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微睡み
夢を見ていた。
抜けるような青空と、ちぎった綿花のような雲。
延々と続く輝く草原。
鼻腔をくすぐる熱された草の匂い。
暖かい春の日差しの中に自分は佇んでいた。
ふいに、暖かい風が頬を撫でて通り抜けて行った。
それはまるで母親に抱き抱えられたような、不思議な安心感をもたらした。
目を、閉じてみる。
体が浮いているような感覚に陥る。
優しい風が体を包み込み、爪先が地面から離れる。
目を開けると、眼下には先程の草原が広がっている。
背中を丸めて胸に手を当ててみる。
自身の鼓動が、脈拍が、肌に触れる温かさが、
何もかもが、愛しく感じた。
やがて風は、自分を眠りへといざなった。
深く、深く、永い眠りに.............