるだって?お前の目は節穴か?あいつはいまだに泳げないから泳ぎ方は毎年僕が海行って教えているし、勉強は高一まで数学が壊滅的だったからよく教えてあげたし、7歳のとき火力強すぎてケーキを焦がしたのを一緒に食べたし、ちょっと抜けいるどころかかなり危なっかしいやつでいつも心配で大変なやつなんだよ!悪いがこの後中島先生に呼ばれているから後でね!」

 僕はそういうと、教室を後にした。教室であいつらが何かまだ言っていたが、聞こえないふりをした。


 そのまま先生の用事が終わり、ようやく昼ご飯だと弁当を広げた。そこにはいかにも母が作るようなきんぴらごぼうや唐揚げ、金時豆などが入っていた。母は冷凍食品を使うのを嫌い、毎朝自分で弁当を作っている。

 母が作る料理はおいしいし、好きだ。まあ、たまに量が多いのは困るのだが。いざ一口食べてみると、いつもと少し味が違った。しかも————

「この味って——————————」


***


「—————遅い!何日待ったと思ってるの!」

「たった3分だろ。というかそんなに待つ前に一度家に帰れよ」

 学校が終わった後、僕はすぐ神社の裏の蔵に向かった。そこにはHRが速く終わったハヅキが待ちくたびれたように頬を含まらせて待っていた。

「それで、お菓子はちゃんと持ってきた?」

「はいよ、これで満足か?」

 そういって僕はさっき家からくすねてきた饅頭を四つ、ハヅキに見せた。彼女はニヤリと笑うと、リュックの中からクッキーの箱を取り出した。僕らは互いにニヤリと笑うと、蔵の中へ向かった。


 中に入ると、想像通り七五三の荷物を出した後なのもありとても散らかっていた。なんとか足場を探し、歩いていると、ハヅキが端のほうでこそこそと何かを探し始めた。

「ハヅキ・・・・・・お前、何してんだ?」

「んー?探し物?確かこの辺に・・・・・・・あ!あった!ラノベ!」

 思わず僕は呆れてしまった。ここまで来て目的はラノベかい!そう思わずにはいられなかった。というか親父、ラノベを神具と一緒に置くのはどうかと思うぞ・・・・・・

「ほんとお前ラノベ好きだよな。しかもそんな古いやつ」

「だって面白いんだもん!はあ、何度この手の本に興奮したことか・・・・・・」

「その言い方いろいろ危うくなってくるからヤメロ。というかお前読みだしたら2時間ずっと読みふけるだろ?」

「それでも、読みたいラノベがあるんだ—!」

 結局僕は2時間、彼女がラノベを読み終わるのに付き合わされた。まあ結局自分も適当にラノベとか古本に手を出していたから暇だったわけではないが。

「はぁ~、満☆足!」

「そりゃ何より。で、僕をここに呼んだ用事は何?」

「え?えっと~・・・・・・あ、今何時⁈」

「ん?もうじき5時だけど?」

「やばいやばい!梯子ってどこにある?速く!」

「おい待て!慌てるな!っておいこらそこの本を蹴るな!崩れるだろ!」

 そうこういいながら、僕たちは蔵を後にし、梯子を隣の倉庫から取り出した。それをどうするかと思えば、彼女は蔵に立てかけ、昇り始めたのだ!まあ、なんとなく想像はできたが。

「よかった!間に合いそう!ダンジも上がって上がって!」

 ハヅキは手慣れた手つきで梯子を駆け上がると、そこには驚くべき絶景が広がっていた。


 夕日の光が反射し、町全体を輝かせていたのだ。これを綺麗と呼ばずして何というのだろうか。


「えへへへ~、綺麗でしょ~」

「・・・これを見せたかったのか?」

 そう聞くと、彼女は少し恥ずかしそうに笑った」

「・・・・・・うん。一緒に、見たかったんだ」

 この幼馴染は・・・・・・まったく、いつも恥ずかしいことを平気で言ってきやがる。これほどたまったものはない。

「・・・・・・・最近、七五三とかの準備で忙しそうだったし、これからも忙しくなるじゃん?だから少しでも気分転換できたらいいな~っと思ってさ・・・・・・」

「なるほど、それで今日の弁当の唐揚げはハヅキが揚げてみたと」

「————————⁈なんで知ってるの?え、でもあの場には私とおばさんとおじさんしか———」

「味でわかったんだよ。あの揚げ加減はお前の味だった」

 というかあの場に親父もいたのかよ・・・・・・

「・・・・・・おいしくなかった?」

「何言っているんだ?唐揚げはお前の作ったほうが好きだよ」

「・・・・・・!そっか////」


 まったく、この幼馴染には困ったものだ。昔からいろいろと気が利くし、悲しいことがあれば、慰めてくれる。弁当を作ってくれたのも、この絶景を見せてくれたのも最近僕が疲れているのを感じ取ってのことだろう。


 こんなの、惚れないわけないじゃないか。


 なんで自分は素直になれないのだろう。


 なんでこんなきつく当たってしまうのだろう。


 もっとうまく接せるようになりたい。


 昔からそうだ。小学生の時も、周りと仲良くすることができず、一人でいたときも、彼女は自分のことを気にかけてくれた。


 この優しさに、少しでも応えたい。


 だから————————


「今度、どこか出かけないか?まだ何も考えてはないけど・・・・・・」

「・・・・・・!うん!楽しみに待ってるね!」


 今はまだ、この気持ちを口にする勇気はない。


 だけど、次に出かける時までに、この思いを口にできるよう、彼女に見合った人になりたい。


 そう思ったのは、この僕だけの秘密だ。





—完—

里香「さーって次回の自称天然自爆美少女ガールは、二人の愛が成層圏を突破してついに宇宙へ!二人は火星に移住し、新たな王国”ミネラル王国を建国することに!そこへ第4帝国軍と名乗る宇宙人たちが襲来。さらにダンジのもとに新たな魔の手が伸びる。そんな中、自称天然自爆美少女ガールは何をもうのか———————。今、第4宇宙帝国との新たな戦いが幕を開ける—————

次回、第123話”火星の中心で愛を叫べ!”次回もお楽しみに!」

ダンジ「注意:この話は1話完結ですので、続きません」

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