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異世界爆破紀行~最狂爆弾魔は異世界を遊び尽くします!なお、障害はすべて爆破する~ #なおしょう  作者: 瘴気領域
第2爆 爆弾狂、ドワーフ村に立つ

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第7破 スライムが燃えている!

「バーンドスライムと云ってのう。地中に棲んでおって、採掘中にたまに現れる厄介ものなんじゃ」

「出たら水をかければ石になって固まるんだがな。一旦火が付くと手に負えねえんだよ。湧き出たときにツルハシから出た火花でたまたま着火しちまったんだ」


 村長さんとガガドンガさんは蠢く炎の海を睨んで顔をしかめている。当たり前だけど、この中で採掘作業なんてとてもできないだろう。


「これ、消火はできないんすか? 入口を塞いで空気を遮断しちゃうとか」

「採掘場には通気口を何本も通しておってのう。通気口は複雑で、塞ぐと他の区画にも影響が出る。完全に密閉するわけにはいかんのじゃ」


 いくら地下深く潜っても息苦しくなったりしないなあと思ったら、そういう工夫があったのか。


「じゃあ、水を大量に流し込むとかどうっすかね?」

「そんな大量の水をどうやって持ち込むのじゃ」

「腕利きの水魔法使いを連れてくるとか……」

「麓の町の冒険者ギルドには一応依頼を出しておるがのう。この炎を消せるレベルの魔法使いなど、そう滅多におらんだろう」

「そりゃそうっすよねえ……」


 トレードの犬耳がぺたりと垂れ、肩を落としてため息をつく。


「この火災は先月に起こっての。黒銀鋼の採掘が止まって、在庫がすべてなくなってしまったんじゃよ。いまは燃え尽きるのを待つことしかできないのじゃ」

「はあ……そういうことだったんすか。これっていつ頃消えるんすか? 多少なら待つこともできるんすけど」


 村長さんがうーんと唸りながら白い顎髭をしごく。


「ひと月か、半年か……。こればっかりは儂にもわからんのう」

「うええ……」

「悪りぃな、嬢ちゃん。意地悪や出し惜しみをしてるわけじゃねえってことはわかってくれただろ。普通の鉄製品で勘弁してくれねえか。こっちも品質は保証するぜ」

「ううん……自分の<収納>の容量はそこまで大きくないっすからねえ。ただの鉄製品じゃいくら高品質だと言っても……」


 トレードが頭を抱えている。運べる量が限られている以上、高価な商品を扱わないと儲けが出ない……ということだろうか。


 トレードが困っているのに、何の力にもなれない自分が歯がゆい。

 私はこの世界どころか前世の常識さえおぼつかない。何かよいアイデアが出せればいいのに、商談に口出しすることなんて出来なかった。


 自分の無力を悔しく思いながら、(にっく)き炎を睨みつける。まったく、どうしてこんなタイミングで火事なんて起こしてくれたんだ。それもひと月もずっとだなんて。まるで前世の油田火災みたいだ。1991年のイラン・イラク戦争では、700箇所以上で油田火災が起き、すべてを消火するまでには1年近くの時間を要したらしい。とんでもない話である。


 ……って、なんで私こんなこと知ってるんだっけ?

 何かに興味があって、調べ物の途中でおぼえたような気がするんだけど――


「あっ」

「ん、どうしたんすか、ニトロ?」

「あ、あの、私、これ、ど、どうにかできるかも……」


 自信はない。でも、どうにかできる方法を見つけたかもしれない。しどろもどろに声を絞り出すと、村長さんが聞いてきた。


「どうにかとはどういうことじゃ?」

「この火、け、消せるかもしれません」


 三人の目が丸くなった。


「おいおい、冗談ならよしてくれ。いまは気休めが欲しい状況じゃねえ」

「気休めなんかじゃないっすよ! こう見えてニトロは凄腕の魔法使いなんすから! ジャイアントスパイダーもやっつけたし、街道の落石も一発でふっ飛ばしちゃったんすよ!」


 不審な顔のガガドンガさんに、トレードが早口で言い返す。嬉しいけど、し、信頼が重い。


「それは本当か!?」

「おお、それは頼もしいのう!」

「い、いや。絶対成功するわけじゃ……」

「ニトロなら大丈夫っすよ!」


 いかん、これはやる流れだ。いや、もちろんやるつもりではあったんだけど、こうも期待されると緊張してくる。


「なあに、ダメで元々じゃ。して、何をするのじゃ? 儂らに手伝えることがあるなら言ってくれ」

「そ、それなら、2つお願いできますか。ひとつ目はあの、これくらいの大きさで、あの炎の海に浮かべられる(たらい)……みたいなもので。もうひとつは耐火服……服じゃなくてもいいので、熱や炎を防げる何かを――」


 私は身振り手振りを交えながら一生懸命話す。うう、口だと説明が難しい。村長さんとガガドンガさんが色々質問してくるが、上手く答えられない。パソコンとペンタブがあれば図で説明できるのに……。


「これ、使うっすか?」

「あっ、ありがとう」


 まごまごしていると、トレードが紙とペンを貸してくれた。紙はゴツゴツしていて、ペンは万年筆でちょっと慣れなかったけど、口で説明するよりずっとマシだ。


 ええっと、あのバーンドスライムってやつの比重が水と同じだと仮定して、鉄で作ったとするとこれくらいのサイズなら必要な浮力が得られるかな。ええっと、耐火服がないとすると――


「おいおい、お嬢ちゃんは設計者でもやってたのか?」

「素人の仕事じゃないのう。この文字は何じゃ? 寸法を表しているようじゃが」


 出来た図面を渡すと、一発で意図が伝わった。寸法はメートル法で書いちゃったけど、これくらいは簡単に教えられるだろう。フリーハンドだから線が歪んでるのがちょっぴり不満だけど。


 それにつけてもEoGでフィールドカスタマイズを頑張った経験が活きた。EoGでは自作のフィールドをオンラインで共有できる機能があったのだ。物理演算がガチ過ぎるせいで、使っている人はあんまりいなかったけど。素人が下手に建物を作ってもあっという間に倒壊してしまうし、船を作れば沈んでしまうのだ。


 私も建築やら機械やらの設計の本を読みまくってようやくだったなあ。あのときはゲームで遊んでいるのか勉強しているのか自分でもよくわからなかった。しかし、その学びが役立っているのだから人生何があるかわからないものだ。


 図面を元にあれこれと相談して、作戦決行は明後日に決まった。

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