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My Sweet Darlin'

プレゼント

作者: 偽ソース
掲載日:2021/11/29

 取られるようなものは無いと思いながらも、家の防犯はしっかりしたいと思います。もし、強盗なんかが襲ってきたら、その時は返り討ちにしてやりたいすね。

 すぐに警察に連絡がいくシステムなんかいいですね。やはり、身を守るのが第一です。でも、反撃するための道具なんかも......。

 学者の男は、古い友人の家に呼ばれていた。改めて見てもすごい豪邸だった。


 大企業の株の多くを保有している友人は、ほとんど働かなくても、遊んで暮らせるだけの金を持っていた。前回、訪問した時は、様々な高級腕時計や宝石、高級外車を散々自慢されて、あまりいい思い出は無かった。

 

 自分の背丈の倍ほどもある門を目の前にして、彼は金に困っていない友人をうらやましく思った。研究には金が必要なのだ。

 今回も、自慢に付き合わないといけないのかと、少し憂鬱な気分になる。

 門についているインターホンを押すと、友人の声がして、しばらくすると門が開いた。


「オマチシテオリマシタ」


 門が開くと、待っていた女性の人型ロボットがお出迎えしてくれた。これは、彼が友人にプレゼントしたものだった。


「ドウゾコチラニ」


 ロボットに連れられ、池に架かっている橋を渡り、100メートルほど歩くと、やっと建物の中に入れた。

 

「オアシモトオキヲツケクダサイ」


 ロボットにコートを預け、中に入りしばらく歩くと、様々な装飾がされた光り輝く部屋の真ん中で、見慣れた友人が椅子に座って待っていた。


「久しぶりだな」


 友人は男の顔を見ると、にこやかに笑う。


「急に家に呼ぶなんて、なんかあったのか?」


 男は尋ねた。前回、訪問した際は、家に置いてあった宝石が盗まれたとかで、学者である男に助けを求めた時だった。

 彼はその時に、いろいろな発明をして、友人にプレゼントとして防犯グッズを渡したのだ。先ほど、彼を出迎えてくれたロボットもその一つだった。


「いや、今日は久々に顔を見たくなっただけだ。なんせ、お前のプレゼントのおかげで、もう強盗を1人捕まえたのだよ」


「ロープボックスか......」


「ああ」


 ロープボックスとは、男が発明したものの一つで、宝石箱のような見た目をしたその箱を開けると、中からロープが飛び出してきて、開けたものを縛り上げるというものだった。

 その箱の外観を、科学的に人間の目を惹くようにしたのだ。強盗も、真っ先にそれを開けたに違いない。

 

「ちゃんと動いたようで安心したよ」


「俺も強盗を捕まえられてよかった。最近は、お前の発明を眺めるのが趣味みたいなもんだ」


「それはありがとな」


「今の時代、何から何まで家でできる。会議もテレビでできるしな」


 その時、ロボットがコーヒーを持ってやってきた。男はそれを受け取り、ロボットに礼を言う。一方、友人の方は受け取らなかった。

 その代わり、ロボットが飲ませてくれた。


「お前な、そういう目的であげたんじゃないぞ」


 男は、少しあきれながら言う。


「まあ、いいじゃないか。それにな、お前からだけじゃなくて、他にも色々プレゼントしてくれる人がいてだな......」


 そう言って、様々な機能を持ったプレゼントの話をしてくれた。


「まず何といってもあれ」


 そう言いながら、窓の外の塀を見る。


「この豪邸に侵入しようとすると、警察に直接連絡がいく仕組みになっている」


「ほーん、それは便利だな」


 男が感心していると、今度は近くの棚に目を移す。


「あの中には、偽札がたくさん入っている。しかもただの偽札じゃない、爆弾なのだ。もし、強盗に金を要求されたとしても、あれを渡すつもりだ。ちゃんと俺の指紋には反応しないようになっている」


 友人はにやにやと悪い笑みを浮かべながら言った。


「それは強盗も災難だな」


 男は、札束を手にして、いろんな意味で舞い上がってる、強盗の悲劇の姿を思い浮かべていた。


「さらにな、この家全体にすごい仕掛けがあるんだ」


「まだ何かあるのか」


「実はな、俺が強盗に拘束されたとしても、ある動きをするだけで起爆する爆弾を、家のあちこちに仕掛けてある」


 男は身構えた。


「安心しろ。コンピュータは俺の動きしか感知しない。今日みたいに客人が来る時に、いちいち起爆スイッチを切っておくのは大変だからな」


「そんなすごいシステムがあるのか」


「ああ、完璧なシステムだ。具体的には言えないが、手や足を縛られたり、口を塞がれたとしてもできる簡単な動きにしてある」


「それは......」


「さらに、ポーズによって起爆する爆弾が違うからな。目さえ隠されてなきゃ、強盗を木っ端みじんにできる」


「恐ろしいな......」


「なあに、正当防衛だよ。俺の身柄を拘束するようなことさえしなければ、そこまではしない」


「ふーん、でも塀があるから大丈夫じゃないのか?」


「いや、侵入してくるのは、塀からとは限らないからな......」


 友人は鋭い目つきになった。何かあったのだろうか。男は、部屋のあらゆる所を見て、並べられた腕時計や、壁に掛かっている肖像画なんかも爆弾なのだろうかと思った。



 しばらく雑談をして、二人がそろそろ飽きてきた頃、友人がタクシーを手配してくれた。


「今日は楽しかったよ、また近々会おうな」


「そうだな、またすぐ会えるさ」


 ロボットが頃合いを見計らったかのように、コートを持ってきた。


「今日は見送ってくれないのか?」


 男が友人に訪ねると、


「......まあな」


 とだけ言う。その顔はどこか寂しそうだった。完全な安全を手に入れて、これ以上何が望みなのか、男には理解できなかった。


 外に止めてあるタクシーに乗り込み、運転手に行き先を伝える。タクシーが動き出してもなお、しばらくその豪邸の塀は続いていた。

 男はそれを見ながら、友人との楽しいひと時を思い出していた。

 学者である彼にとっては、ポーズをするだけで起爆する爆弾も気になったが、少したりとも動こうとしなかった友人を思い出し、呟く。


「今回は、少し気分がよかった」







 

 



 投稿後、2日ほどは内容を変更することがあります。本来は、投稿前にチェックすべきなのですが、変更したい点は投稿後に出てくることが多いです。大きく変えることはありませんが、少し文をいじったりすることがあるのでご了承ください。

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