第5話 村を救う
国が誕生してしばらくして、文明が発展し自分達の領土を広げるために開拓が活発になった。
人類が開拓に勤しんでいた頃、魔物の中で王が誕生していた。
悪魔族の王・魔王カリス、氷魔族の王・氷魔帝イクローマン、鉱魔族の王・鉱王デークアイアン。現在はこの三体が魔物の王に君臨している。
人類達もそれらに気づいており、何度も遠征しては失敗を繰り返していた。
【神の職場】
「神人の管理している世界の人類が何か企んでるらしいから調査してきてくれない?」
「いきなり言われても困るんですが…」
「というか何故人類が企んでるって分かるんですか?管理しててもそんなこと分からないんですけど」
「社長からの命令だよ、なにもなかったらなかったで良いんだけどさ」
とりあえず、何か企んでたら阻止し、なにもなかったら人類を満喫していいらしい。
「じゃあ、管理は誰がやるんですか?」
「お前に決まってるだろ」
神は人間の三大欲求をコントロールできるので周りが寝静まった夜に職場に戻って仕事をし、起きる時間になったら人類の生活に戻るという超絶ブラックな生活を強いられることになった。
【管理された世界】
「よっこらせっと」
どんな種族になるのか分からなかったので不安だったが、元々人族なのでこの世界に来ても人族になっていた。
年齢も体型も顔も神になる前の体と同じなので安心だ。
一応創造神という役職なのでなんでもできる。ただ力を使うと面白くないし、調査のために目立ちたくないので、極力、創造神の力は使わずに行きたい。
「ワールドマップ」
場所を確認するために現在地を確認する。
今居るのがマルドア大陸のブルーム王国の領土内らしい。
調査するためには人間社会に溶け込まないといけないので、ブルーム王国で仕事と家を探して一般人に紛れ込めばいいかなと思う。
仕事を探すにも人が居なきゃ話にならないので、村、あるいは街を探してみる。
ワールドマップを詳しく見れば村や街は見つけ出せるのだが、せっかくなら使わずに冒険したかったので道らしき道を歩いていると道の奥から悲鳴が聞こえる。
悲鳴の元に向かうと、家は燃え、人は逃げ、魔物は人を喰らっていた。
その光景を目の当たりにしながらも恐怖心が湧かないので、俺って神なんだなーと改めて思いつつ襲われている人達を助ける。
襲っている魔物は今勢いに乗っている悪魔族達だった。
悪魔族は全身が火に覆われ、炎の剣を持ち歩き、歩くだけで周りが燃えるとんでもない悪魔だが、神なので熱くも痛くもない。相手が火なら弱点は水だと思い、ポ○モンの技のハイドロポンプのように水を浴びせたら悪魔達が消火され体を維持出来なくなったのか粉々になったので次の標的を定め、軽く遊んでいたら悪魔達は撤退して行った。
「暑苦しいなぁ」
熱くないけど手で扇いでいたら
「神よ、助けにいらして下さったのですね」
「あぁ、神よ」
「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」
生き残ったもの達が手を合わせて拝んでいる。
初っ端から人間になることを失敗してしまった。
どうしようかと悩んでいると騎士らしき人達が馬に乗ってやってきた。
「この村が悪魔族に襲われていると報告を受けてやってきたが、悪魔族はどこだ?悪魔族の痕跡はあるが悪魔族が見当たらないぞ」
「このお方が村を救ってくださいました。」
「そうなのか。そこの君、村を救ってくれてありがとう。」
「あ、はい。どういたしまして」
「良ければ名前を聞かせてくれないか?」
「神人です」
「カミトか、俺はブルーム王国軍騎士団副団長エメ・ダルトだ。よろしくな」
「よろしくお願いします、ダルトさん」
「早速なんだがカミトよ、王都まで来てくれないか?悪魔族を追い払った話を国王に報告したいんだが、大丈夫だろうか?」
「まぁ、行くところ無かったんでいいですよ」
「そうか!では早急に王都に向かうとしよう!」
悪魔を追い払ったことで副団長と共に王都に行くことになった。