新種、登場
魔法訓練を始めてからまた暫くがが経過した。
今日はダンジョン生活20日目の朝、その日ダンジョンには異変が起きていた。
朝、俺はダンジョンに異変が起こっていたことを感じた俺はルナと朝食を取る際にリストをだす。
そしてNEWSの項目が点滅していたのでその内容を一緒に見てみることにした。
[NEW]
・ダンジョン内で新種のモンスターが誕生しました.
おおっ!
思わずルナと顔を見合わせる。
「これ、もしかして私が魔力を与えて育ててるスライムちゃん達が進化したのかな!?」
スライムちゃんとは、ルナに毎日闇の魔力を流してもらって意図的に進化を促しているスライム池のスライム達だ。
正直、スライム池はなんか不気味なオーラが出てて行きたくない。
紫のどんよりしたオーラの中に薄紫に変色したネバネバした物体が池いっぱいに蠢いているのだ。
ルナに連れられて魔力を与えるところを見ていたのだが、魔力に群がるスライムは正直きつかった。
しかしルナはそんなことを気にしていないようで、
「見て! 私が魔力を与えるときにくっついてくるんだよ。懐いてきてくれてるのかな?」
なんて言っていた。
最近は、スライム達の変化なんかを毎日聞かされている。
薄紫だったのが濃くなったんだよ!とか言ってたいたが、俺が見ても違いはわからなかった。
「と、とりあえず見てみよう!」
そう言って、ニュースをタッチすると詳細が表示される。
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・ダンジョン内に新種のモンスターが誕生しました。
一定のステータスを持つゴブリンが5体の同族殺し
を達成しました。
Cランクモンスター「レッドキャップ」に進化しました。
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え……?
なにこれ……。
それを見たルナは少し表情を強張らせると焦った様相で森へと走り出す。
「ちょ……ルナ!!」
全力で走るルナには、俺の声は届かない。
くそっ! ゴブリン5体か……。
……。
ゴブリン5体を代償に生まれたモンスターとはどんなものなのだろうか。
初めてのCランクモンスター。
気になってレッドキャップの文字をタッチする。
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・レッドキャップ Rank:C
悪鬼精霊であるゴブリンが同族殺しを積み重ねる
ことにより生まれる狂気のモンスター。
いつも被っている帽子は常に血で濡られている。
とても俊敏で、その攻撃性はドラゴンさえも怯ませ、
その存在は敵、味方を関係無く全てを攻撃する。
※常時"バーサク"(INT:DAWN ATK:UP)状態
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……?
なんだこいつは。
ルナはこのモンスターを知っていてコボル達を助けに行ったのか?
ゴブリン達はどうなった? ルナは?
様々な疑問が脳内を駆け巡る。
とりあえず今は考えても仕方がない、俺は何よりもルナを守らないと。
考えがそこに至ったとき、俺は居ても立っても入られなくなり、森を疾走していた。
「クソッ!! なんだこのプレッシャー。ホントにゴブリンから進化したのかよ!!」
とても危険な場所へ向かっている感覚……。
俺のステータスはオール300だ、ルナのステータスから考えても高い方だろう。
嫌な考えばかりが頭をよぎる。
あああ、考えるな、足を動かすんだ!
そう自分に言い聞かせ足を動かして考えを振り払う。
――――あぁ、俺が行ったらまた怒られちゃうかな。
◇
やっとその姿が見えてきた時、レッドキャップとルナは対峙していた。
後ろにはケガを負っているであろうコボル達と4匹のゴブリンがいた。
ルナは必至で魔法を使って応戦しているが明らかに不利。
このままじゃ不味い状況だろう。
死ぬとか知るか。
俺は、守るぞ。
息を吸い込み感覚を研ぎ澄まし、魔力を集中。
――――呟く。
「魔力強化」
魔力を纏った体は加速する。
体は軽くなる、そして風になったような錯覚を覚える。
前しか見えない、視野は狭まり景色も音も置き去りにしていく。
――――パァン!!!!
刹那、レッドキャップの額を蹴り抜く。
首の骨が折れた感触と音、その体躯は140cm程度だ、踏ん張りでどうにかなる勢いの攻撃ではない。
レッドキャップはたまらず吹き飛び木へ叩きつけられる。
「…………。」
その時、俺はあることに気付く。
「……。その剣、どうした?」
「ヒヒ……」
レッドキャップは口から吐血するも大してダメージを受けてないかのように歩みを進めている。
その顔には常に不気味笑みが張り付いている。
持っているのはアイアンソード。
2日目、俺がルナに怒られた後、使わないと思ってゴブリダに譲ったモノだ。
俺がルナの方をみると困惑とか悲しさとかそんなものが入り交ざった表情をしていた。
今は謝るときじゃないな、全部終わってからだ。
「…………。ゴブリダを、殺したのか?」
「ヒヒッ……。オマエモごロス」
よく見るとこいつはゴブリンの中でも2番手の実力を持っていたやつだった。
いつもゴブリダと張り合うように特訓していた覚えがある。
「……。劣等感、か」
話すことは無い。
といわんばかりに張り裂けそうなかなぎり声を上げる。
「キィイイイイィィイイイイイイイイ!!!!!!!!!」
目は離していない、ただレッドキャップの姿が消え、地が弾ける。
「これはっ...魔力強化か!」
直線的な突進。
最小限で簡単に回避できる。
そう考えたとき、異様な危険を感じ早い段階で真横へ飛ぶ。
レッドキャップはその唯一の武器である剣を投げつけていた。
……あぶねえっ!
「なんだこいつ!!」
更にレッドキャップは真横へ回避した俺に追従するように直角に曲がるとその勢いを落とさず突進してくる。
「クッ……!」
避けきれない……!
手を交差させガードの体制を作る。
弾丸のようなあの速度、踏ん張りを利かすより弾き出された方がダメージが少ないと判断した俺はインパクトの瞬間、地を蹴り体を浮かした。
――――ドォォォン!!
大げさに弾き出された俺は背を樹木へ打ち付ける。
「不味ったなぁ……。脚でうまく着地するつもりだったんだが」
服についた砂埃を払いながら立ち上がる。
「……。ヒヒッ……」
不気味な笑みを浮かべたレッドキャップは卑しく笑う。
ふと、腹部に熱を感じる。
そう思考し、手で触れたとき、懐には短刀が深々と刺さっていた。
まじか……?
ただ意図せずだが、インパクトの瞬間飛んで刺傷箇所をずらせたのは行幸だった。
あの位置ならガードをすり抜けてコアに当たる可能性もあった。
腹部なだけましだろう。
ダンジョンコアになった影響か、アドレナリンが出ているのか、痛みはない。
けど……。
「やばいね……これ」




